menu

生存圏フォーラム 第10回連載コラム

Humanosphere
生存圏研究所は、英語ではResearch Institute for Sustainable Humanosphereと表現されます。まえから見てゆきますとResearch Institute は「研究所」という意味で、Sustainableは「持続可能な」(ランダムハウス英和辞書)という意味です。Humansphereというのは、研究所を作ったときに、humanとshereをくっつけて作った造語でもちろん辞書にも載っていません。
 その語源を探ることで、Humanosphereの意味することを考えてみたいと思います。Humanはラテン語のhumanusが語源なのですが、もっと時代をさかのぼってインド・ヨーロッパ語族祖語(以降、印欧祖語といいます)まで時代をさかのぼってゆくと、hu-という接頭語は、印欧祖語では「大地」を表す単語が由来です。一方で、-manは「考える」が語源で、合わせてhumanは「大地にすむ知能を持った者」という意味。
 こうやって語源を探っていくと、humanという言葉の語源には、知恵の実を食べたアダムとイブが楽園から地上に降り立ったという旧約聖書の記述と語源がよく関連していて面白いですね。一方でshareの語源は「ボールの形」にあり球体を示し、球体には必ず内部と外部を分ける境界があります。
ここまで考えて私もようやくhumanosphereの持つ意味は「大地にすむ人類の持つ球体の領域」とわかりました。そのまま解釈したら、まるで中世の天動説のイメージそのままでないか!と気がつきました
しかし、私は言葉の意味は移り変わり得ますし、科学は、その時代の常識を覆してきた歴史の繰り返しです。まさしく、humanosphereの考え方がコペルニクス的転回をすることを期待しています。そのためには、今までの既得権とか既成概念にとらわれない柔軟な考えが必要なことは、いままでの歴史が物語っています。
自らへの戒めを込めて文章をしたためました。
補遺:
humanとsphereの間にある-o-は百科事典をちょっと引いてみましたが私も語源がわかりません。たぶん読みの流れをよくするのと、”atmosphere”との類似からつけたのではないかと類推します。(生存圏フォーラム会員 京都大学助教 古本淳一)