センター概要
令和4年4月より、生存圏科学のさらなる可能性を探究する研究組織として生存圏未来開拓研究センターを設置しました。共同利用・共同研究拠点における学際性や萌芽性を活かした新分野開拓を行うとともに拠点の運営体制を効率化することを目指します。このセンターでは、中核研究部の中から候補となる研究グループ(研究ユニット)が所属し新分野の探索を試みます。センター内の研究ユニットは恒常的なものとはせず、3年毎を目途に活動の見直しを行い、中核研究部との人事交流を図りながら、新たなユニットの創設を推進します。
そのために次の2つの機能を重視します。変化の激しい社会情勢の中で、広範な基礎的知見を提供し得る学際研究機能と実効的な社会連携機能です。前者では研究分野間の交流のみならず、温故知新といった時間軸にまで拡張した学際性が、後者では国や産業界に加えて多様な社会との連携が、それぞれ重要となってきます。これら2つが有効に機能することで、持続的な新分野開拓を促し、生存圏科学の新たな一面を生み出していくことを可能にします。

センター長:桑島修一郎(特定教授)
スモールアイランド型研究ユニットの活動
学問分野間の「相互作用」の観点から、独自のアプローチで新たな学際分野の探索中

木材科学文理融合ユニット
木への科学的アプローチにより人の営み(歴史・文化・観念)を描写する(木と時間の相互作用)
歴史学・文化人類学等の研究者を巻き込んだ研究グループを作り、外部資金獲得に向け準備中

大気圏森林圏相互作用ユニット
大気圏と森林圏との研究分野間境界を精緻に理解する(圏間相互作用)
大気圏研究と植物遺伝学の融合により、大気圏と森林圏の物質・エネルギー循環を解明


生存圏標準化戦略ユニット
キーテクノロジー(微細気泡)を軸とした国際標準化を目指す(多分野間相互作用)
震災の復興など難易度の高い社会課題の解決に向けて、先進的に主観・客観統合的アプローチを導入

バイオマスプロダクトツリー産学共同研究ユニット
国の主要な政策にも設定されている木質バイオマスの社会実装に向けた実効的な解を提供する(産官学相互作用)
触媒化学、木材化学等の融合による高付加価値物への変換研究。民間のスタートアップファンドの最終選考中、起業に向けて加速


担当教員:渡辺隆司(特任教授)、桒島 修一郎(特定教授)
中核研究部とセンターとの相互作用
中核研究部では、5つの研究ミッション(1:環境診断・循環機能制御、 2:太陽エネルギー変換・高度利用、3:宇宙生存環境、4:循環材料・環境共生システム、5:高品位生存圏)に沿った研究体制を構築。
センターが主導するかたちで中核研究部とセンターの中堅、若手教員による公開講座を展開中。
センター機能強化の方向性:学際性と生存圏科学
学際性の概念として、
単一学問分野同士が相互乗り入れせずに境界を接して連携している学際性(Multidisciplinarity)、
学問分野が相互に乗り入れ共通の研究課題を設定して連携する形態(Interdisciplinarity)、
さらに、学問分野以外にも社会を構成する多様なステークホルダーの知までを含む連携形態(Transdisciplinarity)
にまで拡張して考慮する必要がある。
既存学問分野の縦割りに捉われず多様な分野同士の融合により新たな研究課題を洞察すること(Interdisciplinarity)は重要であることに変わりはないが、複雑化の一途をたどる社会課題への応対にはアカデミア以外との連携、特に学術的には十分に体系化されていない“知”をどのように取り込むのかが重要になってくる。
