生存圏フォーラム第44回連載コラム
オーロラと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。色とりどりの光のカーテンを思い浮かべる方も多いかもしれません。虹とは異なりオーロラの色は限られていて、その代表的な色は緑です。緑のオーロラは、宇宙空間からやってきた粒子が超高層大気に衝突し、励起した酸素原子が放つ光です。緑のオーロラが光るということは地球の大気には酸素が豊富に含まれていることを意味します。酸素は地球誕生当初から豊富にあったわけではありません。太古の地球に出現した微生物が光合成によって酸素を作り出した結果だと考えられています。そうして作られた酸素が高さ100キロメートル以上に昇り、太陽の紫外線によって原子状の酸素となり、やがて宇宙からやってくる粒子と衝突することで緑のオーロラが光るのです。そう考えると、宇宙と生物の深いつながりを考えずにはいられません。
(生存圏フォーラム会員 京都大学准教授 海老原祐輔)
2000年、スウェーデンにて著者撮影