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参考資料

更新日: 2016/12/15

平成28年度以降の生存圏研究所・研究ミッションの構成

新設(第5)ミッション「高品位生存圏(Quality of Future Humanosphere)」
従来の4つの生存圏科学ミッションの再編に加えて、「新領域研究」の成果を発展させ、第5の「高品位生存圏」を追加します。これまでの成果を基礎に、圏間研究を促進し、生存圏の質を向上させます。より具体的には以下の4項目について取り組みます。
○人の健康・環境調和
人を取り巻く環境と調和しつつ人間の健康を維持するため、生存圏(生活圏・森林圏・大気圏・宇宙圏)の特性変化として、ウイルス等感染リスクの蔓延、木質住環境、大気質悪化、電磁場の生体影響に着目し、それらが人の健康に与える影響と対策を研究し、安心で安全な暮らしを支える生活環境を創成する共同研究を実施します。
○脱化石資源社会の構築
地球規模での急速な人口増加と経済活動の発展により、容易に採掘できる化石資源の枯渇と地球温暖化が社会に深刻な打撃を与えつつあります。本研究では、マイクロ波を用いたエネルギー伝送、有用な形質をもつ植物の育成とエネルギー、化学品、材料への変換システムを、他の生存圏ミッションと連携しつつ統合的に研究し、脱化石資源社会の構築に貢献します。
○生活情報のための宇宙インフラの維持
生存圏を支える重要な社会インフラである測位、リモートセンシング、通信などは宇宙システムに依拠しています。宇宙システムへの脅威であるスペースデブリ(宇宙ゴミ)の観測技術開発、地上の送電線などにも影響しうる宇宙環境変動の研究、GPS衛星と地上の受信網の組合せによる大気センシング技術の開発など、宇宙インフラ維持のための研究を推進します。
○木の文明の科学による社会貢献
わが国の木の文化には東アジア文明圏から強い影響がありました。近隣諸国と日本の「木づかい」に関する見識を広げることは、木の文化とその連関の深い理解につながります。日本の森林が「育てる」から「利用する」へと大きく転換するなか、過去から現在までの「木づかい」を正しく理解し、未来型木造住空間の創成を行うことにより、持続可能な循環型社会の構築に寄与します。

従来の4つの生存圏科学ミッションについては、圏間のつながりや時代の要請に答えて、以下のミッションに再編し、生存圏科学に関する共同利用・共同研究を実施します。また、これらの活動を基礎として、国内外の優秀な若手人材を育成し、高度人材ネットワークを構築して、特にアジア域における日本のリーダーシップを高めます。

第1ミッション「環境診断・循環機能制御」(従来:環境計測・地球再生)
地球温暖化や極端気象現象の増加といった環境変動の将来予測に資するため、大型大気観測レーダーや衛星等を用いた精密測定により、現状の大気環境を診断します。また、生物圏から大気圏にわたる物質輸送・交換プロセスのメカニズムを解明するとともに、資源・物質循環に関わる植物・微生物群の機能の解析と制御を通じて、化石資源によらない植物バイオマス資源・有用物質の継続的な生産利用システムの構築を目指します。

第2ミッション「太陽エネルギー変換・高度利用」(従来:太陽エネルギー変換・利用)
太陽エネルギーを変換し高度に利用するために、マイクロ波応用工学、バイオテクノロジーや化学反応等を活用し、太陽エネルギーを直接に電気・電波エネルギーや熱等に変換するとともに、光合成による炭素固定化物であるバイオマスを介して高機能な物質・材料に変換して有効利用する研究に取り組みます。

第3ミッション「宇宙生存環境」(従来:宇宙環境・利用)
人工衛星、宇宙ステーション、ロケット、地上レーダー、計算機シミュレーション等を用いて、宇宙圏・大気圏の理解のための研究をより深化・融合させ、生活圏や森林圏との連接性の解明に取り組みます。また、太陽フレアを原因とする放射線帯や磁気嵐の変動等の理解を深め、地球に接近する小惑星等の宇宙由来の危機への対策を提案することで、気象・測位・通信衛星等による宇宙環境の持続的な利用という社会的要請に応えます。

第4ミッション「循環材料・環境共生システム」(従来:循環型資源・材料開発)
環境共生とバイオマテリアル利活用を両立するためのシステムを構築し、循環型生物資源の持続的利用を進めます。これにより埋蔵資源の大量消費に基づく生存圏の環境悪化を防ぐとともに、生物の構造や機能を最大限に引き出す材料と利用技術を創成して、安全・安心で豊かな生活環境をつくり出すことを目的とします。

「生存圏アジアリサーチノード」の研究項目と内容

赤道MUレーダーの新設による赤道ファウンテン共同研究

MUレーダーと同等の感度を有する高機能大気レーダー「赤道MUレーダー」をインドネシア共和国に設置します。本装置によって地球環境変化の鍵を握る赤道域大気現象の微細構造を立体可視化して捉えることが可能となります。赤道において最大となる太陽熱エネルギーが大気運動によってファウンテンのように全球に運ばれる様子を共同研究によって明らかにしていきます。

熱帯バイオマスの生産・循環利用・環境保全共同研究

東南アジア地域は熱帯雨林をはじめ豊かな生物資源を有しており、熱帯産早生樹などのバイオマスを高度に利用して、森林環境の保全・育成と新産業の創成、安心で安全な生活の場を提供する大きな可能性を秘めています。インドネシアをはじめとする東南アジア地域の研究者と日本の研究者が連携し、熱帯バイオマスの特質を理解しつつ、有用熱帯植物の育種、生理活性物質の生産、エネルギー、バイオ燃料、機能性材料などへの変換法を開発し、熱帯材の劣化制御法や安価で高強度な木造住宅の建築法を開発し、熱帯バイオマスの生産・循環利用・環境保全に貢献します。

生存圏データベースの国際化

生存圏科学においては、個別の研究成果を蓄積し相互参照を推進するデータベースの整備が極めて重要です。「生存圏データベース」は年間のアクセス回数が1億回に達しています。国際化推進として、複製を各地に配置してアクセス性を向上することから始め(データ保安上も有効)、各国の研究者が積極的にデータベースを構築するまで成長させます。

アジアをリードする研究者・技術者の養成

アジアリサーチノードを中心としたアジア域における研究教育ネットワークをベースに、国際的に特にアジア域において活躍しリードできる若手研究者・技術者の養成を図ります。生存圏科学のより広範な普及を図るため、国際スクール(Humanosphere Science School)をインドネシアおよび他のアジア諸国において開催し、国内外において生存圏科学への誘因と研究水準を高めます。

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2015年8月13日作成,2015年8月14日更新

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