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第351回生存圏シンポジウム
中間圏・熱圏・電離圏研究集会

開催日時 2017(平成29)年9月11日(月)~15日(金)
開催場所 情報通信研究機構
申請代表者 西岡未知 (国立研究開発法人情報通信研究機構)
所内担当者 山本衛 (京都大学生存圏研究所レーダー大気圏科学分野)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
関連分野 電離圏物理学、プラズマ物理学、超高層大気物理学、気象学。

概要

中間圏・熱圏・電離圏(MTI)研究会は、宇宙天気分野において最も人類活動領域に近く、衛星測位や電波伝搬に直接影響するMTI領域を対象としている。2017(平成29)年度のMTI研究集会の内容は、特定のサイエンステーマ「磁気圏・プラズマ圏との結合」および「成層圏・対流圏との結合」について知見を有する招待講演者を迎え、関連の深い3研究集会と合わせて合同開催した。国内各機関から約100名が参加者し、分野横断的な議論が進められた。

目的と具体的な内容

MTI領域は、太陽や宇宙からの粒子及び電磁エネルギーの流入による影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動する領域である。また、同領域は衛星測位に対する誤差要因といった社会応用的な観点からも注目されている。本研究集会は、上記のようなMTI領域の特徴を意識し、この領域で生ずる物理・化学過程の理解を深め、他の研究領域や社会への応用を俯瞰的に捉えることを目的とする。MTI研究集会は、国内における中層・超高層大気研究の現状と将来について議論する場になることを目指し、1998(平成10)年度より毎年開催されてきた。

2017(平成29)年度は、これまでの研究集会の目的を継承しつつ、2014(平成26)年度から始まった「MTI Grand Challenge」セッションを継続した。これらのセッションでは、「磁気圏・プラズマ圏との結合」および「成層圏・対流圏との結合」についての知見を有する招待講演者を迎えたオーガナイズドセッションを開催し、新しい知見を得ることに成功した。更に、関連分野の3研究会と共同開催を行うことで、様々な機関・世代の研究者が今後の日本の目指すべきMTI領域研究の共同体制を確立するきっかけを作った。さらに、若手研究者(学生及びポスドク)を中心としたポスターセッションを設けることで、若手研究者にも積極的に発表と議論の場を提供した。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

地球大気圏の中でも本研究集会が焦点を当てているMTI領域は、太陽放射と太陽風のエネルギー流入による宇宙空間からの影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動するまさしく宇宙圏と地球大気圏をつなぐインターフェイス領域である。したがって、この領域で発生する諸現象の解明には、MTI分野のみならず、太陽から気象分野で活躍する研究者が連携した学際型の共同研究を進める必要がある。このような共同研究を通じて、分野の枠を超えた研究者コミュニティの形成につながる。また、MTI領域で発生する擾乱現象は衛星測位に対する誤差要因になり、地球上で生活する人類の活動に必要なインフラに影響を及ぼすため、MTI領域の研究結果は社会応用的な側面を持つと考えられる。以上より、本研究集会の内容は、「環境診断・循環機能制御」(新ミッション1)と「宇宙生存環境」(新ミッション3)に深く関連する。

本研究集会の開催により、各研究者がこれまでの中層・超高層大気研究の経緯と最新成果に加えて、磁気圏・プラズマ圏との結合」や「成層圏・対流圏との結合」に関して新しい知見を得、今後、取り組むべき研究内容を国内の研究者間で共有できた。これらの研究内容を共有することによって個々の研究者及び研究グループが現在取り組んでいる研究の位置付けを再確認でき、それらをさらに完成度の高いものへ発展させるような切り口を見つけられると思われる。加えて、若手研究者(学生及びポスドク)が研究の発展につながる指針や知見を得ること、また今後のMTI研究分野の方向性について期待を抱くことにより、若手研究者の育成につながる。

プログラム

2017年9月11日

13:30–13:40合同研究集会種子説明および連絡事項
横山竜宏(情報通信研究機構)
13:40–16:30極域・中緯度域SuperDARN研究集会

2017年9月12日

09:30–12:00極域・中緯度域SuperDARN研究集会
MTI研究集会MTI Grand Challenge セッション1
「磁気圏・プラズマ圏から見るMTIとの結合」
13:30–14:15あらせ衛星による観測
三好由純(名古屋大学ISEE)
14:15–15:00プラズマ圏とMTIの結合~地磁気観測をベースとして~
尾花由紀(大阪電気通信大学)
MTI関連プロジェクト1
「MTIハンドブックの今後」
15:30–15:50MTIハンドブックの概要と現在までの経緯
細川敬祐(電気通信大学)
15:50–16:30MTIハンドブックのアンケート結果と今後の方針について
横山竜宏(情報通信研究機構)

2017年9月13日

MTI関連プロジェクト2
09:30–10:00JpGU「大気圏・電離圏」「MTI Coupling」セッション提案検討
大塚雄一(名古屋大学ISEE)
10:00–10:40IUGONETツールの実践的活用法
田中良昌(国立極地研究所)
11:00–15:30宇宙空間からの地球超高層大気観測に関する研究会
15:30–17:30合同ポスターセッション

合同ポスターセッション

  1. 全球TECデータに見られる磁気嵐時の電離圏・プラズマ圏の時間・空間変動
    新堀淳樹、大塚雄一、津川卓也、西岡未知
  2. Temporal and spatial variations of storm-time ionospheric irregularities on the basis of GPS total electron content data analysis
    杉山俊樹、大塚雄一、新堀淳樹、津川卓也、西岡未知
  3. LF帯標準電波を用いた東北地方太平洋沖地震後のD領域電離圏変動
    大矢浩代、土屋史紀、品川裕之、野崎憲朗、塩川和夫
  4. GAIA結果を用いた電離圏嵐指数評価
    垰 千尋、品川裕之、西岡未知、陣英克、三好勉信、藤原均、津川卓也、石井守
  5. HFドップラーで観測された夜間F層高度変動のGAIAモデルによる検討
    坂井純、細川敬祐、冨澤一郎
  6. イウレカでの光学観測による極冠パッチの統計的性質
    永田倫太郎、細川敬祐、塩川和夫、大塚雄一
  7. 南極域大気光イメージャを用いた南極域極冠パッチの統計的性質に関する研究
    香川亜希子、細川敬祐、小川泰信、門倉昭、海老原祐輔
  8. 磁気北極付近における大気光観測を用いた磁気嵐発生に伴う極冠パッチの性質
    岡村紀、細川敬祐、塩川和夫、大塚雄一
  9. ポーラーパッチ後縁に出現する指状構造のスケールの統計解析
    高橋透, 平木康隆, 細川敬祐, 小川泰信, 坂井純, 宮岡宏
  10. AGW/TID events over Europe during solar eclipse of 20 March 2015
    S. Panasenko, Y. Otsuka, T. Tsugawa and M. Nishioka
  11. 新型イオノゾンデVIPIR2による電離圏の初期観測結果
    西岡未知、加藤久雄、山本真之、川村誠治、津川卓也、石井守
  12. GPS電波掩蔽観測を用いた地震に伴う高度方向の電離圏擾乱の解析
    井上雄太、中田裕之、大矢浩代、鷹野敏明
  13. GPS-TECとHFドップラーを用いた火山噴火に伴う電離圏変動の解析
    長南光倫、中田裕之、大矢浩代、鷹野敏明、冨澤一郎、津川卓也、西岡未知
  14. HFドップラーと微気圧計を用いた台風に伴う電離圏擾乱の解析
    益子竜一、中田裕之、大矢浩代、鷹野敏明、冨澤一郎
  15. 多地点からの大気光観測によるプラズマバブルの広域撮像
    高見晃平、細川敬祐、斎藤享、小川泰信、Koichi Chen、穂積裕太、斎藤昭則、塩川和夫、 大塚雄一
  16. Interferometry Expansion of a Forward Scatter Meteor Observation Radar System at KUT
    Mario Batubara, Masa-yuki Yamamoto, Waleed Madkour and Timbul Manik
  17. GPS-地上受信機網により観測された中規模伝搬性電離圏擾乱の成長特性の研究
    池田孝文、齋藤昭則、津川卓也
  18. 国際宇宙ステーションからの観測による大気光の大規模構造の推定
    北村佑輔、齊藤昭則、坂野井健、大塚雄一、山崎敦、穂積裕太
  19. ISS-IMAP/VISIで見た中間圏ボアの広域構造と全球発生特性
    穂積裕太、齊藤昭則、坂野井健、山崎敦
  20. フィールドミルによる大気電場と95GHz雲レーダFALCON-Iで観測された雲との比較
    中森広太、鈴木康樹、大矢浩代、鷹野敏明、河村洋平、中田裕之、山下幸三

2017年9月14日

09:30–12:00IUGONET研究会
「中間圏・熱圏・電離圏(MTI)研究集会」
MTI Grand Challenge セッション2
「成層圏・対流圏から見るMTIとの結合」
13:30–14:10衛星データに見られる成層圏突然昇温と成層圏・中間圏・下部熱圏の大気循環
岩尾航希(熊本高等専門学校)
14:10–14:50地上ミリ波大気微量分子観測による中間圏・成層圏の結合現象の研究
長浜智生(名古屋大学ISEE)
15:10–15:50熱帯中層大気半年振動 (SAO) のシミュレーションの改善に向けて
柴田清孝(高知工科大学)
15:50–16:30中層大気版全球非静力学モデルNICAMが再現した基本場・大気重力波
小玉知央(海洋研究開発機構)

2017年9月15日

10:00–16:00IUGONET 研究集会

 
Symposium-0351_3337Symposium-0351_3431
Symposium-0351_3434

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2017年8月8日作成,2017年11月2日更新