設立趣意書
生存圏フォーラムを設立するにあたっての趣意書です。
生存圏フォーラム設立趣意書
近年、地球温暖化で代表される地球規模の環境変動 ならびに世界的な人口増加に伴うエネルギー・資源不足などが 21世紀の大きな社会的課題となっています。 これらの現状を正確に把握し、的確な将来予測を行い、 さらに問題解決の方策を提示して、持続的発展が可能な社会を構築していくことが求められています。
こうした状況に鑑み、京都大学生存圏研究所は平成16年度の設立以来、 「生存圏科学の創成」に向けて喫緊に進めるべき生存圏科学ミッションとして 「環境計測・地球再生」、「太陽エネルギー変換・利用」、 「宇宙環境・利用」および「循環型資源・材料開発」の4つを取り上げ研究を推進しています。 さらに、研究所で培われた科学技術情報を広く公開し、意見交換をするために 計 82 回(平成 19 年 12 月 7 日現在)の生存圏シンポジウムを開催するとともに 「生存圏だより」、「International Newsletter」などの発刊、メールマガジン配信、 およびホームページを通じて情報発信を行なっています。
本フォーラムはこれらの生存圏科学に関わる多様な研究活動を 有機的にネットワーク化することを第一義の目的としています。 フォーラム会員には大学教員・学生、学識経験者、学会や公的研究組織を含む 関連研究機関・企業・省庁といった国内産官学の広い分野からご参加頂きたいと思います。 また海外研究機関・大学等からも参加者を募り、国内・国際コミュニティの協調のもとで 「生存圏の基盤科学技術」の確立に総合的に取り組み、実際的な社会還元に向けた 戦略的推進を図っていきたいと考えております。
本フォーラムは、持続的発展が可能な生存圏(Sustainable Humano-sphere)を 構築していくための基盤となる「生存圏科学」を幅広く振興し、 総合的な情報交換・研究者交流、さらに学生・若手研究者の国内外での 教育・啓発活動を促進していくことを目的とします。具体的な活動として、 例えば、生存圏研究所の教育研究活動を基礎に、最新情報を共有することを目指します。 つまり、フォーラム会員は、生存圏研究所の全国・国際共同利用機能(施設・設備)の活用 および共同研究プロジェクトへの参画により「情報を生成」し、 生存圏データベースを有効に用いて「情報を蓄積」し、さらに生存圏シンポジウム等により 「情報を発信・交換」することができます。
フォーラムの活動を通じて、生存圏科学に関わる課題と将来展望について 幅広く意見交換を進めたいと存じます。本フォーラムが持続発展可能な循環型社会の構築に向けて 人類が歩むべき道標を示すことができるよう取り組んでいく決意です。
平成20年3月
- 設立発起人代表
- 川井秀一