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生存圏フォーラム32回連載コラム

目に見えない怖さ
 
世の中には怖いものはいっぱいあります。
2000年に、若者(大学生)を対象として「生活環境中で何を怖いと思うか」というアンケートの結果は、怖いもの順に、1)核兵器、2)ダイオキシン、3)カドミウム、4)砒素、5)水銀・・・・でした。48個がリストアップされ、7位は原子炉、15位に紫外線、18位は高圧送電線の電磁場、31位は携帯電話の電波でした。発がん性が高いものが上位(ただし、水銀は発がん性低い)ではあったが、発がん性があるお酒(量ではなく、質的な評価)は31位で、携帯電話の電波と同位でした。世の中のきわめて多くの人たちは、規制値に関係なく、身近であっても、目に見えない、ばく露の感覚もない電磁波を怖がっているようです。放射線や電磁波の生体影響研究に長年携わってきた研究者として、更なる研究とリスクコミュニケーションの推進を痛感する毎日です。
(生存圏フォーラム会員 京都大学特任教授 宮越 順二)