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生存圏フォーラム 第3回連載コラム

10年前に、初めて「生存圏科学」そして「生存圏フォーラム」という言葉を聞いたときに、やはり、「生存圏ってなに?」と思わずにはいられなかった。今では、単純に、「人々の生活を守るための科学」と認識し、いろいろな方に説明している。私が取り組んでいるのは、生存圏科学のうち、宇宙に関わる部分だ。1つ目は、人類が打ち上げてきたロケットや人工衛星の軌道上にある残骸であるスペースデブリ(宇宙ごみ)だ。気象衛星、測位衛星、通信衛星などにより提供されるサービスは、人類の生活に欠かせないものになっている。これらの活動中の人工衛星に衝突し、破壊する可能性があるのがスペースデブリだ。このスペースデブリの観測、軌道、低減に関する工学研究を行っている。2つ目は、地球に接近する可能性のある小惑星への工学的な対応に関する研究だ。百年前、そして、数年前にも実際に起こったように、地球への衝突により、人類の活動に甚大な被害を与える可能性がある。SFのように聞こえるかもしれないが、観測技術、宇宙技術が進んだ現在では、将来、地球に衝突するとわかった場合に、人類が何も対応をしないということは考えられない。京都の地から、ささやかながら、人々の生活を守ることに貢献していきたい。

(生存圏フォーラム会員 生存圏研究所 宇宙圏航行システム工学分野 教授)