menu

生存圏フォーラム 第1回連載コラム 

「生存圏」という単語は生存圏研究所が発足した2004年の前に、関係者が新研究所の名前としてふさわしいものを、と議論した末に生まれた新しい概念、単語である。と思っていたら、生存圏の単語そのものはもともとドイツ語のLebensraumを訳したもので、地政学の用語であり、国家が自給自足を行うために必要な、政治的支配が及ぶ領土を指すそうである(Wikipediaより) しかし、オリジナルの生存圏(生空間とも訳されるらしい)とは異なり、私たちの生存圏は人類の生存に必要な領域と空間を生存圏と定義しており、もっと広く、人間そのものの生存に関わる空間と考えている。であるので英訳はHumanosphere= Human+Sphereと新語を作った。将来は宇宙圏も人間の生存には必要と考えていることも非常に新しい。2015年8月31日の日経新聞で、宇宙飛行士の金井宣茂さんが「ISS(国際宇宙ステーション)宇宙医学研究が、人類の生存圏の拡大につながる」とコメントしている。金井さんの文脈での生存圏はLebensraumではなくHumanosphereであろう。全く同意である。人類は、(今後宇宙利用も含め) 、生存圏を拡大し、皆が幸せになる地球を含めた生存圏で暮らしていくべきである、というのは私の信念である。(生存圏フォーラム会員 京都大学教授)