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今後の拠点としての方向性(詳細説明)

更新日: 2016/01/05

新しいパラダイムである「生存圏科学」は、農学、理学、工学、情報学を基礎とし、文理融合研究にも枠を広げつつ、現代社会で起こっている深刻な課題(環境、エネルギー、宇宙利用、資源・材料)に関する科学・技術を統合的に推進し、持続的発展可能な社会の実現を目指す新たな学問分野です。今後は、生存圏科学が包摂する幅広い学術分野に関わる国内外の大学・研究機関等ならびに産業界とも連携します。世界的に最先端と評価されている研究テーマに関する共同研究を推進するとともに、ユニークで傑出した技術について産官学共同研究を実行し成果を実証するテストプラント建設をはじめ産学連携を進めます。また、生存圏科学の諸課題は特にアジア域で顕在化しています。例えば、人口増と急激な産業成長にともなう環境悪化とエネルギー・資源不足、予測困難な大気変動およびそのグローバルな影響、豊富な森林資源の利活用と保全、宇宙インフラの整備といった問題を総合的に解決するには生存圏科学の成果を適用することが重要です。そのため「生存圏アジアリサーチノード」を設置し、教員・研究員を常駐させ、日本・アジアのみならず欧米等からの研究者も集って共同研究を行います。これらを通じて国内の拠点と繋がるチャネルを設け、共同利用・共同研究の国際化を促進します。

以下、今後取り組む課題(1)~(3)について説明します。

(1)「生存圏科学に関する共同利用・共同研究の充実に向けた取り組み」

生存圏研究所は設立当初より共同利用・共同研究拠点に即した組織構成を有しており、国内外の研究コミュニティーが集う場としての拠点機能を拡充してきました。年間の共同利用・共同研究課題数は、研究所設立当初(平成16年度)には100件未満でしたが現在では300件以上に達しており、国際化も著しいものとなっています。「設備利用型共同利用」、「データベース共同利用」、「プロジェクト型共同研究」の3類型すべてについて、現在の活動度を維持向上させていきます。

(2)「生存圏科学の深化と社会還元に向けた取り組み」

新領域研究(平成23~27年度)の成果を発展充実させた第5の生存圏科学ミッション「高品位生存圏(Quality of Future Humanosphere)」を設定して生存圏科学の展開を図ります。従来の研究ミッションとの連携により新たな学際領域研究を生み出すことで急速に発展している生存圏科学の深化を図るとともに、生存圏科学の成果を社会に還元させる方向への取り組みを推進します。平成28年度以降の生存圏科学ミッションは、従来の4ミッションの再編+第5ミッションから構成されます。これらの、ミッション再構成と新規第5ミッションの内容は以下の通りです。

○従来の4つの生存圏科学ミッションの再構成
第1ミッション「環境診断・循環機能制御」(従来:環境計測・地球再生)
大気環境の診断、生物圏から大気圏にわたる物質輸送・交換の解明、資源・物質循環に関わる植物・微生物群の機能の解析と制御、資源・有用物質の継続的生産利用システムの構築の研究。
第2ミッション「太陽エネルギー変換・高度利用」(従来:太陽エネルギー変換・利用)
マイクロ波応用工学、バイオテクノロジー等による太陽エネルギーの変換、バイオマスの高機能物質・材料への変換と有効利用の研究。
第3ミッション「宇宙生存環境」(従来:宇宙環境・利用)
宇宙圏・大気圏の理解の深化・融合、生活圏や森林圏との連接性の解明、太陽から地球への変動の理解、地球への宇宙由来の危機への対策の研究。
第4ミッション「循環材料・環境共生システム」(従来:循環型資源・材料開発)
環境共生とバイオマテリアル利活用を両立するシステム構築、循環型生物資源の持続的利用促進、生物の構造や機能を最大限に引き出す材料と利用技術を創成。

○新設(第5)ミッション「高品位生存圏(Quality of Future Humanosphere)」従来の4つの生存圏科学ミッションの再編に加えて、「新領域研究」の成果を発展させ、第5の「高品位生存圏」を追加します。これまでの成果を基礎に、圏間研究を促進し、生存圏の質を向上させます。具体的には以下の4つの研究項目に取り組みます。
「人の健康・環境調和」
「脱化石資源社会の構築」
「生活情報のための宇宙インフラの維持」
「木の文明の科学による社会貢献」

(3)「生存圏科学の国際化に向けた取り組み」

生存圏研究所のこれまでの国際化をさらに推進します。インドネシア科学院(LIPI)に生存圏アジアリサーチノードを整備・運営することで、国際共同研究の相手機関および京都大学の他部局との連携を束ね、下記の事業を推進します。これによって国内の研究コミュニティーに対して海外研究拠点へアクセスする手がかりを提供し国際共同研究の強化を図ります。一方、アジアの研究者に対しては、わが国の研究者との交流をもつことで研究能力のビルドアップに貢献します。具体的な研究項目は以下のとおりです。
「赤道MUレーダーの新設による赤道ファウンテン共同研究」
「熱帯バイオマスの生産・循環利用・環境保全共同研究」
「生存圏データベースの国際化」
「アジアをリードする研究者・技術者の養成」

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2015年8月13日作成,2015年8月15日更新

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