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生存圏フォーラム第46回連載コラム

人工的な環境で一年中安定して生産できる植物工場とまではいかなくとも、多くの野菜はいつでもスーパーで手に入るのですが、種はある季節にしか売っていません。エンドウの種を実験に使おうと、春先に園芸屋さんに買いに行って店員さんに呆れられたり、低温保存されている種を頼み込んで買ったりと、実験材料を準備するのはなかなか大変です。さらに準備が難しいのが苗で、これは季節を逃すと翌年まで実験できなくなってしまいます。
最近ある園芸植物を実験に使おうと思って苗を探してみると、ちょうど販売シーズンの終わりにかかっていてどのお店も売り切れでした。もしかしてと思ってインターネット上のお店を隈なく探していくとまだ売っているお店を発見。このチャンスを逃すまいと苗を大人買いしてしまいました。植物の研究は温室や人工気象器を使って年中行うことが当たり前のようになっていますが、移り行く季節を感じながら研究するのも一興です。

(生存圏フォーラム会員 京都大学准教授 杉山暁史)