第347回生存圏シンポジウム
第11回MUレーダー・赤道大気レーダーシンポジウム
開催日時 | 2017(平成29)年9月7日(木)~8日(金) |
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開催場所 | 京都大学宇治キャンパス総合研究実験1号棟5階 HW525 |
主催者 | 京都大学生存圏研究所 |
申請代表者 | 橋口浩之 (京都大学生存圏研究所レーダー大気圏科学分野) |
関連ミッション |
ミッション1 環境診断・循環機能制御 ミッション3 宇宙生存環境 |
関連分野 | 地球物理・気象・気候・リモートセンシング・情報通信。 |
Webページ: https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/ear/sympo.html
概要
本研究集会では、MUレーダー・赤道大気レーダー共同利用により得られた研究成果のほか、大気レーダー・大気科学に関連する研究成果や計画について報告・議論された。23件の発表が全て口頭発表で行われ、活発な議論が展開された。プロシーディング集を印刷・刊行し、発表内容を記録に残した。
目的と具体的な内容
MUレーダーは滋賀県甲賀市信楽町に位置する中層・超高層及び下層大気観測用VHF帯大型レーダーで、1984年の完成後すぐから全国国際共同利用に供されてきた。2003年度に「MUレーダー観測強化システム」が導入され、レーダーイメージング観測などの機能向上が図られている。MUレーダーは、アクティブ・フェーズドアレイシステムを用いた世界初の大規模大気レーダーとして、大気科学やレーダー技術の発展に貢献したことが評価され電気・電子・情報・通信分野の世界最大の学会であるIEEEより、IEEEマイルストーンに認定された。一方、インドネシア共和国西スマトラ州に位置する赤道大気レーダー(EAR)は、2000年度末に完成した大型大気観測用レーダーで、2005年10月からEARとその関連設備の全国国際共同利用を行っている。本研究集会では、共同利用により得られた研究成果のほか、大気レーダー・大気科学に関連する研究成果や計画について報告・議論することを目的とする。
従来MUレーダーシンポジウム、赤道大気レーダーシンポジウムとして別々に研究集会を開催してきたが、両レーダーの連携した共同利用研究を一層促進するために、2012年6月に両共同利用委員会を統合したことを受けて、2012年度よりMUレーダー・赤道大気レーダーシンポジウムとして開催している。本シンポジウムでは、23件の発表が全て口頭発表で行われ、1件当り20分の時間を取り、十分な議論を行うことができた。また、発表内容を記録に残すため、プロシーディング集を印刷・刊行した。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本シンポジウムは、生存圏研究所が掲げる5つのミッションのうち、主としてミッション1「環境診断・循環機能制御」に、一部ミッション3「宇宙生存環境」に関連するものである。生存圏研究所では、生存圏科学の重要地域の一つとして低緯度赤道域に注目し、大気科学の分野において、長年に渡ってインドネシアとの研究協力を進め、赤道大気レーダーを設置しインドネシア航空宇宙庁(LAPAN)との協力のもとで運営している。また、信楽MU観測所では国内の大気環境計測の重要地点として、MUレーダーを中心として様々な測器の開発、観測実験が実施されている。本シンポジウムでは、MUレーダー・赤道大気レーダーを中心として中緯度・赤道熱帯域で進行中の生存圏科学に関する研究活動の活発な議論が展開された。
プログラム
9月7日
(座長: 橋口浩之) | |
14:00–14:10 | MUレーダー・赤道大気レーダー全国国際共同利用の現状 MUレーダー/赤道大気レーダー全国国際共同利用専門委員長 山本衛 |
14:10–14:30 | ジャカルタ拡大首都圏における雷雨特性 —JALS2015観測結果短報— 森修一・伍培明(JAMSTEC)・濱田純一(首都大/JAMSTEC)・Ardhi A. Arbain(東大AORI/BPPT,Indonesia)・Sopia Lestari(メルボルン大/BPPT,Indonesia)・Reni Sulistyowati・Fadli Syamsudin(BPPT, Indonesia) |
14:30–14:50 | 全球水循環における熱帯沿岸降水による脱水作用 荻野慎也・山中大学・森修一(JAMSTEC)・松本淳(JAMSTEC・首都大) |
14:50–15:10 | 熱帯泥炭地社会へのレーダー気象学応用に関する展望 山中大学(JAMSTEC)・甲山治(京大CSEAS)・大石哲(神大RCUSS)・水野広祐(地球研・京大CSEAS) |
15:10–15:30 | 赤道ライダーにより観測されたケルート火山起源成層圏エアロゾルの鉛直輸送とEAR鉛直風の比較 阿保真・柴田泰邦・長澤親生(首都大) |
15:30–15:50 | 小型無人航空機とMUレーダーで観測された乱流エネルギー消散率の比較 橋口浩之(京大RISH)・Hubert Luce(Toulon大,仏)・Lakshmi Kantha・Dale Lawrence(Colorado大,米)・Richard Wilson(LATMOS,仏)・津田敏隆・矢吹正教(京大RISH) |
(座長: 荻野慎也) | |
16:10–16:30 | MUレーダー実時間アダプティブクラッター抑圧システムの開発 久保田匡亮・橋口浩之・山本衛・万城孝弘(京大RISH) |
16:30–16:50 | MUレーダーを用いたスペースデブリ形状・軌道推定に関する研究 池田成臣・鳥居拓哉・平田拓仁・山川宏(京大RISH) |
16:50–17:10 | Development of Software-Defined Multi-Channel Receiver System for the Equatorial Atmosphere Radar (EAR) Nor Azlan Bin Mohd Aris・Hiroyuki Hashiguchi・Mamoru Yamamoto(京大RISH) |
17:10–17:30 | EMU計画の現状について 山本衛(京大RISH)・津田敏隆(京大RISH/ROIS)・橋口浩之(京大RISH) |
17:30–17:50 | 気象学と超高層物理学の研究協力はどうすべきか 加藤進 (京大名誉教授) |
9月8日
(座長: 下舞豊志) | |
10:00–10:20 | 赤道域Ku帯衛星回線の降雨減衰特性の年変動について 前川泰之・西村優・柴垣佳明(大阪電通大) |
10:20–10:40 | MRR観測に基づくブライドバンドの等価レーダ反射因子と雨滴の落下速度 米江泰貴・下舞豊志(島根大) |
10:40–11:00 | ELF-VLF帯電界計測網に基づいた関東圏における雷活動の電気的特性の評価 山下幸三(足利工大)・高橋幸弘(北大) |
11:00–11:20 | 第IX期南極重点研究観測AJ0901「南極大気精密観測から探る全球大気システム」の概要 佐藤薫(東大院理)・堤雅基(極地研)・佐藤亨(京大院情報)・中村卓司(極地研)・齊藤昭則(京大院理)・冨川喜弘(極地研)・西村耕司(極地研)・高麗正史(東大院理)・橋本大志(京大院情報) |
11:20–11:40 | 航空機監視レーダ(SSRモードS)から得られる気象観測情報の特性評価について 吉原貴之・瀬之口敦・毛塚敦・齋藤享・古賀禎(ENRI)・古本淳一(京大RISH) |
(座長: 横山竜宏) | |
13:00–13:20 | GEONETに基づく3次元電離圏トモグラフィーの現状 水野遼・山本衛(京大RISH)・斉藤享(電離航法研)・斉藤昭則(京大理) |
13:20–13:40 | リアルタイム電離圏トモグラフィーのMUレーダー非干渉散乱観測による検証 斎藤享(電子航法研)・山本衛(京大RISH)・斉藤昭則(京大理) |
13:40–14:00 | 衛星地上ビーコン観測による電離圏全電子数の自動解析手法の開発 坂本悠記・山本衛(京大RISH)・Kornyanat Hozumi (NICT) |
14:00–14:20 | Study of travelling ionospheric disturbances in the European and Japanese longitudinal sectors with Kharkiv incoherent scatter and MU radars Sergii Panasenko(Institute of Ionosphere,名大ISEE)・Yuichi Otsuka(名大ISEE)・Mamoru Yamamoto(京大RISH)・Igor F. Domnin(Institute of Ionosphere) |
(座長: 大塚雄一) | |
14:40–15:00 | 観測ロケットS-520–27号機による電場観測データの再解析 西田圭吾・山本衛(京大RISH)・石坂圭吾(富山県立大)・田中真(東海大) |
15:00–15:20 | Local HF radio propagation simulator Hozumi Kornyanat(NICT) |
15:20–15:40 | 新しい衛星=地上ビーコン観測用の4周波ディジタル受信機の開発状況 山本衛(京大RISH) |
15:40–16:00 | 数値シミュレーションと赤道大気レーダー観測によるプラズマバブル上昇速度の推定 横山竜宏(NICT)・S. Tulasi Ram(IIG,India)・K. K. Ajith(IIG,India)・山本衛(京大RISH)・K. Niranjan(Andhra Univ., India) |
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2017年6月12日作成,2017年10月10日更新