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「糖化されやすい」セルロースの化学構造特性と酵素との相互作用に関する研究

平成25(2013)年度ミッション専攻研究員
堀川祥生

資源の枯渇ならびに地球環境面における深刻な問題に加え、一昨年の未曽有の大災害による電力の発電方法の見直しなどを受け、我が国では化石エネルギーに代わる安全且つ再生可能なエネルギーの創出が急務である。再生可能エネルギーとして、風力や地熱等も注目を集めているが、バイオマスは有機化合物の炭素供給源だけでなく液体燃料となりうることが大きな特徴であり、且つ、極めて重要な点でもある。

このような背景から、食料と競合する穀物系バイオマスを避け、非可食バイオマス中のセルロースを有効活用するために環境負荷が小さい酵素法を選択して高効率エタノール生産の実現を目指している。しかしながら、セルロースはデンプンやショ糖と異なり強固な結晶構造を有する難分解性多糖である。また、酵素はバイオエタノールの全製造コストの中で非常に大きなウェイトを占めており,酵素使用量の低減が重要な課題となっている。さらに、様々な成分酵素によるバイオマスの分解機構に関しても未解明なことが少なくない。

したがって、バイオマスとセルラーゼミクスチャーとの相互作用機構を解明するためには、その基盤として「セルロースvs.単一酵素」の関係を正確に理解する必要がある。本ミッションでは「糖化されやすい」セルロースの化学構造の解明、セルロースと酵素の相互作用に関する正しい評価、そしてそのハイスループット化を目的とする。蓄積したデータをもとに効率的な糖化システムを提案することによって持続的な社会の構築に貢献したい。