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植物を用いた内分泌攪乱物質の環境浄化

平成17 (2005) 年度ミッション専攻研究員
廣岡孝志

本研究では、植物を利用した内分泌攪乱物質の環境浄化システムの開発を目的としており、具体的には以下に示す 2 つの研究テーマを遂行している。

土壌中には、植物に対して例えば鉄などの無機栄養塩の吸収を促進させたりして、その成長を促進させる微生物が存在している。こられの微生物を植物に意図的に作用させ地上部や根の成長量を増加させることにより、環境中からより多くの量の内分泌攪乱物質を植物体内に捕集できるのではないかと考えた。そこで本研究では、マメ科植物とその成長を助ける根粒細菌を用いて、これらの微生物の共生がマメ科植物の内分泌攪乱物質処理量に与える効果を検討している。

一方、一般的に PCB などの高い脂溶性を有する内分泌攪乱物質は、土壌粒子などに強固に吸着して、生物による分解作用を受け難くなることにより環境中に長期間残留する。植物の中には根表面に脂溶性の代謝産物を分泌・蓄積するものがある。このような代謝産物は、土壌粒子に吸着した汚染物質の遊離を促進するだけでなく、その物質の根表面から植物体内への吸収を助けると考えられる。本研究では、現在、シコニンとよばれる脂溶性の二次代謝産物を根で生産・蓄積するムラサキ毛状根を用いて、その内分泌攪乱物質の除去量がシコニン蓄積により増加するかどうか検討している。