南極点でのオーロラ観測

■ 概要

オーロラが統計上よく現れる地球の極域を取り囲むような領域をオーロラ・オーバルと呼びます。 オーロラ・オーバルよりも緯度が高くても様々なオーロラが現れます。高緯度オーロラと呼ばれるこれらのオーロラは,太陽から吹く高速のプラズマ流と地球の磁場との相互作用の結果が直接的に反映されるため,大変興味深いものです。 1997年から2005年まで国立極地研究所はオーロラ・オーバルのやや高緯度に位置する南極点基地にオーロラ観測カメラを設置し, 日本より遠隔運用してきました。2008年には名古屋大学高等研究院・米国シエナ大学・国立極地研究所との共同研究として再び南極点基地でオーロラの観測を再開しました。

■ 南極点基地

南極点基地は昼側の高緯度オーロラを観測できる地上稀なステーションの一つです。 しかも,南極大陸の内陸であるために晴天率も高いため,昼側の高緯度オーロラを 観測する地上最も条件のよいロケーションにあります。 さらに南極点がすばらしいのは,一日のうちにオーロラオーバルを出たり入ったりするので, 24時間オーロラを観測できるということにあります。

オーロラ・オーバル(赤線)の一日の動きと南極点(+印)

新旧の南極点基地。左の赤い建物がオーロラ観測棟

■ 観測装置

微弱なオーロラ光を捉えるため,非常に明るい魚眼レンズ(魚眼レンズ単体のF値=0.9)と高感度の冷却CCDカメラを用います。 南極点にアクセスできるのは飛行機が飛べる11月から2月まで。その間に観測装置の設置や保守点検を行います。 オーロラの現れる冬季,南極点の気温はマイナス70度以下になることもあります。 観測装置は全自動で動作しますが,日本からの遠隔操作により観測スケジュールの変更を 行えるようになっています。 撮影したオーロラ画像は1日ごとにまとめて日本に送信します。 データ量が膨大なので,スペースシャトルのデータ転送にも使われるアメリカの特別な衛星回線を2003年から使わせてもらっています。

ガラス製ドームの下に設置した全天カメラ

オーロラ観測棟の屋上からみた南極点の新旧基地

■ データ

■ 写真

■ 関連のトピック

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