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第553回生存圏シンポジウム
中間圏・熱圏・電離圏研究会 
Mesosphere, thermosphere, and ionosphere Workshop

開催日時 2025/09/17(水曜日)
開催場所 電気通信大学およびオンライン
主催者 名大 ISEE/極地研/京大 RISH/ROIS-DS 共同主催
申請代表者 藤本 晶子(九州工業大学)
所内担当者 横山 竜宏(生存圏研究所)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
ミッション5 高品位生存圏
Keyword 太陽地球系物理学、超高層大気物理学

概要

令和7年9月16-19日にかけて中間圏・熱圏・電離圏(MTI)分野と密接な関わりを持つ「令和7年 (2025年) 度・第1回 STE (太陽地球環境)研究連絡会現象報告会および現象解析ワークショッ プ(第一回:宇宙天気現象の予測精度向上に向けて)」「超小型衛星を利用した超高層⼤気研究の将来ミッションの検討」「太陽地球系物理学分野のデータ解析手法,ツールの理解と応用」「異分野研究データの機関リポジトリ登録の実践」との合同で開催した。本研究集会(MTI)では,招待講演を中心とした口頭発表セッションと若手や学生を中心としたポスター発表セッションを開催した。地球および他惑星に関連するMTI分野と工学・情報工学分野との分野横断型研究について活発な議論が行われた。

目的と具体的な内容

中間圏・熱圏・電離圏(Mesosphere, Thermosphere and Ionosphere; MTI)領域は、太陽放射・太陽風など宇宙からの粒子・電磁エネルギーの流入に加え、下層大気から伝搬する大気波動の影響を受けることにより激しく変動する領域である。この領域は、衛星測位精度の低下や通信障害、衛星軌道寿命への影響など、現代社会の基盤に直結する応用的重要性も増している。本研究集会は、こうしたMTI領域における物理・化学過程の理解を深めるとともに、他分野・社会への応用展開を俯瞰的に捉えることを目的として開催された。
 本年度の研究集会では、豪雨・台風などの極端気象に伴う大気擾乱と電離圏変動の結合、近年頻発する大規模磁気嵐イベントの影響評価、観測技術の高度化など、多様なテーマが取り上げられた。特に、2024〜2025年の宇宙天気イベントを題材とした研究報告が多く、社会的影響や予測技術の課題をめぐる議論が進展した。
 プログラム構成としては、最新の研究動向を共有する招待講演および一般講演を中心(14件、うち8件招待講演)に、太陽活動極大期におけるMTIおよび周辺分野(太陽、気象、衛星観測など)の解析・予測技術の発展に関する講演が行われた。一方、若手研究者・学生の育成と学際的交流の促進を目的として、合同ポスターセッション(ポスター33件)が実施された。ポスター発表では異分野間の活発な質疑応答が行われ、研究方針の深化や新たな共同研究の端緒となる有益な議論が展開された。電気通信大学の観測関連施設の見学も実施され、参加者が最先端の観測技術に触れる貴重な機会となった。
 本研究集会を通じ、電離圏擾乱の理解や観測・予測技術の向上、社会的影響評価などの重要課題が共有され、今後の学際的連携と研究発展に向けた方向性が示された。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

本研究集会は、生存圏研究所のミッション1(環境診断・循環機能制御)、ミッション3(宇宙生存環境)、ミッション5-3(宇宙・大気・地上間の連関性)に密接に関連している。MTI(中間圏・熱圏・電離圏)領域は、太陽・宇宙からの影響と下層大気からの波動伝搬が交錯する結合領域であり、その解明には分野横断的な共同研究が不可欠である。
 本年度の研究集会では、極端気象(豪雨・台風)に伴う重力波と電離圏擾乱の結合過程、2024–2025年の大規模磁気嵐に伴う電離圏応答、さらにGNSS観測・静止衛星観測・高性能レーダー観測・スパースモデリング等の最新技術を活用した解析結果など、下層大気から宇宙圏に至る多圏相互作用に関する幅広い研究成果が報告された。これらは生存圏環境変動の理解を深めるとともに、学際的な研究連携を促進するものである。
 また、国内外の多様な研究機関からの参加により、若手研究者を含む活発な議論・交流が展開され、分野横断的ネットワークの拡充と持続的な研究コミュニティ形成に大きく貢献した。とくに、関連分野の研究集会との合同開催により、多圏相互作用の理解と連携基盤の強化が進み、今後の共同研究の発展にも資する成果が得られた。さらに、MTI領域は測位・通信・衛星運用など社会インフラとも密接に関わっており、基礎研究と応用展開の双方の観点から、生存圏科学の発展に寄与したと評価できる。

プログラム

9 ⽉ 17⽇ (⽔)@ 電気通信⼤学アライアンスセンター100周年記念ホール
【座⻑: 津⽥卓雄 (電通⼤)】
13:30-13:45 (⼀般講演) Stratospheric Gravity Waves and Medium-Scale Traveling Ionospheric Disturbances Induced by Record-Breaking Heavy Rainfall in August 2021 over Kyushu, Japan
 Masaru Kogure (Yonsei University), In-Sun Song (Yonsei University), Byeong-Gwon Song (Yonsei University), Huixin Liu (Kyushu University), Michi Nishioka (NICT), Septi Perwitasari (NICT),Hosik Kam (KASSI), and Junseok Hong(KASSI),
13:45-14:00 (⼀般講演) 地上磁場データを⽤いた台⾵がもたらす⼤気圏・電離圏結合擾乱の定量的解析
 online ⻄村美紀, 吉川顕正, ⿂住禎司 (九州⼤学)
14:00-14:15 (⼀般講演) GNSS観測に基づく⽇本-オーストラリア間における夜間中規模伝搬性電離圏擾乱の地磁気共役性の研究
 渡辺⼀唯 (名⼤ISEE), ⼤塚雄⼀ (名⼤ISEE), 新堀淳樹 (名⼤ISEE), 惣宇利卓也 (京⼤RISH), ⻄岡未知 (NICT), Septi Perwitasari (NICT)
14:15-14:30 (⼀般講演) ⻑期GPS全電⼦数データ解析に基づく,中規模伝搬性電離圏擾乱の緯度依存性についての統計的研究
 内藤翼(名⼤ISEE),⼤塚雄⼀(名⼤ISEE),新堀淳樹(名⼤ISEE),⻄岡未知(NICT),Septi Perwitasari(NICT),渡辺⼀唯(名⼤ISEE)
14:30-15:00 (招待講演) (仮)超⾼層⼤気計測と先端レーザー技術
 桂川眞幸 (電通⼤)
15:30-18:00 ポスターセッション & 施設⾒学
18:30-20:30 合同懇親会

□『第553回生存圏シンポジウム_合同研究集会プログラム』
□『合同研究集会プログラム_postersession』

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2025年4月7日作成/8月22日更新