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第135回定例オープンセミナー資料

2011年9月21日

題目

東北地方太平洋沖地震における木造被害調査
Survey of Damage of Wooden Constructions at The 2011 off the Pacific Coast of Tohoku Earthquake.

発表者

拓郎 (京都大学生存圏研究所・助教)

関連ミッション

  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

2011 年 3 月 11 日 14 時 46 分、宮城県沖を震源とする大きな地震が発生した。地震の規模は M9.0 と 1900 年以降 4 番目に大きな地震であり、その範囲は南北に約 500 km、東西に 200 km と言われ、広大な面積となっている。この地震は、3 つの大きな地震が連鎖的に起こったために、ここまで広大な範囲となったと報告されており、宮城県沖を発端に、福島県沖、茨城県沖と連続的に起こった。地震の振動を感じた期間も 5 分ほどあったと報告されており、その規模が伺える。

このような巨大地震に対して、日本建築学会と日本木材学会の両面からなるメンバーで 4 月 14 日から 16 日まで岩手県と宮城県の被災地の調査を行ったので、その様子を報告する。震動被害で倒壊している建物は散見している状態で、兵庫県南部地震や中越地震などと比べるとその被害は小さいと感じられたが、けして被害が軽微と言うことはなく、地震動による地盤の損傷なども多く確認された。また、津波の起こった地域においては、木造の建物が残ってはいるが、けしてそのまま使えるような状況ではないことなどが確認された。また、現在の木造の耐力及び重量から考えて、大きな津波に対しては抵抗することは不可能ではないかと考えられた。今回の調査から、震動被害を軽微にするためには、やはり現行法に則った強い木造建築が必要であることが確認され、地盤に対しては建物は地震に耐えているのに地滑りなどの被害を受けたり、ライフラインが使えなくなったりすることがあるのでもう少し厳しいルールを持って対処することが必要ではないかと考える。どちらにも言えることだが、既存不適格の建物や地盤に対する対応を検討する必要がある。次に、津波については、私見ではあるが、軽度の津波(1 階の階高に達しない程度)については、なんとか持ちこたえることができ、そして生命と財産を守ることができるような性能は必要であると考える。これについては、日本建築学会などの今後の検討を待ちたい。