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生存圏フォーラム第49回連載コラム

 「2人目」の大切さ

 すこし変なタイトルでコラムを書かせていただくことにしました。言いたいことは、集団行動やブームを作るうえでの2人目の重要さです。
 Youtubeは、人々の様々な行動が見える、社会に大きく開かれた窓です。私は非常におもしろく、いろいろな画像を見ています。調べものにも役立ちます。そこで、*非常に*興味深い画像がいくつか見つかりました。次のようなものです。
https://www.youtube.com/watch?v=R6JYnlsDOwU&index=43&list=PLLcwQ_Xw3N3o0f4t2-WKa2DEPHgY4dRac&t=152s “ONE MAN STARTS THE PARTY”
https://www.youtube.com/watch?v=GA8z7f7a2Pk&index=10&list=RDR6JYnlsDOwU “Sasquatch music festival 2009 - Guy starts dance party”
 特に初めの画像が、説明があるのでよくわかります。場所はバリで、リゾートホテルの中庭のようです。多くの人がリラックスして座っています。そこで、ひとりの男(髭ぼうぼうの男)が狂ったように踊りだします。画像の説明によると、40分間ほど一人きりで踊り続けたとき、ついに2人目が参加します。すると3人目以降が続々と続き、最後は群衆が踊りはじめるのです。他の画像も同じような行動です。つまり、大きな動きは初めの1人では作り出せません。2人目あるいはその次に続く少数の人の参加が決定的に重要です。
 私は、こういう行動は一般化できるものと思います。たとえば、成功した企業には、アイデア豊富な創始者のそばに有能なスタッフが集まっている例が多いです。大きな例でいえば、キリストの12人の弟子は教会の成立に大きく寄与されました。一方でネガティブな例ですが、大きな犯罪に対して、首謀者だけではなく側近にも厳しい刑罰が下されることがあります。我々の社会は「2人目の重要さ」を知っているようです。
 昨今、「日本の将来をどうにかする」といった議論において、独創性や新規性が強調されることが多いように感じています。もちろん日本には画期的な創業者が数多くおられます。でもそういう人は少ないです。自分が独創者でなくても、心配はいらないのです。「2人目になる」ことは、例えば新規のアイデアをうまくフォローアップすることに対応するのでしょう。それは決して恥ずかしいことではなくて、重要なことなのだと思います。

(生存圏フォーラム会員 京都大学教授 山本 衛)