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地球の21世紀に生きる
植物の研究
炭素の理想循環
森を取り戻すために
林隆久 略歴
taka@rish.kyoto-u.ac.jp
地球の21世紀に生きる
地球の21世紀に生きる
陸上では森林が減少して砂漠化が進み、水が足りないために植物の栽培が難しくなってきました。海もゴミや様々な化合物の流入によって汚染され、地球上の多くの生物が少なくなりつつあります。これは、何に起因しているのかというと、地球上のヒトが多くなりすぎたためです。地球の人口はすごい勢いで増加しています。20万年前に人類の祖先ホモ・サピエンスが誕生し、1万年前に農業の発明によって5億人になり、300年前まで世界の人口は10億人に達していませんでした。イギリスで始まった産業革命以降、人口は急激に増大し、2005年には60億人を超え、2060年には100億人に達する勢いです。約3000万種とも言われる地球上の生物のひとつにすぎないヒトが、残り2999万種の生物を地球から駆逐しつつある、と言っても言い過ぎではありません。

46億年前に地球が誕生したときには、大気は水とCO2(二酸化炭素)からなり、生物はいませんでした。様々な化学反応が分子を作り、分子が集まって生命の発生が試みられました。天文学的な数の偶然が重なりあってステップアップを引き起こし、合理性と適応性を持つものが淘汰されて遺伝情報が構築されました。全ての生物は同一の祖先から生じ、その生命が遺伝子帝国によって統御されていると言えます。化学反応の複雑性が生命の神秘を生み、遺伝子の多型がヒトそれぞれ個人の尊厳の基盤となります。この帝国は、ヒト遺伝子の増幅に特典を与えたため、人類は膨張を続けてしまいました。ヒトはあたかも人類が選ばれた生物であると信じ、全てのヒトが飢えることなく貧困から脱却し、健康に生活することを当然のことと信じてきました。今のまま地球上の人口を増やし続けていくことが不可能であるならば、遺伝子帝国に立ち向かうことも必要ではないでしょうか?
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