京都大学生存圏研究所 マテリアルバイオロジー分野 京都大学大学院農学研究科 材料生物分野

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バイオマスの合成生物学

生き物の超絶技巧:バイオマスの形成

木材細胞壁等のバイオマスは、 ①高分子固体である ②生物により合成される という特徴を持っています。水に溶けない高分子を合成する酵素反応の本質は、水に溶けない高分子を熱も圧もかけずに水系溶媒の中で合成する高度な生物機能です。 未解明のこの高分子構造制御メカニズムを解明し、制御することを目指しています。

具体的にはタンパク質・脂質の生化学実験とともに、合成産物の解析として高分子科学・高分子構造解析を使います。下記をご一読ください。

バイオマスの合成生物学

合成生物学的アプローチによる細胞壁構造の模倣と分析から、バイオマス構造の優れた特性の理解を目指す研究を行っています。 バクテリアのセルロース合成酵素、木本植物のセルロース合成酵素、ヘミセルロース合成酵素、セロデキストリンホスホリラーゼによるモデル系を使っています。

 

関連業績

Hirotaka Tajima, Paavo A. Penttilä, Tomoya Imai, Kyoko Yamamoto, Yoshiaki Yuguchi
Observation of in vitro cellulose synthesis by bacterial cellulose synthase with time-resolved small angle X-ray scattering.
International Journal of Biological Macromolecules 130 , 765-777 (2019)

Paavo A. Penttilä, Tomoya Imai, Junji Sugiyama
Fibrillar assembly of bacterial cellulose in the presence of wood-based hemicelluloses.
International Journal of Biological Macromolecules 102 , 111-118 (2017)

Shi-jing Sun, HORIKAWA Yoshiki, WADA Masahisa, SUGIYAMA Junji, IMAI Tomoya
Site-directed mutagenesis of bacterial cellulose synthase highlights sulfur–arene interaction as key to catalysis.
Carbohydrate Research 434 , p. 99-106 (2016)

Paavo A. Penttilä, Junji Sugiyama, Tomoya Imai
Effects of reaction conditions on cellulose structures synthesized in vitro by bacterial cellulose synthases, Carbohydrate Polymers, 136, 656-666 (2016)

Imai, T. Sun, S.-J., Horikawa, Y., Wada, M., Sugiyama, J.
Functional Reconstitution of Cellulose Synthase in Escherichia coli, Biomacromolecules, 15, no.11, 4206–4213 (2014)

Hashimoto, A., Shimono, K., Horikawa, Y., Ichikawa, T., Wada, M., Imai, T., Sugiyama, J.
Extraction of cellulose-synthesizing activity of Gluconacetobacter xylinus by alkylmaltoside, Carbohydrate Research, 346, no.17, 2760-2768 (2011)

セルロース合成酵素の構造-機能相関

 「常温常圧貧溶媒下での高分子鎖の制御」というタンパク質機能を解明するためには遺伝子ではなくタンパク質を分析する必要があります。そこでセルロース合成酵素タンパク質の生化学的・構造生物学的分析を進めています。

電子顕微鏡で見た、酢酸菌のセルロース合成酵素複合体・ ターミナルコンプレックス(矢印で示した一列の粒子群)。BcsB(セルロース合成酵素の補助サブユニットの一つ)を 金コロイドでラベルしている。
精製セルロース合成酵素の電子顕微鏡像。 単粒子解析等の手法を用いて合成酵素の構造解析を進めている。

 

関連業績

Tatsuya Kondo, Yui Nakamura, Shingo Nojima, Min Yao, Tomoya Imai
The BcsD subunit of type I bacterial cellulose synthase interacts dynamically with the BcsAB catalytic core complex
FEBS Letters, 596 (23), 3069-3086 (2022)
Preprint: bioRxiv, 2022, doi: https://doi.org/10.1101/2022.03.27.485962

Shi-jing Sun, Tomoya Imai, Junji Sugiyama, Satoshi Kimura
CesA protein is included in the terminal complex of Acetobacter.
Cellulose 24 (5) , 2017-2027 (2017)
DOI 10.1007/s10570-017-1237-6

木材細胞壁の構造解析と物性相関

木材は天然の複合材料ですが、常温常圧で成分分離が起きない複合体を合成するメカニズムも大変面白いポイントです。そのためには木材細胞壁のナノ構造を正確に理解することが重要です。そこで木材細胞壁の構造解析を進め、物性相関の観点から説明するための研究を行っています。

放射光実験(BL40B2@SPring-8)

 

放射光実験(BL8S3@AichiSR)

 

小角X線散乱像

 

関連業績

Hiroaki Horiyama, Keisuke Kojiro, Yoko Okahisa, Tomoya Imai, Takafumi Itoh, Yuzo Furuta
Combined analysis of microstructures within an annual ring of Douglas fir (Pseudotsuga menziesii) by dynamic mechanical analysis and small angle X-ray scattering

Journal of Wood Science 68, Article number: 52 (2022)

 

 

目標:細胞壁の合成生物学

最終目標は、細胞壁を合成生物学的に作ることです。これが可能となれば、なぜ水の中で高分子がきちんと並ぶのか、相分離せずに混合状態のまま安定でいられるのか、木材の材料としての本質に対する答えが得られるはずです。また遺伝子配列からその木材の物性を予測することも可能になるはずです。そのために、セルロースだけではなくヘミセルロースやリグニンの生合成の研究も進めます。

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