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生存圏フォーラム 第11回連載コラム

ハニカム構造に見るサステイナビリティ

リオデジャネイロ五輪とパラリンピックに世界が熱狂したが、舞台となったブラジルの国鳥は、全長60cmのオニオオハシ。ラテンの鳥らしく、体長の約3分の1を占める黄色の派手なくちばしをもつ。その大きなくちばしを軽々と持ち上げて飛んでいるのをTVでみた。そして、そのくちばしには実はすごい機能が詰まっていた。超軽量で重さは十円玉三個分、約15グラムしかない。秘密は、くちばしの内部にある六角形の穴が並ぶハニカム構造にあった。
ハニカム構造はミツバチの巣が有名だが、六角形と言う形は隙間なしにスペースを埋められる理想的な構造である。風圧にも揺れにも強く、少ない材料で作ることができる。オニオオハシのクチバシ以外の自然界にあるハニカム構造の例として、犬の肉球の地面に近い底部の表皮層の構造があげられる。地面からの圧力を効率的に分散できる機能を持っている。ネコやヒョウの肉球も同様のハニカム構造を含む。玄武岩の柱状節理もハニカム構造をもつ。ある程度の量のマグマがゆっくりと一様に冷やされたときにできる。マグマに含まれる二酸化ケイ素の結晶形に由来している。同じ六方晶系の炭素からも作られそうである。
自然界にあるハニカム構造をしらべることで、どのように合成できるのか、および、ハニカム構造をどのように活かせられるか、という合成と応用のヒントが同時に得られる。人類の持続的発展に貢献する技術革新のヒントを自然界に見出すことができる。
(生存圏フォーラム会員 京都大学講師 畑 俊充)