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第21回(2005年度第13回)定例オープンセミナー資料

2006年1月11日

題目

アカシア人工林における気象環境に関する観測

発表者

林泰一 (京都大学防災研究所・教授)

共同研究者

  • 塩谷雅人 (京都大学生存圏研究所・教授)
  • 中村卓司 (京都大学生存圏研究所・助教授)

関連ミッション

  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)

要旨

はじめに

地球上の森林は,大気,水などの地球環境を保守する上に置いて,きわめて大きな役割を果たしてきている.この森林を,維持,回復,保全していくためには,その森林を取り巻く環境を精査する必要があるが,特に大気との相互作用の基礎的な研究が必要である.ここでは,熱帯域の大規模人工林であるアカシアマンギウム植林地において,広域の大気と森林との相互作用を調べ,大規模森林が存在することによる大気の環境場の変化について調査する.特に,これまで,あまり研究対象と見なされてこなかった大規模人工林の大気場に対する役割を定量的に明らかにしていくことは,大規模な開発が進められようとしている熱帯域での森林のあり方に対しても大きな貢献が出来ると考えられる.

とくに,森林を維持するにあたって,最も重要であると考えられる,森林上での降水について,広域の時空間分布について観測の立場から調査研究を進める.降水量の季節変化,季節内変動などの時間変化,空間的な降雨分布の非一様性,森林の成長の度合いによる降水量の変化などについて,基礎的な降水の性状を調査する.さらに,スマトラ島の他の場所,都市域などの森林以外の降水の資料と比較することにより,大規模森林内およびその周辺の降水の特徴を明らかにする.

1. 観測の概略

観測場所は、インドネシア、スマトラ島の MHP アカシア林である。2005 年 3 月に設置された観測点 Site 2、Site 3、Site 4に加えて、11月に Martapura、Merbau および Niru の 3 地点に雨量計を設置した。

これらの観測地点の相互の距離は、それほど大きく離れているわけではないが、場所による雨量の違いがあることが観測からわかってきた。

2. 観測の意義、将来展望など

この観測以外に、特別地球観測計画において、南アジア、東南アジアで展開している気象観測、特に雨量観測についても紹介する。これらの観測は、降雨予測を目的として、降水過程の解明と同時に、洪水などの災害の軽減を目的としている。

気象観測としては、現在の気象用そのほかに、風速 3 成分、気温、湿度、CO2 などの乱流変動を測定することによって、大規模森林における、顕熱、潜熱、CO2 の乱流輸送量を正確に評価し、大気と陸面での水、エネルギー、物質の循環の素過程を明らかにしていく必要がある。