大気圏森林圏相互作用ユニット
担当教員:髙橋けんし(教授)・杉山暁史(准教授・兼任)
地球の大気圏と森林圏の相互作用を理解するとともに、その機能の有効な活用方法を探索することは、持続可能な社会の構築を目指すうえで、非常に重要な視点です。植物が光合成により大気中の二酸化炭素を固定し、酸素を放出することや、微生物が窒素固定により大気中の窒素を生物が利用できる形態に変換することは、大気圏・森林圏の相互作用の代表例です。これらの植物や微生物の機能により、人類はその長い歴史を支えられてきました。本研究ユニットでは、近年、特に重要となっている温室効果気体の収支や揮発性有機化合物を介した物質変動の研究や、大気圏・森林圏の相互作用に寄与する植物や微生物の機能に関する研究を行います。大気や植物、土壌といった個別のコンパートメントでの先端的な研究を生存圏の物質変動・物質循環という視点に広げてシームレスにとらえ、持続可能な社会としてあるべき姿における大気圏・森林圏の相互作用の基本的構造と機能を理解することを目指します。

研究課題
- IGBP(国際地球圏生物圏研究計画),iLEAPS(Integrated Land Ecosystem-Atmosphere Process Study)
- 学際融合の最近の動き “微生物と気候変動”
大気化学の標準的な教科書に載っている図で,気候変動下の物質循環の変化,あるいは,相互作用系の理解,また,そこに与える人間活動の影響を理解することが重要である,ということを説いています.
こちらは学際融合の最近の動きの一つで,米国地球物理学連合(AGU)と米国微生物学会(ASM)が「微生物と気候変動」という視点から,相互の連携を図るということを始めたところです.
一方で,日本のコミュニティでは,植生や微生物,生態学,大気科学を縦糸あるいは横糸として横断あるいは融合するような協同は弱い印象です.本ユニットでは,所内外の共同研究の展開や,学際融合を強く意識した研究集会の開催等を通じて,ミッションの推進,新センターの活動を展開し,大気圏科学と森林圏科学の研究者が同居するユニークな研究拠点の真価を発揮できるように貢献していきたいと考えています.


活動
2023年度
- 第507回生存圏シンポジウム『土壌・植物・大気を跨ぐ物質の循環と機能に関するワークショップ』
日時:2023年11月16日
開催:宇治キャンパス