Research Institute for Sustainable Humanosphere, Kyoto University.
Research Institute for Sustainable Humanosphere, Kyoto University.
ichiran

全国・国際共同利用設備: 持続可能生存圏開拓診断/森林バイオマス評価分析システム (DASH/FBAS)

概要

持続可能生存圏開拓診断 (Development and assessment of sustainable humanospher; DASH) システムは、平成 19 年度京都大学の概算要求(生存圏研究所と生態学研究センター)により設置された全国共同利用施設で、遺伝子組換え植物対応型の大型温室と集中的な評価分析機器を融合したシステムです。これは、植物代謝産物の包括的な解析に適した代謝産物分析装置 LC-IT-TOF と、リグニンの組成分析や植物揮発性成分の分析に適した植物揮発性成分分析装置 GC-MS、土壌成分の分析のためのライシメーターから成る「DASH 分析装置サブシステム」と、樹木にも対応した大型の遺伝子組換え植物用の「DASH 植物育成サブシステム」の 2 つから構成されます。これらの設備を利用する研究課題の公募についてはこちらをご覧ください。

LC-IT-TOF left
代謝産物分析装置 LC-IT-TOF

GC-MS both
植物揮発性成分分析装置 GC-MS

平成 20 年度よりこの DASH システムを、従前リグニンなど森林バイオマスの化学的分析を柱とした森林バイオマス評価分析システム (Forest Biomass Analytical System; FBAS) と融合させ、遺伝子組み換え植物に対応した植物の育成と、その代謝産物の分析を総合的にサポートすることとし、DASH/FBAS として本研究所の新たな全国共同利用として設置しました。

DASH 植物育成サブシステム外観
DASH 植物育成サブシステム外観

DASH/FBAS においては、植物を中心として、環境ストレス、大気、土壌、微生物、昆虫などとの相互作用の研究に資することを目的とし、これをより総合的に拡大して生態系ネットワーク構造の解明や、さらには新たな植物資源材料の開発に資することを目的としています。


持続可能生存圏開拓診断 (DASH) システム

当研究所が生態学研究センターと共同で概算要求し文部科学省に予算措置されておりました、「持続可能生存圏開拓診断 (Development and assessment of sustainable humanospher; DASH) システム」が平成 19 年度末に完成し、平成 20 年 6 月 21 日に披露式が行われました。

DASH システムは、樹木を含む様々な植物の生長制御、植物と共生微生物との相互作用、ストレス耐性など植物の生理機能の解析を行うとともに、植物の分子育種を通じ、有用生物資源の開発を行う研究設備です。DASH システムによって、植物の環境応答、ストレス耐性機構の解明、植物間や植物-昆虫ならびに植物-微生物の相互作用の解明、生態系ネットワーク構造の解明、植物資源材料の開発等が可能となります。さらに全国・国際共同利用に供するための準備を進めており、学際的、萌芽的研究の発掘とその推進が加速され、環境と調和した人類の持続的発展と生存圏科学の発展に資することができると期待されます。若い学生諸氏の参加利用も大いに奨励されます。

DASH

システムの紹介

DASH システムは「植物育成サブシステム」と「分析装置サブシステム」から構成されています。「植物育成サブシステム」は温度や照度といった植物生育環境を一定の条件範囲で維持できる温室です。主に特定網室として利用され、遺伝子組換え植物体の育成や各種試験を実施します。一方「分析装置サブシステム」は、既に共同利用として運用中の森林バイオマス評価分析システム (FBAS) と融合して、植物の香り成分の分析やそれを介した植物と昆虫とのコミュニケーション、あるいは土壌微生物との相互作用、リグニンやポリフェノール等の天然物質の包括的な分析を行います。また生態学研究センターから移設された土壌成分分析装置も含まれています。


DASH
DASH 概念図 1009×548 の画像