5. バイオマス由来の生体防御物質に関する研究
5-1 木竹酢液のウイルス不活化物質の探索
地球温暖化や輸送手段の広域・高速化により、人畜に有害な病原体が広汎かつ迅速に伝播していることは大きな社会問題の一つとなっています。本研究では、再生産可能な木質・森林バイオマスの変換により人の健康や生活に寄与する有用な物質を生産するという新しい研究領域を開拓することを目的とし、京大ウイルス研究所などと共同で木竹酢液の抗ウイルス活性物質を研究しています。木竹酢液は、木竹炭を製造する際に副次的に得られ、殺菌作用などが知られていますが、抗ウイルス活性成分は同定されていません。本研究では、これまでに、口蹄疫ウイルスと同じピコルナウイルス科に属する脳心筋炎ウイルスEMCVを用いて、蒸留竹酢液の抗ウイルス活性成分を特定し、他成分との相乗作用を明らかにしました。本研究は、生存圏研究所の新領域開拓共同研究プロジェクトとして実施しています。