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第428回生存圏シンポジウム
第14回MUレーダー・赤道大気レーダーシンポジウム(MU-EAR)

開催日時 2020(令和2)年9月14日(月)~15日(火)
開催場所 オンライン(Zoom Webinar)
主催者 京都大学生存圏研究所
申請代表者 橋口浩之 (京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
ミッション5 高品位生存圏
関連分野 地球物理・気象・気候・リモートセンシング・情報通信。

Webサイト: https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/ear/sympo.html

概要

本研究集会では、MUレーダー・赤道大気レーダー共同利用により得られた研究成果のほか、大気レーダー・大気科学に関連する研究成果や計画について報告・議論された。29件の発表が全て口頭発表で行われ、活発な議論が展開された。プロシーディング集を編集し、ホームページで公開した。

目的と具体的な内容

MUレーダーは滋賀県甲賀市信楽町に位置する中層・超高層及び下層大気観測用VHF帯大型レーダーで、1984年の完成後すぐから全国国際共同利用に供されてきた。2003年度に「MUレーダー観測強化システム」が導入され、レーダーイメージング観測などの機能向上が図られている。MUレーダーは、アクティブ・フェーズドアレイシステムを用いた世界初の大規模大気レーダーとして、大気科学やレーダー技術の発展に貢献したことが評価され電気・電子・情報・通信分野の世界最大の学会であるIEEEより、IEEEマイルストーンに認定された。また、国内の電子情報通信学会マイルストーン、電気学会「でんきの礎」にも認定された。一方、インドネシア共和国西スマトラ州に位置する赤道大気レーダー(EAR)は、2000年度末に完成した大型大気観測用レーダーで、2005年10月からEARとその関連設備の全国国際共同利用を行っている。本研究集会では、共同利用により得られた研究成果のほか、大気レーダー・大気科学に関連する研究成果や計画について報告・議論することを目的とする。

従来MUレーダーシンポジウム、赤道大気レーダーシンポジウムとして別々に研究集会を開催してきたが、両レーダーの連携した共同利用研究を一層促進するために、2012年6月に両共同利用委員会を統合したことを受けて、2012年度よりMUレーダー・赤道大気レーダーシンポジウムとして開催している。本シンポジウムでは、29件の発表が全て口頭発表で行われ、1件当り20分の時間を取り、十分な議論を行うことができた。今回は新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止のため、オンラインで開催した。海外からの参加もあり、参加者数は過去最多となった。また、発表内容を記録に残すため、プロシーディング集としてホームページに掲載した。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

本シンポジウムは、生存圏研究所が掲げる5つのミッションのうち、主としてミッション1「環境診断・循環機能制御」に、一部ミッション3「宇宙生存環境」およびミッション5「高品位生存圏」に関連するものである。生存圏研究所では、生存圏科学の重要地域の一つとして低緯度赤道域に注目し、大気科学の分野において、長年に渡ってインドネシアとの研究協力を進め、赤道大気レーダーを設置しインドネシア航空宇宙庁(LAPAN)との協力のもとで運営している。また、信楽MU観測所では国内の大気環境計測の重要地点として、MUレーダーを中心として様々な測器の開発、観測実験が実施されている。本シンポジウムでは、MUレーダー・赤道大気レーダーを中心として中緯度・赤道熱帯域で進行中の生存圏科学に関する研究活動の活発な議論が展開された。

プログラム

9月14日

(座長: 橋口浩之)
13:30–13:40MUレーダー・赤道大気レーダー共同利用の現状
MUレーダー/赤道大気レーダー共同利用・共同研究拠点専門委員長 山本衛
13:40–14:00YMC集中観測期間(2015/2017)におけるスマトラ南西沿岸陸域の対流日変化と雷活動
森修一(JAMSTEC)・濱田純一(都立大)・伍培明・米山邦夫(JAMSTEC)・Dodi Ardiansyah・Urip Haryoko・Noer Nurhayati (BMKG, Indonesia)・Reni Sulistyowati・Fadli Syamsudin (BPPT, Indonesia)
14:00–14:20スマトラ東部沿岸部における降雨日変化 -泥炭地域レーダー観測結果—
小川まり子(京大東南研)・山中大学(地球研)・Awaluddin・Arief Darmawan・Albertus Sulaiman (BPPT, Indonesia)・甲山治(地球研・京大東南研)
14:20–14:40スマトラ島で観測されたオゾン変動と力学場の関係について
鈴木順子・荻野慎也・木下武也・城岡竜一(JAMSTEC)・岩崎杉紀(防衛大)・米山邦夫(JAMSTEC)
14:40–15:00熱帯対流圏界層における乱流による混合の観測
橋野桃子・橋口浩之(京大RISH)・Richard Wilson (LATMOS/IPSL)・荻野慎也・鈴木順子(JAMSTEC)
15:00–15:20YMC-BSM2018で観測されたインドシナ半島におけるオゾン変動
荻野慎也・鈴木順子・木下武也・城岡竜一(JAMSTEC)
(座長: 横山竜宏)
15:30–15:50IUGONETプロジェクトの活動報告とその成果について
新堀淳樹(名大ISEE)・田中良昌(極地研)・梅村宜生(名大ISEE)・阿部修司(九大ICSWSE)・上野悟(京大天文台)
15:50–16:10観測ロケットに搭載するデュアルバンド・ビーコン送信機とアンテナの開発
黒川浩規・山本衛(京大RISH)
16:10–16:30NICT activities on space weather research and operation in Asia
Kornyanat Hozumi・Mamoru Ishii・Takuya Tsugawa・Michi Nishioka (NICT)・Pornchai Supnithi (KMITL, Thailand)・Punyawi Jamjareegulgarn (KMITL PCC, Thailand)・Sittiporn Channumsin (GISTDA, Thailand)・Tharadol Komolmis (CMU, Thailand)・Donekeo Lakanchan (NUOL, Laos)・Win Zaw (YTU, Myanmar)・Mamoru Yamamoto (RISH, Kyoto Univ.)・Susumu Saito (ENRI)・Yuchi Otsuka (ISEE, Nagoya Univ.)
16:30–16:50MUレーダーによる電離圏IS観測の長期統計解析
横山竜宏・上野将典・山本衛(京大RISH)
16:50–17:10GAIAモデルとの結合に向けた赤道プラズマバブルシミュレーションの改良
古元泰地・横山竜宏(京大RISH)
17:10–17:30Synthetic aperture radar and ground observation of ionospheric disturbances over Japan
Hiroatsu Sato・Jun Su Kim (DLR, Germany)・Yuichi Otsuka (ISEE, Nagoya Univ.)

9月15日

(座長: 矢吹正教)
10:00–10:20ライダーによる赤道域対流圏・成層圏のエアロゾル動態モニタリング
阿保真・柴田泰邦・長澤親生(都立大)
10:20–10:40YMC-BSM期間中の西太平洋域に見られた南西方向に伝播する擾乱活動に関する研究
木下武也・荻野慎也・鈴木順子・城岡竜一(JAMSTEC)
10:40–11:00バングラデシュにおけるX帯気象レーダー観測
村田文絵(高知大理工)・寺尾徹(香川大教育)・上米良秀行(防災科研)・下舞豊志(島根大理工)・佐々浩司(高知大理工)
11:00–11:20ヴェトナム北部における時間雨量のGSMaP・地上降水計比較
野津雅人(都立大)・松本淳(都立大・JAMSTEC)・L. Trinh-Tuan (ハノイ科技大)・T. Ngo-Duc・T. Truong-Duc (ヴェトナム資源環境省)
11:20–11:40北半球冬季中層大気における移動性プラネタリー波
岩尾航希(熊本高専)・廣岡俊彦(九大院理)
11:40–12:002019/2020年冬季の極渦発達の力学過程について
松山裕矢・廣岡俊彦(九大院理)・向川均(京大院理)
(座長: 横山竜宏)
13:00–13:20衛星=地上の電離圏全電子数観測手法の開発状況
山本衛(京大RISH)
13:20–13:40Study of the ionospheric scintillation and plasma bubble structure by using EAR and multi-constellation and multi-frequency (MC/MF) GNSS receiver
Acharaporn Bumrungkit・斎藤享・Pornchai Supnithi (電子航法研)
13:40–14:00赤道大気レーダーによる2019年12月の金環日食時の電離圏観測
高木理絵子・横山竜宏・山本衛(京大RISH)・穂積 Kornyanat (NICT)
14:00–14:20Equatorial plasma bubbles and midnight brightness wave interaction over a low latitude station
M. Sivakandan・Y. Otsuka (ISEE, Nagoya Univ.)・T. K. Ramkumar (NARL, India)・P. Ghosh (ISEE, Nagoya Univ.)・S. Sripathi (IIG, India)
14:20–14:40Occurrence feature of plasma bubbles during geomagnetic storms using long-term GNSS-TEC data
惣宇利卓弥・新堀淳樹・大塚雄一(名大ISEE)・津川卓也・西岡未知(NICT)
(座長: 橋口浩之)
14:50–15:10衛星回線における降雨減衰特性と地上風および上空の風速との関係
前川泰之・佐々木駿一・山﨑光資・柴垣佳明(大阪電通大)
15:10–15:30GNSS稠密ネットワークおよびラマンライダーを用いた信楽上空の水蒸気時空間変動の観測
矢吹正教・柿原逸人・津田敏隆(京大RISH)・塚本誠・竹内栄治・長谷川壽一(英弘精機)
15:30–15:50スペクトル観測理論に基づくレーダーインバ-ジョンアルゴリズムの開発
田村亮祐(京大RISH)・西村耕司(国立極地研)・橋口浩之(京大RISH)
15:50–16:10MUレーダーを用いたDDMA-MIMO観測結果
松田知也・橋口浩之(京大RISH)
16:10–16:30島根県におけるレーダー解析雨量とAMeDAS観測値との比較
下舞豊志・小林謙吾(島根大総合理工)
16:30–16:50複数の航空機監視装置で受信される高頻度気象情報のMUレーダー観測との比較検証
吉原貴之・瀬之口敦・毛塚敦・齋藤享・古賀禎(ENRI)

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2020年6月10日作成,2020年9月25日更新