生存圏フォーラム 第23回連載コラム
「太陽光発電について」
太陽光発電について、最近に耳にしたことを話題にします。下図は九州電力のプレスリリースからの図です(出典1)。2016年5月4日の電力供給状況の時間変化を示しています。驚くべきことに、日中は太陽光・風力発電が需要の過半(最大で66%)を賄っており、日中は火力発電を思いっきり絞って対応しています。さらに電力が余るので、揚水発電が日中に電力を貯めています(その電力は日没から夜間に供給しています)。またこの日の総電力量の38%が再生可能エネルギーからでした。恐らくこれは、快晴で太陽光発電が絶好調、かつ気温が高くないので冷房などの電力需要が少ない、という好条件下のチャンピオンデータなのでしょう。しかし「再生可能エネルギーは発電量が小さい」「揚水発電は夜間に蓄電して日中に発電する」という、これまでの常識をひっくり返すデータです。関連する報道が西日本新聞に出ていて、それによると、統計的にみても2011年から現在にかけて揚水発電の昼夜逆転が起こっているそうです(出典2)。そういえば、2011年の東北大震災の後では夏季の電力需要が綱渡りと言われておりましたが、最近は耳にしなくなりました。これにも夏季・日中の太陽光発電の増大が大きく寄与しているのではないかと思います。
出典1:九州電力2016年7月21日プレスリリース「九州本土における再生可能エネルギーの導入状況と優先給電ルールについて」別紙1「再エネの導入状況と至近の需給状況について」http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0055/4201/2ntja6f6cpd.pdf
出典2:西日本新聞経済電子版2016年8月19日「揚水発電所「昼夜逆転」余剰太陽光の受け皿に」http://qbiz.jp/article/92610/1/
(生存圏フォーラム会員 京都大学教授 山本 衛)