研究概要
木質バイオマスの構造と機能を活かした低環境負荷型木質新素材を創成するとともに、素材の特徴を深く理解し評価する研究を進めています。
研究内容
新規木質材料の開発
私たちの身の回りでは、様々な木質材料が広く用いられています。木質材料とは、木材を板や小片、繊維などに分割し、それを接着して再構成した材料です。これにより、無垢の木材が持つ欠点を克服し、高い性能を引き出すことが可能になります。当研究室では、植物バイオマスの有効的かつ持続的な利用を目指し、木材はもちろんのこと、草本系植物や農産廃棄物などの未利用バイオマスも研究対象として、実用レベルの性能と生産性を備えた環境に優しい木質材料の開発を行っています。
新規天然系接着剤の開発
木質材料は、木材を主原料として合成系接着剤を用いることで製造されています。合成系接着剤は化石資源由来の物質を用いているので、将来的には非化石資源由来の物質を用いた接着剤が望まれます。生物資源を利用した天然系接着剤は古くから存在しますが、合成系接着剤と比較すると性能面で大きく劣ります。そこで、当研究室では合成系接着剤に匹敵するような新しい天然系接着剤の開発を進めています。例えば、クエン酸とスクロースの混合物が接着剤として利用できることを世界で初めて見出しました。
木材および木質材料の経年変化に関する研究
木材や木質材料は、長く使う課程で劣化したり材質が変化したりします。これを経年変化と呼びます。「木材や木質材料が古くなるとどうなるか」ということは、これらの材料を長く使う上で重要な情報です。当研究室では、実際に古くなった材料の分析や、経年変化と促進劣化の統一的な解析を行っています。これにより、経年変化機構の解明や寿命予測、また、経年変化を再現した材料の創成を目指しています。
木材の成長応力に関する研究
樹木が成長する過程で、幹や枝の内部に応力(成長応力)が発生することが知られており、樹体の保護や姿勢の制御を可能にしていると言われています。成長応力は樹木にとっては重要な生存戦略である一方、木材加工の過程で割れや変形を引き起こすことから、木材利用においてはデメリットとなります。当研究室では、成長応力の特徴について明らかにするとともに、木材利用上の課題解決や材料開発への応用の可能性について探っています。
人工知能を用いた木質材料開発
持続可能な循環型社会の実現に向けて、再生可能資源の代表である木材を活用した木質材料の用途拡大が期待されています。人工知能の力を借りて、木質材料の性質を高精度かつ迅速に評価するシステムの開発、木質材料製造条件の最適化、新しい木質材料の探索を目指しています。
当研究室の教員が担当する講義
- 森林科学概論B(学部1回生/前期集中)
- 木質材料学(学部4回生/前期)
- 循環材料創成学(大学院/前期集中)
研究室ゼミ
毎週水曜(進捗報告・文献紹介)
※見学をご希望の方はお問合せ下さい↓
梅村研二(教授)
電話:0774-38-3652(教授室)
0774-38-3677(研究室事務)
研究交流マップ
循環材料創成分野では、国内外のさまざまな研究機関と研究交流を行っています。