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廃棄防腐処理木材無害化過程のミニマム・エミッション化

平成19 (2007) 年度ミッション専攻研究員
古屋仲秀樹

本プロジェクトは、木質資源の「生産、加工・利用、廃棄・再利用」の内、「廃棄・再利用」の段階における低環境負荷型の要素技術を研究対象としている。住宅建材やインフラ構築用建材など、これまで生活圏において多種多量に利用されてきた木材は、一般的に耐久性を付加するための保存処理が施されている。ところが近年、保存処理された木材に含まれる有毒元素が環境に溶出していることが判明し、世界的な問題となっている。このため、早急に汚染された環境を浄化する技術や廃棄された保存処理木材を無害化する技術の開発が求められている。このような背景から、保存処理木材の無害化を目的として、保存処理木材に含まれる有毒元素を溶媒に抽出することで廃棄された保存処理木材を無害化する研究が為されてきた。しかしながら、抽出された有毒元素を高濃度で含む廃液の処理方法や、有毒元素を抽出した後に残る廃材の再利用については手付かずの状態にあり、木質資源の「生産、加工・利用、廃棄・再利用」に関するトータルなミニマム・エミッション化を目指す上で、有効な廃液処理方法と廃材の再利用方法の開発は、解決しなくてはならない高い障壁となっている。本プロジェクトでは、水素化した酸化マンガンのナノ材料をヒ素吸着剤として応用することで、廃棄保存処理木材(CCA 廃材)の処理過程において発生する廃液を無害化する手法の確立をめざす。さらに、処理後に残る廃木材を使って多孔質炭素材料を合成し、最新の電気化学的手法と合わせて、廃木材から機能性材料を合成するための手法を検討する。このように本プロジェクトは、廃棄保存処理木材の無害化を最新のナノ材料を応用することで成し遂げようとするものであり、最終的には、現在コストをかけることが敬遠されている CCA 廃材処理に関する経済的な採算性を飛躍的に高め、世界各地における CCA 廃材処理を促進する先導的な研究成果をあげることを目標としている。

Koyanaka 2007