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シミュレーションに基づくサブストームの仮想実験

平成26(2014)年度ミッション専攻研究員
Yao YAO

太陽から超高層大気に至る広大な宇宙空間では、磁気嵐、サブストームなどと呼ばれる激しい擾乱現象が頻繁に発生する。これらの現象は太陽風、磁気圏、電離圏という全く異なる性質を持つ領域が複雑に結合した結果生じる電磁プラズマ現象であり、人類の生存環境に大きな影響を与えることから宇宙天気とも呼ばれている。激しいオーロラ活動に代表されるような大規模な電流系が発達すると地上の電力網に甚大な影響を及ぼし、放射線帯が増強すると人工衛星の機能停止や宇宙飛行士に対する放射線障害をもたらす。そして放射線帯粒子が大気へ降り込むとオゾン層を含む大気の組成が変化する。人類の生存環境に対するグローバルな影響を的確に把握するためには人工衛星による直接探査では難しく、妥当性が評価された現実的な計算機シミュレーションを用いることが最も有効な手段と考えられる。本研究では、グローバル電磁流体シミュレーションと分布関数移流シミュレーションを組み合わせ、太陽風から磁気圏・電離圏へのエネルギー変換・輸送過程とその結果生じる磁気圏中の熱いプラズマの時空間発展を解き、高エネルギー粒子が生成される原因として考えられている電磁波動の励起条件を提示することを目的とする。人工衛星の軌道に沿って取得した物理量と人工衛星による実観測結果と比較することによってシミュレーションの妥当性を検証し、人類の生存環境に対する影響の定量化を目指す。