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第554回生存圏シンポジウム
太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールの理解と応用
Understanding and application of data analysis methods and tools for solar-terrestrial physics

開催日時 2025/09/19(金曜日)
開催場所 電気通信大学およびオンライン
主催者 名大 ISEE/極地研/京大 RISH/ROIS-DS 共同主催
申請代表者 新堀 淳樹(名古屋大学宇宙環境研究所)
所内担当者 山本 衛、橋口 浩之(生存圏研究所)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
ミッション5 高品位生存圏
世話人 田中 良昌(国立極地研究所)
新堀 淳樹(名古屋大学)
上野 悟(京都大学)
今城 峻(京都大学)
阿部 修司(九州大学)

概要

令和7年9月16日から19日にかけて太陽地球系物理学分野のデータ解析手法とその応用分野と密接な関わりを持つ「STE(太陽地球環境)現象報告会」「超小型衛星を利用した超高層大気研究の将来ミッションの検討」「中間圏・熱圏・電離圏(MTI)」「異分野研究データの機関リポジトリ登録の実践」との合同で開催した。本研究集会「太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールの理解と応用」は,研究発表セッション(口頭+ポスター発表)とデータ解析講習会の2部構成で実施した。研究発表セッションの口頭枠は、若手や学生を中心とした招待講演に加えて高度なデータ解析手法やデータベースの水平展開に関する招待講演とした。データ解析講習会では、Pythonベースのデータ解析ツール(PySPEDAS)の使用法についての講習を実践形式で行い、これから研究を主体的に実施していく学部・大学院生に対して有意義な研究集会となった

目的と具体的な内容

本研究集会は、「超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究(略称:IUGONET)」プロジェクトに関係する研究集会である。地球の超高層大気は、太陽系空間からのエネルギー入力(太陽放射や太陽風、磁気圏からの粒子注入等)に加えて、下層大気からの入力(大気重力波等)の影響も受けて変動する。よって、超高層大気で観測される多様な現象を解明するには、全球にわたる3次元結合系を考慮する必要があり、極域から赤道に至る全球的な地上観測や宇宙空間での衛星観測で得られた多様な観測データ、及び、シミュレーションデータを組み合わせた複合解析が欠かせない。このような背景の下、各々のデータに効果的な解析手法(例えば、相関解析、スペクトル解析、データサイエンス手法等)、並びに、複合解析を実施するための様々な解析ツールやデータベース(例えば、データ検索・取得・可視化サービスなど)が開発されてきた。しかし、これらの解析手法やツールの情報は、世代を超えた研究者間で必ずしも共有されておらず、学生や若手研究者が自らの研究課題に対しての成果創出には多くの時間と自助努力が必要であった。
 本研究集会では、太陽地球系物理学分野の研究者・学生、データ所有者、データベース・解析ツール開発者が一堂に会し、お互いの知識を共有し、各々の研究者にとって最適な解析方法、研究フローを構築することを目的とする。そこで、これまで本研究集会に参加し、顕著な研究成果を上げてきた若手研究者らによる「招待講演セッション」を設け、次世代の研究を担う学生らに各分野の研究方法を学習させた。また、彼らが主体的にデータ解析を行えるように、実際の解析ツールを用いた「データ解析講習セッション」も開催した。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

本研究集会は、人類の生存環境である大気圏と宇宙圏のはざまにある超高層大気で発生する様々な長期・短期現象を理解するために、様々なデータ解析手法の共有と多種多様な太陽地球観測データの利用促進を目的としており、生存圏研究所の主要研究ミッション1「環境診断・循環機能制御」、ミッション3「宇宙生存環境」、ミッション5-3「日常生活における宇宙・大気・地上間の連関性」に深く関連する。これまで大学間連携プロジェクト「IUGONET」で開発してきた太陽地球物理学分野のデータベースと異種のデータセットを組み合わせて1元的に解析やデータの可視化を行うデータ解析解析ツールは、これまで長年にわたり生存圏研究所が取得してきた信楽MUレーダーをはじめとする各種の測器で得られた大気圏観測データに応用可能である。さらに将来的には、生存圏研究所が主導している大型研究計画「太陽地球系結合過程の研究基盤形成」の研究成果創出に向けたインフラの整備、研究コミュニティの形成、若手研究者の育成に繋がると考えられる。このような背景の下、例年に引き続き、本年も太陽地球系物理学分野のデータ解析手法とその応用に関連する研究集会と合同開催した。その結果、本研究集会に参加した様々な分野の学部・大学院生が太陽地球系物理学分野の科学成果とそこに至るまでの過程(特に、データ収集、データ解析手法と高度なデータ科学など)を学ぶとともに、大気圏下層から宇宙圏にまたがるデータを取り扱う解析ツールを実際に手を動かして体験するというよい機会になった。また、本研究集会の開催によって若手研究者を奨励し、分野横断的な共同研究の推進につながるような関連コミュニティの形成にも繋がった。

プログラム

9 ⽉ 19 ⽇ (⾦) @ 電気通信⼤学アライアンスセンター100周年記念ホール
【座⻑:⽥中 良昌 (極地研)】
09:30-10:00 (招待講演) 最先端任意視点合成技術NeRF/3DGSの紹介とオーロラ3次元可視化への応⽤
 池畑諭(国⽴情報学研究所)
10:00-10:30 (招待講演) 説明可能なAIを⽤いた磁気嵐の予測
 ⻄野幹志(名古屋⼤学), 三好由純(名古屋⼤学)
10:30-11:00 (招待講演) SPEDASによる地上カメラとあらせ衛星の地磁気共役解析に基づくサブオーロラ帯の弱いディフューズ発光の研究
 五味優輝(名古屋⼤学)

11:00-11:15 (休憩)

11:15-11:45 (招待講演) スペクトルリオメータで低⾼度電離現象を理解するための解析法
 ⽥中友啓(総研⼤), ⽥中良昌(極地研), ⼩川泰信(極地研), ⾨倉昭(極地研), 吹澤瑞貴(極地研), 村瀬清華(北⾒⼯⼤), 細川敬祐(電通⼤), ⼤⼭伸⼀郎(ISEE), Kero Antti(オウル⼤)
11:45-12:15 (招待講演) DOI登録システムを⽤いたデータDOI登録
 垰千尋, 陣英克 (NICT), 新堀淳樹 (名⼤ISEE), 能勢正仁 (名市⼤),⽥中良昌 (極地研), 阿部修司 (九⼤), 村⼭泰啓 (NICT, 京⼤)

12:15-13:30 (休憩)

13:30-15:30 (講習会) pySPEDAS 基礎講習
 今城峻 (京⼤地磁気センター)

□『第554回生存圏シンポジウム_合同研究集会プログラム』
□『合同研究集会プログラム_postersession』

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2025年4月7日作成