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地球周辺の宇宙環境の積極的改善に向けた工学研究
—地球磁場を利用した宇宙ごみ(スペースデブリ)除去に関する研究—

平成24 (2012) 年度ミッション専攻研究員
中宮賢樹

1957 年のスプートニク 1 号打ち上げ以来、人類は活動範囲を宇宙に広げて無数の人工衛星やスペースシャトルを打ち上げてきた。しかし、それと同時に、打ち上げで使用したロケット・スペースシャトルの破片や運用を終了して地球の周囲を浮遊している人工衛星等の宇宙ゴミ(スペースデブリ)は年々増え続けている(図 1)。これらのスペースデブリは地球低軌道(軌道高度 1000 km 以下)の物では約 8 km/s の速度で移動しており、これらが宇宙上で運用中の人工衛星や国際宇宙ステーションなどに衝突すれば装置が壊れたり乗員の生命に危険がおよんだりする恐れがある。さらに大きなデブリは大気圏で燃え尽きずに地上に落下する可能性もあり、スペースデブリは宇宙開発を継続する上で大きな問題となっている。

そこで本研究では、スペースデブリがより多く混在している地球低軌道のデブリの除去について検討を行う。特に、デブリの軌道を変換させて地球大気圏に突入させるデオービットに焦点をあて、デブリを地球大気圏に落下させるのに必要な制御量や期間を明らかにする。

本研究の特色としては、デブリの軌道変換には推進剤を用いずに、地球の磁場を利用して得られるローレンツ力を推力とする新しい推進技術を用いた手法について検討を行う。これらの技術の応用範囲はスペースデブリの除去の範囲に留まらず、観測衛星の軌道制御や将来の惑星探査ミッションへの利用が期待される。

中宮賢樹 ミッション専攻研究員(2012年度)図 1
図 1: 地球周辺のスペースデブリ

中宮賢樹 ミッション専攻研究員(2012年度)図 2
図 2: 地磁場を利用したデブリの軌道変換