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持続可能なアカシア植林地に関する生態学的研究

平成19 (2007) 年度ミッション専攻研究員
藤田素子

熱帯雨林の大きな特徴は,きわめて高い種多様性にある.熱帯雨林の生物学的な研究は盛んに行われるようになったが,温帯の森林に比べ情報が不足しており,依然として未記載の種が多い.健全な人間生活の基盤である生態系サービスの維持には,生物多様性の保全が必須であるが,熱帯雨林はここ数十年,様々な目的で失われてきた.木材を目的とした伐採のみならず,ヤシ油を採るためのアブラヤシや,紙パルプの原料になるアカシアの植林への転換や,焼畑,鉱山開発などである.そのため,様々な動植物が絶滅に瀕している.特にインドネシア・スマトラ島では大規模なアカシア植林が広がっているが,生態系への影響は未知の部分が多い.そこで,アカシア植林地において,生態系サービスを損なわないプランテーションとは何かを,最終的な目標とした.

熱帯林における生態系サービス低下の最大のインパクトは生息域の減少・改変である.生物の多様性を維持するためには,ランドスケープ構造や管理方法を検討する必要がある.そこで,鳥類を対象に,どのような管理・植林計画であれば多様性を維持できるのかを研究する.また,生態系サービスの保全には,健全な物質循環系の維持も重要である.アカシア林に生息する鳥類(動物)が物質循環にどのように関わっているのかを明らかにする必要がある.

Fujita 2007