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生存圏フォーラム第54回連載コラム「陰謀論」

世の中には様々なデマや陰謀論があふれています。
〇〇は自作自演、〇〇は人工的に起こされた、〇〇の黒幕は××、最近では、コロナは〇〇が広めた、等、本気か冗談か分からないままインターネットを介して急速に拡散していきます。科学的に明らかに正しくないような説を信じている人がいた場合、どうすれば考えを改めてくれるでしょうか。理論や証拠を並べて、科学的に間違っていることを指摘すると、かえって逆効果になってしまうこともあるそうです。
人間は誰しも「確証バイアス」と呼ばれる心理学的傾向を持っており、自分の考えを支持する情報のみを集め、考えに反する情報については無視または集めようとしない傾向があります。研究に対する態度でも同じことが言え、ある仮説を証明するために実験や計算を繰り返しますが、仮説に反する結果が出た場合に、見て見ぬふりをするか、その結果から新たな発見を見出せるか、研究者の態度が問われるところです。
さて、陰謀論を信じている人に対する一つの策は、陰謀渦巻く世界観を認めてあげた上で、その陰謀論が広まることによって利益を得ることができる、さらなる黒幕の存在を示唆してあげることだそうです。

(生存圏フォーラム会員 京都大学准教授 横山 竜宏)

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