京都大学生存圏研究所 マテリアルバイオロジー分野 京都大学大学院農学研究科 材料生物分野

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木を巡る文理融合サイエンス

木を巡る文理融合サイエンス

「人間と木の歴史を紐解く」

材鑑調査室の保有する木材標本を活用し、木材解剖学、樹種同定、年輪気候学など、人間と木とのかかわりを調べる文理融合的な研究などの研究を推進しています。

木はタイムカプセルです。
歴史を刻んできた木彫像や建造物に使われる小さな木片に様々な科学的調査を応用することで、人間が人と歩んできた歴史を紐解く、そんなワクワクする研究、いかがですか?

研究事例「木彫像」

同じく仏教を信仰する国であっても、例えば日本・中国・韓国で仏像に使用された樹種が異なるらしいことが近年の調査で分かってきました。 では、神像や道教ではどうなのか?時代ごとにどう変遷していくのか? 木彫像の歩んできた歴史をひとかけらの木片から追います。

木材の経年変化

木材の材料寿命に関する研究は、従来、木材が生物材料であり、個体差などの要因によるばらつきを含むため、高分子や金属などの他の工業材料分野と比較して遅れているといえる。

しかし、低環境負荷型の社会構築を目指すためには、循環型持続型資源である木材の有効利用が重要であり、他の工業材料との共存・代替のためにも、他材料と比較可能な木材寿命、経年変化による物性変化の把握が必須である。木材の経年による変化を検証する必要性は、木彫文化財の保存修復に携わる技術者、職人、芸術家らの間においても長年にわたって指摘されており、個々の領域において解明のための取り組みもされてきてはいる。

しかし、課題が多く、新たな視点での関係者との連携が必要となっている。 我々は、歴史的建造物由来の古材試料から連続試験片を作成し、それらの物性試験、化学分析を行っている。

また老化とは、常温での緩やかな酸化反応であるという仮定にもとづいて、熱処理によって人為的に促進老化させた処理材を用いて、力学特性、吸着特性、分光特性、誘電特性などの基礎物性の評価を行い、劣化度と各種物性についての相関関係を明らかにしてきている。

今後は、木材の経年変化の、ものさし作りを行いたいと考えている。

歴史的建造物部材の樹種識別

 現在、国が指定している文化財建造物のうち、木造建造物が占める割合は88%である(2006年7月現在)。 近年、文化財建造物の保存修理工事に際して、日本では建造物使用樹種の識別がますます重視されるようになっている。 文化財建造物の保存修理(解体)工事では、現在使われている材料の再使用に勤めており、棟梁と専門技術者が材料の破損・腐朽程度等を検証し、再利用が可能な材料については丁寧に解体し、必要な箇所のみを修繕する。 日本各地の指定重要文化財、重要文化財に指定されている歴史的建造物の修復工事に伴い、建築当初の部材と修復工事で用いられた部材についての樹種識別を行い、時代ごとの使用樹種の変遷を追っている。 樹種識別は、修復前の材料で修理する目的のためだけに必要なわけではない。 建造物の建築当時の価値、設計の意図、樹種の時代的特徴や地域的特徴などの把握するためにも必要である。 また、建造物の最初の工事内容を示す造営関係文書やその後の修理時の修理内容を記録している修理関係文書が発見されることも多々ある。これらの史料と実際の樹種識別結果との比較も行っている。

樹木年輪分析による気候復元

 樹木の年輪は樹木の年輪成長に与える環境因子には気候、気温、降水量、湿度、大気汚染、害虫、立地、人間社会、樹木の遺伝形質、樹齢などがある。 年輪の幅や1年輪ごとの同位体比は、特にその年輪が出来た環境に左右されやすい。 地球規模で、地球温暖化や異常気象などが注目されている中で、古気候の復元の重要性が増している。気象のデータは、実際のところ、せいぜい100年分程度しかない。 しかし、樹木は1000年、2000年という長期間の年輪をもつものがあり、これらの年輪解析により、古い時代の気候が推定できると考えられる。現在、年輪気候学の新しい研究を進めている。

木の文化と科学シンポジウム

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