京都大学生存圏研究所 材鑑調査室

 

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古材に残された痕跡

古材コレクションに残された痕跡から、読み解く

コレクションの多くの古材は、小原氏の研究・実験に活用される過程でブロック状に整えられており、寺院の部材として使われていた時の面を残すものは多くはありません。しかし、いくつかの古材に残る当時の面には、加工の痕跡が残されており、当時の人々の手によってどのように加工されたのかを、リアルに知ることができます。

加工痕とは

建築物を建てるためには、木を製材する必要があります。製材時に、木の表面に残される、道具による加工の痕跡を「加工痕」といいます。使われた道具によって、木に残る痕跡が違うため、加工痕からどのような道具が使われたのかを知ることができます。代表的な道具として、大鋸(おが)と手斧(ちょうな)の2つを紹介します。

おが

ちょうな

従来の日本の「のこぎり」は材を横(木目に垂直)に押し切るものでしたが、「おが」は従来ののこぎりとは違って、材を縦(木目に平行)にひくことができ、簡単に幅の広い薄板を切り出すことができます。そのため、建築技術に飛躍的な進歩をもたらしました。 (ちなみに現在、私たちがよく見る「のこぎり」は両刃のこぎりと言って、片方が「横挽き」もう片方が「縦挽き」になっている大変便利なものです。) それでは、実際に古材コレクションに残された痕跡を見てみましょう。