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生存圏フォーラム 第13回連載コラム

「生存圏科学は誕生してたった10年の学問で、しかも、所の歴史と学問の歴史がまったく一致する。」というのが私の生存圏科学に関する認識である(間違っていたらごめんなさい)。つまり、生存圏研究所が紡ぎだして、発信している科学。新しい学問であるので、もちろん母体となる木材科学があったり、植物育種学があったりして、こうした母体となる学問に支えられている部分も強く、所の代表的な研究も、母体を色濃く反映するものからしていないものまで、研究者らが各自で模索していると感じる。生存圏科学はまだ挑戦の最中にあって、それは古参の先生方の研究課題に対する懐の深さと、そして成果に対する厳しい姿勢に現れる。私はもともと農学部で生物的防除を学んできたが、生物的防除を研究している人で、大気や宇宙、マイクロ波科学に触れる人に、私はまだ出会ったことがない。枝葉を延ばす方向は、常に新しい可能性を探っていて、この研究所で育つ自分の研究も、他の人の研究も、生存圏科学の行く末も、今はまだワクワク気分で日々、「生存圏科学」に勤しんでいる。
(生存圏フォーラム会員 京都大学助教 柳川 綾)