定例オープンセミナー
案内
- 2011年度の定例オープンセミナーは2012年1月25日で終了しました。
- 定例オープンセミナーは開催日(原則,水曜日)の12:30~13:20に総合研究実験棟5階HW525にて開催します。
- 宇治構内の地図です。
- 定例オープンセミナー開催日・題目・発表者の一覧
- 第34回からオープンセミナーの回数は2004 (平成16)年度からの通し番号表示にしました。
- 2008年度より開始時刻および終了時刻は12:30~13:20になりました。
- 年度末に萌芽ミッション研究の総決算として「生存圏萌芽・融合ミッションシンポジウム」を開催します。
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オープンセミナーの風景

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第146回定例オープンセミナー (2012年1月25日12:30,於HW525)
【発表者】 三宮工 (東京工業大学大学院理工学研究科材料工学専攻・助教)
【題目】 ナノプラズモニクスによるバイオセンシングと化学反応のモニタリング Bio-sensing and monitoring of chemical reactions using nano-plasmonics
【内容】 貴金属ナノ粒子が特異な色を示すことは古くから知られており、退色しないことからステンドグラスやガラス工芸品などの着色に用いられてきた。光の波長より十分小さなサイズの金属ナノ粒子内では、自由電子が光の電場に応答し、紫外・可視・赤外付近で特徴的な共鳴(局在表面プラズモン共鳴、LSPR)を示すために発色することが知られている。近年、ナノテクノロジーの発達により様々なナノ粒子を製造することが可能となり、金属ナノ粒子の情報伝送・太陽電池・触媒・センシングなどへの応用が期待されている。今回はその中でもセンシング技術に注目する。 ナノ粒子のプラズモン共鳴は、粒子に近接する物質の屈折率に敏感であるため、共鳴波長を測定することで、屈折率変化を伴う分子吸着を検出することが可能である。この方法は生体分子(抗原、抗体、DNA など)の検出に有用であり、高感度のバイオセンサーとして使われている。光の透過を測定するというシンプルな仕組みと、センサーチップが小さく使い捨てにできることから、血糖値測定のような自宅でのガン検診などへの応用が期待されている。原理的には単一ナノ粒子をセンサーとして用いることが出来るため、単一粒子を観察することで、単一粒子の吸着プロセスや、DNA 分子の結合・屈伸・乖離などが観察されている。 化学反応も一般に屈折率変化を伴うため、ナノ粒子のプラズモン共鳴を使って反応プロセスをモニタすることも可能である。
【資料】 第146回 Web ページ | PDF ファイル (169 213 バイト)
第145回定例オープンセミナー (2012年1月18日12:30,於HW525)
【発表者】 津川卓也 (情報通信研究機構・主任研究員)
【題目】 GPS全電子数観測により捉えられた東北地方太平洋沖地震後の電離圏変動 Ionospheric disturbances detected by GPS total electron content observation after the 2011 Tohoku earthquake
【内容】 高さ約 60 km 以上の地球の大気は、太陽からの極端紫外線等によってその一部が電離され、電離ガス(プラズマ)となっています。このプラズマ状態の大気が濃い領域を電離圏と呼びます。電離圏は、太陽や下層大気の活動等の影響を受けて常に変動しており、しばしば短波通信や、衛星測位の高度利用、衛星通信等に障害を与えます。このような電離圏の変動の監視や、その予報につながる研究を行うため、情報通信研究機構では、イオノゾンデ網やGPS受信機網を利用して、電離圏を定常的に観測しています。この観測の中で、2011 年 3 月 11 日 14 時 46 分に発生した東北地方太平洋沖地震の約 7 分後から数時間にかけ、震源付近から波紋のように拡がり電離圏内を伝播する大気波動を捉えました。本セミナーでは、捉えられた現象の全体像を紹介し、その生成機構について議論します。また、GPS 電離圏観測の今後の展望についても触れたいと思います。
【資料】 第145回 Web ページ | PDF ファイル (262 175 バイト)
第144回定例オープンセミナー (2011年12月21日12:30,於HW525)
【発表者】 恒次祐子 ((独)森林総合研究所構造利用研究領域・主任研究員) Yuko Tsunetsugu (Senior Researcher, Department of Wood Engineering, Forestry and Forest Products Research Institute)
【題目】 森林浴の生理的効果 Physiological effects of “Shinrin-yoku”
【内容】 「森林浴」という言葉は 1982 年に生まれ,今では広く知られる言葉となった。特に近年の「ストレス社会」を背景としてその効果を科学的な手法で明らかにしてほしいという機運が高まっている。私たちが現在行なっている全国の森林における実験では,自律系,中枢系,内分泌系,免疫系の指標を測定することにより森林浴の生理的効果を実証しようとしている。これまでに森林で 15 分程度景色を眺めたり,歩行をしたりすることにより,都市で同様の活動をした際と比較して血圧や脈拍数が低下し,代表的なストレスホルモンである唾液中コルチゾールの濃度が低下することなどが明らかになった。また心拍変動性解析により森林では都市に比較して交感神経系活動が低く,副交感神経系活動は高いことも示された。森林浴の持つリラックス効果に関するデータが蓄積されてきている。
【資料】 第144回 Web ページ | PDF ファイル (119 433 バイト)
第143回定例オープンセミナー (2011年12月14日12:30,於HW525)
【発表者】 横山竜宏 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 赤道大気レーダーによる電離圏観測の10年 Ten years on ionospheric observation with Equatorial Atmosphere Radar (EAR)
【内容】 高度 90 km 以上の電離圏と呼ばれる領域では、太陽紫外線の影響により大気の一部が電離した状態で存在しています。電離圏は下層大気と宇宙空間を繋ぐ遷移領域であると同時に、衛星電波が遅延等の影響を受ける伝搬経路でもあり、特に、局所的なプラズマ密度の不規則構造を伴う電離圏擾乱が発生した場合には、電波の振幅、位相の急激な変動(シンチレーション)が生じるため、GPS 等による電子航法に深刻な障害を及ぼすことが知られています。赤道大気レーダー(EAR)による高速ビーム制御観測により、従来の観測からは得られなかった電離圏擾乱の空間構造をとらえることが可能となりました。EAR による電離圏観測は完成直後から開始され、現在までに約 10 年間の観測データが蓄積されています。本セミナーでは、EAR 電離圏観測の主要な結果を紹介し、その重要性について議論します。
【資料】 第143回 Web ページ | PDF ファイル (464 070 バイト)
第142回定例オープンセミナー (2011年11月30日12:30,於HW525)
【発表者】 藤原正智 (北海道大学大学院地球環境科学研究院・准教授)
【題目】 熱帯下部成層圏の水蒸気の季節~10年規模変動 Seasonal to decadal variations of water vapor in the tropical lower stratosphere
【内容】 成層圏における水蒸気は、放射収支やオゾン層の光化学に重要な役割を果たしています。本発表では、1993 年から 2009 年の期間に熱帯で行われた様々な観測キャンペーンによる気球搭載・冷媒使用型霜点温度計ゾンデデータに基づいて、成層圏の水蒸気の季節変動、準二年振動に伴う変動、10 年規模の長期変動を調べた結果について議論します。季節変動については、いわゆる “Tape Recorder Signal” と呼ばれる成層圏水蒸気の特徴的な季節変動の様子がゾンデデータにも見られることが確認されました。赤道下部成層圏の東西風に特に顕著にあらわれる準二年振動については、水蒸気分布に 2 つの効果があることが分かりました。ひとつは、準二年振動に伴う子午面循環の変動に伴う水蒸気分布の上下変動、もうひとつは、準二年振動に伴う対流圏界面気温の変動が作る水蒸気濃度の変動です。最後に、熱帯下部成層圏の東西一様性を仮定し、様々な地点で得られたデータから 1993 年から 2009 年の 17 年間における熱帯下部成層圏の水蒸気濃度の時系列図を作成したところ、1990 年代に微増し、2000 年前後に低下、その後 4–5 年間程度低い値を維持したのち、2004 年以降再び徐々に増加し 1990 年代のレベルに近づく、という 10 年規模の変動があったことが分かりました。従って、成層圏の水蒸気の長期変動を考える際に、線形トレンドのみに注目していたのでは、重要な現象を見落とすことが分かりました。
【資料】 第142回 Web ページ | PDF ファイル (125 641 バイト)
第141回定例オープンセミナー (2011年11月16日12:30,於HW525)
【発表者】 Chow-Yang Lee (京都大学生存圏研究所・客員教授)
【題目】 The aftermath of March 11 earthquake and tsunami in Tohoku —Insect pest issues, emergency pest management operation, and other challenges 東日本大震災の余波 —害虫問題とその対策
【内容】 In this seminar, I will discuss the experience from my trips to the tsunami-torn zones in Tohoku, how the March 11, 2011 disaster has led to the serious pest infestation in Tohoku, the emergency pest management operation against the flies, and lastly the entomological studies in relation to the pest species, population dynamics and the eventual successful management of the flies.
【資料】 第141回 Web ページ | PDF ファイル (93 873 バイト)
第140回定例オープンセミナー (2011年11月2日12:30,於HW525)
【発表者】 檀浦正子 (京都大学大学院農学研究科・助教)
【題目】 安定炭素同位体と近赤外レーザー分光法を用いた樹木のCO2固定量の追跡 Tracing of CO2 flow in tree using stable carbon isotope and tunable diode laser spectroscopy
【内容】 陸上生態系の中で、森林は主たる二酸化炭素の吸収源である。しかし森林を構成している樹木は、一方的に炭素を吸収し続けるわけではなく、光合成と同時に呼吸も行うため、その差し引き分が炭素として樹体に数十年にわたって蓄積されることになる。そこで、樹木内にいつどれだけ炭素が吸収され、放出され、その結果どこにどれだけ炭素が蓄積されるか、またそれは環境要因によりどの程度変化するか、より詳細に調査することが必要であるが、二酸化炭素は透明であるため、観測は容易ではない。本研究では、炭素安定同位体ラベリング手法を森林樹木に適用し、最新のレーザー同位体分光装置を用いて測定することによって、樹体に取り込まれた炭素が森林生態系をどのように滞留・循環し、放出されていくのかを精密に定量化することを目指している。今回の発表ではラベリング手法の紹介および、申請者が行ってきた実験結果と日本での適用例を紹介する。
【資料】 第140回 Web ページ | PDF ファイル (601 599 バイト)
第139回定例オープンセミナー (2011年10月26日12:30,於HW525)
【発表者】 海老原祐輔 (京都大学生存圏研究所・准教授)
【題目】 宇宙の天気、宇宙の嵐 Space weather and space storms
【内容】 気象衛星、GPS 衛星、通信衛星、放送衛星など、私達の生活はこれら宇宙のインフラストラクチャに依存しています。宇宙機が飛翔する空間を宇宙空間と呼び、宇宙空間の状態を宇宙天気と呼びます。太陽から届く可視光線や赤外線などの電磁波が天気を支配しますが、太陽から届くプラズマの風(太陽風)が宇宙天気を支配します。 太陽風と地球固有磁場が相互作用した結果、様々な宇宙天気が現れます。極域の夜空を飾るオーロラは宇宙天気の一例です。嵐もおこります。高温のプラズマが地球近傍に押し寄せて地球を取り囲む電流を流し、高エネルギーの粒子が数桁以上増加します。これを磁気嵐と呼び、人工衛星の帯電や、衛星に搭載された半導体の誤動作などの原因となります。 多くの人工衛星は地球固有の磁場が支配する内部磁気圏を飛翔しています。内部磁気圏では荷電粒子が比較的安定に捕らえられており、これら粒子の起源、輸送、加速、消失過程を理解することが重要課題となっています。セミナーでは、シミュレーション、衛星観測、地上レーダー観測を組み合わせた最新の研究成果をわかりやすく解説するとともに、平成 23 年度生存圏科学萌芽研究として進めている研究プロジェクトを紹介します。
【資料】 第139回 Web ページ | PDF ファイル (410 751 バイト)
第138回定例オープンセミナー (2011年10月19日12:30,於HW525)
【発表者】 畑俊充 (京都大学生存圏研究所居住圏環境共生分野・講師)
【題目】 木からダイヤモンドは作れるのか? Can we make diamond from wood?
【内容】 かつて、燃料として日本人の暮らしを支えてきた木炭。再生可能な資源である木材を炭化して得られる木炭を新たな物質に変身させ、燃料以外にも活用していこうとする取り組みが進行しています。木材に新たな価値をもたらす、木炭に学ぶ天然素材の未来とは? 水や空気の浄化作用、消臭・脱臭作用、調湿作用、電磁波遮断効果など、さまざまな木炭の持つ環境を浄化する機能が注目を浴び、製品化されています。木炭は、六角形のハチの巣のような構造を持ち、たくさんの小さな穴をもつ多孔体からなります。この小さな穴に水分やガスなどを吸着することで、さまざまな機能を発揮します。 木炭のマクロ構造とミクロ構造をあわせ持つマルチスケール構造を活かしてバイオマスの利用研究が進められています。今後、木炭の微細構造や表面化学的性質を更に詳細に分析することを通した、木質構造を最大限に活かした材料づくりも、副産物の木酢液・バイオオイルの研究・開発同様、活発に進められることでしょう。
【資料】 第138回 Web ページ | PDF ファイル (236 842 バイト)
第137回定例オープンセミナー (2011年10月5日12:30,於HW525)
【発表者】 Sanjay Kumar MEHTA (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 Long-term behavior of the temperature structure in the tropical tropopause layer
【内容】 The distinction between troposphere and stratosphere may not always occur at sharp boundary as defined by the tropopause. There is an important atmospheric layer where this distinction occurs, which has properties both of the troposphere and the stratosphere. In the topics, this region referred to as the tropical tropopause layer (TTL). The long-term analysis of the TTL temperature carried out using multiple regression analysis taking into account of the various atmospheric indices such as Quasi-biennial Oscillation (QBO), El Nino Southern Oscillation (ENSO), Indian Ocean Dipole (IOD), Solar cycle (SC) and aerosols due to volcanic eruptions. There is clear cooling in the lower stratosphere however, warming in the troposphere is not robust. The change over altitude from tropospheric warming to stratospheric cooling occurs into as well as below the TTL.
【資料】 第137回 Web ページ | PDF ファイル (87 398 バイト)
第136回定例オープンセミナー (2011年9月28日12:30,於HW525)
【発表者】 木村彰孝 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 快適な室内空間と木材 Comfort of indoor space and characteristics of wood
【内容】 内装に木材を用いた部屋では、木材の見た目や香りなどといった特徴により人は「自然さ」「落ち着き」「あたたかさ」「快適さ」を感じると言われており、木質空間の印象を評価した研究においても、心理面ではこれらの作用が確認されています。しかし、心理面による評価では、①自分の状態を言葉で解釈し直す必要がある、②言葉のもつ意味や尺度が人によって異なるなど、人の状態を客観的な数値により評価するには限界があると考えています。 そこで、私は人の心理面に加え、生理面、特に脈拍・血圧・心拍変動・唾液アミラーゼ活性といった自律神経系の指標を同時に測定することで、木材および木質空間の快適さや健康の維持・増進作用を数値により科学的に明らかにすべく、研究を進めてきました。本セミナーでは、木材および木質空間と人の心理・生理面との関係に関するこれまでの研究成果と今後について紹介します。
【資料】 第136回 Web ページ | PDF ファイル (556 271 バイト)
第135回定例オープンセミナー (2011年9月21日12:30,於HW525)
【発表者】 森拓郎 (京都大学生存圏研究所・助教)
【題目】 東北地方太平洋沖地震における木造被害調査 Survey of Damage of Wooden Constructions at The 2011 off the Pacific Coast of Tohoku Earthquake.
【内容】 2011 年 3 月 11 日 14 時 46 分、宮城県沖を震源とする大きな地震が発生した。地震の規模は M9.0 と 1900 年以降 4 番目に大きな地震であり、その範囲は南北に約 500 km、東西に 200 km と言われ、広大な範囲となっている。 このような巨大地震に対して、日本建築学会と日本木材学会の両面からなるメンバーで 4 月 14 日から 16 日まで岩手県と宮城県の被災地の調査を行った。震動被害で倒壊している建物は散見している状態で、兵庫県南部地震や中越地震などと比べるとその被害は小さいと感じられたが、けして被害が軽微と言うことはなく、地震動による地盤の損傷なども多く確認された。また、津波の起こった地域においては、木造の建物が残ってはいるが、けしてそのまま使えるような状況ではないことなどが確認された。このような報告について写真を交えて、その様子を報告する。
【資料】 第135回 Web ページ | PDF ファイル (117 685 バイト)
第134回定例オープンセミナー (2011年9月14日12:30,於HW525)
第 1 部
【発表者】 畑俊充 (京都大学生存圏研究所・講師)
【題目】 国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)への申請経緯 Detail of Application to J-RAPID (Rapid Response Research)
【内容】 米国の北イリノイ大学、マイアミ大学、フロリダ大学と京都大学の共同で「東日本大震災の津波により発生した汚染がれき等災害廃棄物が沿岸環境に及ぼす影響に関する研究調査」というテーマの申請書を日本サイドは JST へ提出し、米国サイドは NSF への提出を試みた。しかし、本テーマは日本政府や自治体が取り組むべき問題であるという NSF 関係者の判断により、申請直前に取りやめとなった。 放射能を含む災害がれきが沿岸環境に対して将来的に与える影響を評価することに目的があり、以下の項目からなっていた: 1) 沿岸環境、特に土壌および水に重点をおき、沿岸地域の災害破片の毒性や放射能の定量的な特性評価 2) 災害がれきのある地域周辺における有毒元素と放射能汚染に関する定量的な環境アセスメント 3) 毒性元素と低レベルの放射能を含む廃棄物の溶出ポテンシャルの評価 4) 原子力発電からの放出された放射性物質の相対的影響を評価するための成分組成変化モデルの開発
第 2 部
【発表者】 上田義勝 (京都大学生存圏研究所・助教)
【題目】 福島県下における土壌・水質汚染の実地調査と、放射性核種の高速除去技術の実証研究 Sustainable study for the cleaning technology of radioactive materials in contaminated soil and water in Fukushima
【内容】 我々は 4 月より福島県農業総合センターと共同で、放射性セシウムで汚染された土壌に対する除洗方法の検討を行っている。農業用地の土壌洗浄は最優先で行うべき作業であるが、確立された手法が未だ存在しない。 本研究では、土壌を痛めない肥料系薬剤を用いつつ、効率を上げる為の実証実験も行う。実証実験後はフロテーション法による放射性物質収集の実証実験を行いつつ、効率的に補修を行う。
【資料】 第134回 Web ページ | PDF ファイル (545 412 バイト)
第133回定例オープンセミナー (2011年7月27日12:30,於HW525)
【発表者】 山元誠司 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 木質バイオマス由来抗ウイルス性化合物の探索 Screening of Antiviral Compounds from Woody Biomass
【内容】 地球温暖化や輸送手段の広域・高速化により、人畜に有害な病原体が広汎かつ迅速に伝播していることは大きな社会問題の一つとなっている。本研究では、再生産可能な木質・森林バイオマスの変換により人類の生産活動に有用な物質を生産するという新しい研究領域を開拓することを目的とし、木竹酢液の抗ウイルス活性について検討を進めている。木竹酢液は、木竹炭を製造する際に副次的に得られ、殺菌をはじめとする様々な生理活性成分を含有することが知られており、ウイルスなどの病原体の駆除にも有用なバイオマスである可能性が考えられる。現在、昨年日本において猛威をふるった口蹄疫ウイルスなどに対する消毒薬を木竹酢液から生産することを念頭に、木竹酢液の抗ウイルス活性を評価している。講演では、木竹酢液成分の分析、培養細胞を用いた毒性試験、抗ウイルス活性試験の結果を基に、木竹酢液の生理活性物質としての可能性を議論したい。
【資料】 第133回 Web ページ | PDF ファイル (323 010 バイト)
第132回定例オープンセミナー (2011年7月20日12:30,於HW525)
【発表者】 田鶴寿弥子 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 SPring-8で紐解く木質文化財からのメッセージ Messages from wooden heritages unveiled by SPring-8 experiment
【内容】 日本人は古くより樹種特性と用途における明確な体系を確立してきた。木質文化財のうち特に、宗教・信仰の対象物の制作には、何らかの意味・重要性をもつ樹種が選択されたと想像できる。従来、木材の樹種識別では木材の 3 断面の観察が必要で、片刃・両刃剃刀などを用いて薄片を切り出し、プレパラートにして光学顕微鏡で観察する作業が必要であった。しかし国宝や重要文化財では木片を得ること自体が困難で、修理時に得られても極微量という問題が発生してきた。中でも神像・狛犬・仮面といった木彫像は極微量の試料ですら神聖であるとされ、調査自体が困難であった。そこで、極微量の試料でも識別が可能であり、また調査後の試料を将来へ残せる新方法、シンクロトロン放射光 X 線マイクロトモグラフィーによる識別法を確立し、様々な文化財に応用してきた。セミナーでは、特に神像・狛犬を中心とした木彫像の調査例から近年判明してきたことについて述べる。
【資料】 第132回 Web ページ | PDF ファイル (569 731 バイト)
第131回定例オープンセミナー (2011年6月29日12:30,於HW525)
【発表者】 樫村京一郎 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 材料創製分野におけるマイクロ波加熱の魅力 Intelligent material manufacturing by electromagnetic energy
【内容】 化石資源の消費量を減らし太陽輻射を利用した再生産可能なエネルギー変換利用による持続的な社会を構築するためには、これらの技術を用いた化学資源変換の研究を進展させることは必須である。本講演では、この工学的解の一例としてマイクロ波によるエネルギー供給法を用いたプロセスを紹介し、材料屋の視点からこのエネルギー供給法の魅力を述べる。 ものづくり分野で注目すべきエネルギーの形の一つとして、熱が挙げられる。化学反応に必要な熱を供給するという視点によれば、マイクロ波は高速 加熱能、選択加熱能などの特徴を備えている点が魅力的であり、これを利用したマイクロ波製鉄、空気中での窒化物合成といった新しいプロセスの提案がなされている。また、近年、(ここ 5 年間で)物材へのマイクロ波の熱とは異なる効果について盛んに報告がなされている。もし可能であれば、現在のホットトピックであるこの「マイクロ波の非熱的効果」について吟味する。
【資料】 第131回 Web ページ | PDF ファイル (337 978 バイト)
第130回定例オープンセミナー (2011年1月19日12:30,於HW525)
【発表者】 池田武文 (京都府立大学大学院生命環境科学研究科森林生理生態学研究室・教授)
【題目】 樹木の樹勢判定 —水分生理の視点から— Judgment of tree vigor from the viewpoint of water relations
【内容】 全国各地に植栽された、名所となっているサクラ(ソメイヨシノ)の多くで衰弱・衰退が進み、そのうちには、樹木医さんによる治療が施されている個体も多数ある。治療にあたっては事前の診断が行われている。診断には、外観からの判定、機器を使っての判定等が実施されている。衰弱が進むと、最悪の場合、個体が枯れるが、そこまでに至らなくても、葉の異常落葉、枝枯れ等がみられる。本報告では、樹木の水分生理に関する視点からソメイヨシノの樹勢判定についてのべる。具体的には、葉の水分生理特性と枝のキャビテーション(水切れ)感受性を測定し、衰弱の程度を評価した。その結果、外観的には正常と判断できる木でも、しおれの危険性がある場合、外観的にはあきらかに異常でも、水分生理学的にはバランスのとれた状態であり、枯れる危険性はないと判断でき、見た目と木の生理状態が必ずしも一致しないことがわかった。
【資料】 第130回 Web ページ | PDF ファイル (233 306 バイト)
第129回定例オープンセミナー (2011年1月12日12:30,於HW525)
【発表者】 西村裕志 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 木竹酢液の成分分析と生理活性評価 —抗ウイルス活性を中心として— Analysis and evaluation of wood and bamboo pyroligneous acids as antiviral agents
【内容】 地球温暖化などによる環境変動、グローバル化による人・動物・物の移動によりウイルスをはじめとした感染症のリスクが高まっている。木酢液、竹酢液はバイオマスの熱分解物であり、これまでに消毒や土壌改良剤、皮膚疾患への薬効や抗菌性が一部認められているが科学的な検証は十分ではない。本研究ではバイオマスから生理活性物質・生体防御物質を生産するという新しい研究領域を開拓することを目的とし、これまでにほとんど知見がない木酢液、竹酢液成分の抗ウイルス活性について検討を進めている。特に昨年来、日本、韓国をはじめ猛威をふるっている口蹄疫などの有害なウイルスの消毒薬を未利用バイオマスから生産することを視野に入れて、京都大学ウイルス研究所、秋田県立大学木材高度加工研空所と共同研究を開始した。講演では、木竹酢液成分の分析、ヒトやマウスの細胞毒性試験、抗ウイルス性試験の結果をもとに、木酢液、竹酢液の生理活性物質としての可能性について議論したい。
【資料】 第129回 Web ページ | PDF ファイル (408 465 バイト)
第128回定例オープンセミナー (2010年12月8日12:30,於HW525)
【発表者】 田淵敦士 (京都府立大学大学院生命環境科学研究科・講師)
【題目】 里山保全ツールとしての建築 —笹葺民家の修理を通じて Architecture as a tool for SATOYAMA Initiative —Through an activity of restoring a house with a bamboo grass roof
【内容】 かつて、都市の発展を支えてきた地方や地域を、今度は都市が支える必要がある。そのために、建築ができること。里山の中心に人間がいて、その周りに動物がいて、植物が生育し、自然が形成される、その受け皿としての場を建築が提供できないか。里山の自然とは、人の手があって初めて成立するもので、ある種の人工的作為が自然を守っている。里山がある中山間地が抱える問題の一つは担い手の不足である。若年層の人口が減少し、集落から活気が失われていく。京都府京丹後市を中心とした里山保全・再生に取り組む活動の中で、現在、空き家になっている笹葺民家を修理し、活動の拠点を整備している。本講演では、この民家修理の現況を紹介し、その過程で土蔵の壁土の特性について調査した成果を中心に建築が果たせる役割について議論したい。
【資料】 第128回 Web ページ | PDF ファイル (218 826 バイト)
第127回定例オープンセミナー (2010年11月24日12:30,於HW525)
【発表者】 岸本久太郎 (農業・食品産業技術総合研究機構 任期付研究員)
【題目】 植物はなぜ青臭い? Why do plants have green leaf odour?
【内容】 葉っぱをちぎると青臭い匂いがする。この匂いの正体は、炭素数6個のアルデヒドやその派生物を中心とした脂肪酸誘導体であり、「みどりの香り」と総称される。京都大の高林や山口大の松井らのグループは、みどりの香りが、植物の生態系に重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。すなわち、植物が虫に食われると、患部からみどりの香りなどが生じ、それが天敵を誘引して虫を撃退するという仕組みである。巨視的には、植物は香りという「シグナル伝達物質」を用いて虫の天敵という「免疫」を活性化させているように映る。植物の香りを介した生体防御機構は、生態系の各パーツを、ひとつの生命体の各器官に準えることができる好例のように感じられる。 演者は、山口大松井らの研究グループで、みどりの香りの生理学的な機能の研究を行ってきた。その結果、みどりの香りは、病原菌に対する直接的な防御物質として、あるいは防御応答のシグナルとして機能している可能性が示された。今回のセミナーでは、それらの成果を中心に、植物が青臭い理由について議論していきたい。
【資料】 第127回 Web ページ | PDF ファイル (228 047 バイト)
第126回定例オープンセミナー (2010年11月17日12:30,於HW525)
【発表者】 荻田信二郎 (富山県立大学工学部 生物工学科植物機能工学講座 准教授)
【題目】 植物細胞培養 —その確立と応用— Establishment of cell culture system and its application
【内容】 植物は、生殖細胞だけでなくすべての体細胞が、あらゆる組織に分化して植物体を再生し得る能力、すなわち分化全能性を持つといわれている。優良形質を持つ植物のクローンを大量増殖したり、有用な植物代謝物を生産したりできる植物組織培養は、この分化全能性を利用した技術だ。現在までに、草本植物ではタバコ、シロイヌナズナ、イネ、木本植物ではポプラなど幾つかの種においては、汎用性の高い植物組織培養技術が体系化されている。これらは、植物の複雑な形態形成や生理現象を研究室内で再現できるモデルとして、近年、植物細胞分子生物学の研究分野で広く用いられる。一方で、依然として植物組織培養が困難な植物種も多く、その技術の進歩は植物バイオテクノロジーの発展に必要不可欠だ。本セミナーでは、植物分子細胞生物学に応用される植物組織培養技術について、その中でも細胞培養を中心に系確立と応用に関する議論をしたい。
【資料】 第126回 Web ページ | PDF ファイル (272 931 バイト)
第125回定例オープンセミナー (2010年10月27日12:30,於HW525)
【発表者】 篠原真毅 (京都大学生存圏研究所・教授)
【題目】 バイオマス・物質変換のためのマイクロ波高度利用共同研究 Collaborative Research of Advanced Microwave Processing for Biomass Refinery and Creation of New Materials
【内容】 生存圏研究所では研究所に特徴的なプロジェクト型共同研究を支援するため、フラッグシップ共同研究を立ち上げ、公募により 3 件を採択した。フラッグシップ共同研究は、従来中核研究部などで個別に実施していたプロジェクト型共同研究を、可視化・研究支援することを主な目的とする。その一つが本共同研究である。本共同研究の目的はマイクロ波プロセスを応用した木質バイオマスからのバイオエタノール、バイオケミカルス生成の高効率化、及び無機系の材料創生のマイクロ波プロセスの開発である。大電力マイクロ波技術と、バイオエタノールや無機材料等の化学知識を同時に兼ね備え、両方の研究者が在籍する研究所は全世界でも生存圏研究所しかない。本フラグシップ共同研究は、生存圏研究所の特色を生かし、マイクロ波工学と化学研究者、及び物質構造解析の研究者が参加することにより、マイクロ波プロセッシング科学の発展と応用技術開発を目指す。マイクロ波プロセスを応用した木質バイオマスからのバイオエタノールは NEDO 「バイオマスエネルギー高効率転換技術開発/バイオマスエネルギー先導技術研究開発」に採択され、バイオエタノール量産化のための効率・コスト・環境影響の評価等を行い、バイオエタノールの量産に向けて研究を発展させている。これまでの研究実績が認められ、平成 21 年度には「高度マイクロ波応用システム」設備が認められた。マイクロ波アプリケータ、様々な周波数対応の大電力マイクロ波発生装置、マイクロ波測定装置、質量分析器、有機用/無機用の 2 種類の電子顕微鏡等で構成された本システムを用いた研究は生存圏研究所のフラグシップ研究としての大きな特色であり、今後の全国共同利用化への展開と共同研究の発展が期待できる。本セミナーではこの有機系のバイオエタノール・プロジェクトと無機系の酸化チタンの研究を紹介する。
【資料】 第125回 Web ページ | PDF ファイル (165 717 バイト)
第124回定例オープンセミナー (2010年10月20日12:30,於HW525)
【発表者】 西憲敬 (京都大学大学院理学研究科・助教)
【題目】 熱帯域上部対流圏循環の構造 Large-scale circulation in the tropical upper troposphere
【内容】 熱帯対流圏の対流活動は、成層圏・中間圏でみられる波動の波源である。近年、どのような種類の波がどの地域から成層圏に伝播しているかの精密な知識の重要性が指摘されている。GPS 掩蔽法は、全球的にすぐれた鉛直分解能で温度構造を提供する。 2006 年運用開始の COSMIC 衛星によるこの方法を用いて、温度構造の複雑な圏界面付近にみられる興味深い定在温度構造を見いだすことができた。北半球夏における上部対流圏では、亜熱帯インド洋領域においてチベット高気圧とそれに伴う循環の一部をなす東風ジェットが支配的である。その中に、1–2ヶ月間、まわりに比べて明瞭に高温な領域が定在し、高度が上がるにつれてその位置が東にずれていることがわかった。このような圏界面付近の大規模循環およびそれが波動伝播・増幅に与える影響は、波源である対流圏とその影響を受ける成層圏から熱圏までの赤道大気の鉛直結合を理解する上で重要である。
【資料】 第124回 Web ページ | PDF ファイル (211 096 バイト)
第123回定例オープンセミナー (2010年10月13日12:30,於HW525)
【発表者】 矢野浩之 (京都大学生存圏研究所・教授)
【題目】 植物で自動車を創る —生存圏フラッグシップ共同研究 “バイオナノマテリアル” の紹介—
【内容】 この地球上には 1 兆 8 千億トンのバイオマス資源が存在すると言われていますが、その 99.9 % が植物バイオマスであることはあまり知られていません。さらに、植物の基本構成単位である細胞が幅 10–50 nm のナノファイバーで構築されていることについてはほとんど知られていないと言って良いでしょう。驚くべきことに、このナノファイバーは細いだけでなく、鋼鉄の 1/5 の軽さで、その 5 倍の強度 (2–3 GPa) を有しています。また、線熱膨張係数がガラスの 1/50 以下 (0.1 ppm/K) と石英ガラス並に極めて小さい繊維です。これまで生存研では、このスーパーナノファイバーを用いて、鋼鉄のように強いナノ材料やガラスの様に低熱膨張で、しかも曲げられる透明材料を開発してきました。本講演では、セルロースナノファイバーの製造と利用について紹介すると共に、生存圏フラッグシップ共同研究としてのバイオナノマテリアルの今後の展開について説明します。全く新しい素材:バイオナノマテリアルに興味のある皆様の多数の参加をお待ちしています。
【資料】 第123回 Web ページ | PDF ファイル (471 365 バイト)
第122回定例オープンセミナー (2010年9月29日12:30,於HW525)
【発表者】 本田与一 (京都大学生存圏研究所・准教授)
【題目】 白色腐朽菌によるリグニン生分解系の分子メカニズム解明における新規研究手法の開発 Toward new experimental techniques to analyze molecular mechanism for lignin biodegradation by white rot fungi
【内容】 白色腐朽菌によるリグニン分解の分子メカニズムを解明し、次世代のバイオリファイナリーにおける低環境負荷的な前処理技術を開発することを目的として、ヒラタケをモデルとして、(1) 担子菌類では初めてとなるジーンターゲッティング系の開発、(2) プロテオーム解析と逆遺伝学的な手法の融合、(3) リグニン分解に係わる様々な遺伝子の発現制御メカニズムの解明を目指している。その成果は、ヒラタケにとどまらず Ceriporiopsis subvermispora などの担子菌類における独自のリグニン分解メカニズムの解明に大きく貢献することが期待され、ミッション 2 「太陽エネルギー変換・利用」における木質バイオマスの変換利用を、より省エネルギー的に利用する新しいプロセス開発を行う基盤として重要な研究である。今回、平成 22 年度部局活性化経費(海外研修)の支援を受けて、イスラエル、ドイツ、イタリアの研究グループと共同研究を開始することができたため、報告させていただく。
【資料】 第122回 Web ページ | PDF ファイル (146 463 バイト)
第121回定例オープンセミナー (2010年9月22日12:30,於HW525)
【発表者】 山根悠介 (常葉学園大学教育学部・講師)
【題目】 東南アジア・南アジア域における大気環境診断パラメータデータベースの構築 Construction of environmental parameter database over the south and southeast Asia
【内容】 本研究は、大気環境診断パラメータの東南アジア・南アジア域におけるデータベースを構築し、これらの有効活用によるこの地域の様々な大気現象の理解に寄与しようとするものである。当該地域は多様な大気現象に彩られており、中でも降水は自然環境や人間生活に大きな影響を及ぼしている。大気現象のしくみを理解する上で大気環境の基本的な変動特性を把握することは重要である。例えば降水現象について理解しようとする場合、降水の供給源である水蒸気量の時空間変動を把握することは重要である。大気環境診断パラメータは、水蒸気量や大気不安定度などの大気状態を診断するためのパラメータであり、これらのパラメータの時空間変動特性から大気環境の変動特性を比較的容易に把握することができる。本オープンセミナーでは、大気環境診断パラメータを用いたこれまでの研究結果、データベース構築の方法とそれらの有効活用の方策について述べたい。
【資料】 第121回 Web ページ | PDF ファイル (164 089 バイト)
第120回定例オープンセミナー (2010年9月15日12:30,於HW525)
【発表者】 片平正人 (京都大学エネルギー理工学研究所・教授)
【題目】 超高感度NMRによるタンパク質と木質バイオマスの構造生物学 Structural biology of protein and wood biomass by NMR with super high sensitivity
【内容】 NMR は、生体分子の溶液中における化学構造及び立体構造を原子レベルの分解能で決定できる唯一の手段である。そして超高感度検出器クライオプローブの出現によって、NMR 法の適用範囲は大きく広がった。本セミナーでは、NMR 法を用いた我々の研究成果を 2 点紹介する。 抗 HIV 活性を有する APOBEC3G タンパク質に関して、立体構造及び DNA との相互作用様式の決定を行った。さらに NMR シグナルを用いる事で酵素反応をリアルタイムでモニタリングする事に成功した(EMBO J., 2009)。そしてこのモニタリングから、APOBEC3G タンパク質が DNA 上を極性を持ってスライディングしている事が示唆された。 生存研の渡辺先生との共同研究で、木質バイオマスを溶液 NMR 法によって丸ごと解析する事をスタートさせた。適切な前処理とクライオプローブを組み合わせる事で、リグニン等のヘテロな有用物質に関し、化学構造(分子構造)・量比・化学構造変換等に関する情報が得られつつある。
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第119回定例オープンセミナー (2010年9月8日12:30,於HW525)
【発表者】 三谷友彦(京都大学生存圏研究所・助教)
【題目】 宇宙太陽発電に関するよくある疑問と回答 —焼き鳥にさせないために— Frequently-Asked Questions on Solar Power Satellites —To Avoid Making a Roast Chicken—
【内容】 宇宙太陽発電構想は、生存圏研究所のパンフレット等の表紙絵にある通り、重要なプロジェクトの一つとして位置づけられている。セミナーの前半では、宇宙太陽発電構想を一般向けにあらためて紹介するとともに、宇宙太陽発電に関してこれまで皆様から頂いた良く聞かれる疑問・懸念を抜粋し、質問に答える。セミナーの後半では、生存圏科学萌芽研究に今年度採択された研究課題「宇宙太陽発電所の超大規模フェーズドアレーアンテナにおける位相最適化問題の研究」について紹介する。宇宙太陽発電構想では、何十億ものアンテナを使って宇宙から地上へ無線電力送電する。その際、フェーズドアレーと呼ばれる波の干渉原理を利用した方法で、マイクロ波電力を所望方向へ集中させる。この電力集中度合いを最大化するために、数学的アプローチからフェーズドアレーアンテナを検討することが、本研究課題の骨子である。
【資料】 第119回 Web ページ | PDF ファイル (184 867 バイト)
第118回定例オープンセミナー (2010年7月28日12:30,於HW525)
【発表者】 王悦 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 木材における液体流動の経路を開こう —壁孔の破壊を中心に Explorations of opening the liquid movement path of wood —Focusing on pit rupture
【内容】 樹木の心材形成(特に針葉樹)や木材乾燥において,閉塞壁孔という現象が発生する。そのため,木材の各処理には,障害を引き起こす。例えば,木材を製材乾燥する場合,水分が木材中より外部に移動しにくくなるために,割れ、そり、狂いなどの障害を発生するほか、乾燥時間が掛かる。また,逆に,木材を防腐処理する場合,壁孔が閉塞しているために,薬液が木材中へ十分入りにくくなる。そのため、研究者たちは,液体の移動の経路を再び開けるために,細胞壁の破壊なしに閉塞した壁孔の有効通路を拡大する剥離、破壊法を考案した。 本研究では,今までにも検討が試みられた横圧縮変形法という破壊法を用いて,未だ十分に明らかにされていない横圧縮前処理による壁孔の形態変化を走査電子顕微鏡で観察し、壁孔の破壊の特徴、力による破壊の発生率、樹種による特徴などを解明し,樹種グループによる適切な浸透改善法を明確にすることを目的とした。
【資料】 第118回 Web ページ | PDF ファイル (162 333 バイト)
第117回定例オープンセミナー (2010年7月21日12:30,於HW525)
【発表者】 中谷誠 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 審美性と施工性に優れた木質ラーメン構造の開発 Development of aesthetic and easy constructing joint system for timber portal frame
【内容】 森林資源を多量に使用する木造建築は、環境共生型社会の都市形成に大きく寄与できると考える。また、一般住宅から学校施設などの中規模建築物まで内部空間を大きく設けることのできる木質ラーメン構造が注目を浴びている。木質ラーメン構造は内部空間を自由にアレンジできることから使用用途の変化に柔軟に対応でき、長期間の使用に適した建築構造であると言える。しかしながら、木造の接合部は鉄骨造やコンクリート造のように溶接などの一体化接合が不可能であることから、様々な接合形式による接合部を設ける必要がある。特にラーメン構造は、壁や筋交いなどを設けないことから接合部の構成が容易ではない。本セミナーでは、大型のネジ型接合具であるラグスクリューボルトとそれに組み合わせる特殊な金物による建築現場において施工性が良く、審美性に優れ、地震などの外力に対して安全な木質ラーメン構造の開発研究について紹介する。
【資料】 第117回 Web ページ | PDF ファイル (371 899 バイト)
第116回定例オープンセミナー (2010年7月14日12:30,於HW525)
【発表者】 疋島充 (生存圏研究所ミッション専攻研究員)
【題目】 地球放射線帯におけるコーラス放射の生成と粒子ダイナミクスへの寄与 Generation of chorus emissions and contribution to particle dynamics in the radiation belt
【内容】 地球周辺は磁気圏と呼ばれる地球の固有磁場が勢力を及ぼす領域が存在する.この磁気圏には放射線帯と呼ばれる領域が存在し,広範囲のエネルギーを持ったプラズマ粒子が地球を覆うように補足されている.またこれらのプラズマ粒子は太陽活動に起因する地球磁場の擾乱によって,そのフラックスが増減する様相を見せる.また放射線帯の赤道付近ではコーラス放射と呼ばれるプラズマ電磁波動が生成され,プラズマ粒子と相互作用を起こすことが知られている.コーラス放射は半世紀前から衛星観測・地上観測によってその存在が確認されてきたが.その詳細な発生機構は明らかにされていなかった.しかし,最近のシミュレーション・理論研究を通して,コーラス放射は非線形発展を含んだ波動-粒子相互作用によって生成されることが明らかにされた. 本セミナーでは大規模計算機シミュレーションによって再現されたコーラス放射を紹介し,コーラス放射がもたらす放射線帯粒子フラックスの消失および大気圏への粒子降下について紹介する.
【資料】 第116回 Web ページ | PDF ファイル (220 144 バイト)
第115回定例オープンセミナー (2010年6月23日12:30,於HW525)
【発表者】 Md. Mahabubur Rahman (Mission Researcher, RISH, Kyoto University)
【題目】 Improvement of Wood Characteristics of Tropical Acacia by Molecular Breeding (分子育種による熱帯アカシアの材質改良)
【内容】 The present study was undertaken to establish the efficient genetic transformation and regeneration protocols on Acacia mangium and Acacia crassicarpa. These acacias are largely used in the pulp and paper industries as fiber source due to their characteristics of high pulp yield and high fiber quality. The more improvement of wood properties in these two acacias is required for utilization in the pulp and paper industries and wood materials industries. Molecular breeding based on the genetic transformation technology has been expected in the field of the tree improvement, because molecular breeding can confer the superior traits to the trees within a short period. However, the researches on molecular breeding of these Acacia species are existing at primitive stages. In the present investigation, we have established in vitro shoot regeneration protocols of both acacias and genetic transformation system in the callus of A. mangium. 【和訳】 本研究は、アカシアマンギウムとアカシアクラシカルパの効率的形質転換・個体再生系の確立を図るものである。これらのアカシア種は、紙パルプ産業に於いて、大量に使われており、更なる改良が紙パルプ産業に於いて強く求められている。遺伝子組換えによる分子育種は、短時間で有用な形質を付与することができることから、樹木育種に於いて大いに期待されている。しかし、アカシアの分子育種は未だ、初期段階にある。本研究では、両アカシアの in vitro shoot regeneration 系とアカシアマンギウムの形質転換系を確立した。
【資料】 第115回 Web ページ | PDF ファイル (91 468 バイト)
第114回定例オープンセミナー (2010年6月16日12:30,於HW525)
【発表者】 肥塚崇男 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
【題目】 植物が香りを作り出す仕組みと生存圏科学への応用 Molecular mechanism underlying how plants produce aromatic compounds and its application to research for sustainable humanosphere
【内容】 動物のような直接的移動手段を持たない植物は、与えられた環境でさまざまな外的要因に耐え抜くため特徴的なシステム(適応機構)を進化させてきた。その一つが香り物質(揮発性化合物)の合成能力である。植物は、“香り物質のブレンド” を放散し受粉媒介者を誘引することで次世代を担う花粉や種子の散布を介した移動手段を発達させてきた。さらに、植物が生産する香り物質は植物病原菌や植食性昆虫に対して抗菌、忌避作用を示すことから防御物質として機能することが知られている。このように植物香り物質は生態系の中で重要な生理的役割を担っているものの、その生合成系について分子レベルで明らかにした事例は少ない。 本講演では、植物がどのようにして香り物質の多様性を獲得したのか、フェニルプロパノイド系香り物質の生合成を中心にして紹介する。さらに、植物香り物質の生理機能を利用した生存圏科学への応用についても紹介したい。
【資料】 第114回 Web ページ | PDF ファイル (284 941 バイト)
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