赤道MUレーダーパンフレット(3MB)のダウンロードはこちら ( 2014年版パンフレット(9MB), 2017年版パンフレット(3MB))
赤道ファウンテン
赤道域の大気の全ての高度層で現れるエネルギーと物質の流れを
「赤道ファウンテン」として捉え、その変動を赤道MUレーダーで観測します。
研究動向
1984〜 MUレーダー
MUレーダー(中層超高層大気観測用大型レーダー)は、
滋賀県甲賀市信楽町の信楽MU観測所に設置された世界最高性能、
アジア域最大級の大気観測レーダーです。
1984年の完成から現在まで、気象から超高層に至る地球大気変動の解明に貢献しています。
MUレーダーは、周波数46.5MHz、出力1MWのVHF帯電波を用い、アンテナは直径103mの円内に
475本の八木アンテナを並べた構造をしています。
高速な送受信ビームの走査と多種多様な観測が可能なシステム設計が特徴です。
MUレーダーは「世界初のアクティブ・フェーズドアレイ方式の大気レーダー」として
IEEEマイルストーンに認定されました。
これは、電気・電子・情報・通信分野の世界最大の学会であるIEEEが歴史的偉業に対して認定する賞です。
MUレーダー以降は、世界中の大気レーダーが同様のシステム設計を採用しています。
2001〜 赤道大気レーダー
赤道大気レーダー(EAR)は、
インドネシア共和国西スマトラ州の赤道直下に位置するコトタバン大気観測所に、
2000年度末に完成した大型の大気観測用レーダーです。
周波数は47MHzで、八木アンテナ560本から構成される直径約110mの略円形アンテナアレイを備えています。
小型の送受信モジュールが全ての八木アンテナの直下に備えられたアクティブ・
フェーズドアレイ構成を取っており、MUレーダーと比べて最大送信出力が1/10であるものの、
高速ビーム走査が可能です。高度1.5kmから20kmまでの対流圏及び下部成層圏、
高度90km以上に分布する電離圏イレギュラリティなどを観測できます。
2020〜 赤道MUレーダー
EMUレーダー計画は、これまでの経験と知識を基礎として立案され、大型研究
「太陽地球系結合過程の研究基盤形成」
の下で進められています。
現地の地形調査を実施済であり、これによって設置方法を含む詳細なシステム設計が完了しました。
また、工事開始前に必要となる環境影響評価も実施済みです。
EMUレーダーはEARの北側に設置されます。
ヒストリー・赤道大気レーダー(EAR)が拓いた赤道大気研究のフロンティア
EMUレーダーの観測システム
EMUレーダーでは、アンテナの大径化(直径約160m)と尖頭送信出力の増大(500kW)により、
EARと比較して10倍以上感度が向上します。
また、19本x55群のサブアレイを用いたレーダーイメージング観測が可能となります。
EMUレーダーは屋外のアクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ及び送受信モジュールと、
屋内のデータ処理装置及び変復調装置から構成されます。
多チャンネルの高速デジタル信号処理により、
EMUレーダーの観測性能を極限まで高めています。
赤道MUレーダーの諸元
赤道大気観測所
EMUレーダーの設置される赤道大気観測所には、京都大学のみならず、
名古屋大学・首都大学東京・情報通信研究機構・島根大学が運用する観測機器群が併設されています。
観測機器の運用及びこれらを用いた研究活動は、
インドネシア航空宇宙庁をはじめとする現地機関との密接な連携のもと、実施しています。
EMUレーダーと観測機器群との協同観測を通して様々な物理量を観測し、
熱帯大気中の諸現象の本質を解明します。