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第503回生存圏シンポジウム
バイオナノマテリアルシンポジウム2023
(バイオナノマテリアル製造評価システム報告会)

開催日時 2023/10/26(木曜日)
開催場所 木質ホールおよびオンライン
主催者 京都大学バイオナノマテリアル共同研究拠点(経済産業省Jイノベ拠点) ナノセルロースジャパン(NCJ)
所内担当者 矢野浩之(京都大学生存圏研究所)
関連ミッション ミッション4 循環材料・環境共生システム
関連分野 製紙、化学、高分子、木材・木質材料、成形加工、食品、繊維、エレクトロニクス、自動車、家電、住宅、流通に関わる分野

詳細はこちらをご参照ください。
https://sites.google.com/kyoto-u.ac.jp/bionanomaterial2023/

概要

国内の大学におけるセルロースおよびその類似多糖の研究の第一人者が集い、多くの参加者が関心を寄せているバイオナノマテリアルの社会実装に向けた最近の技術、取り組みについての研究を紹介した。

目的と具体的な内容

持続的に生産可能なバイオマス資源、バイオマテリアルは、自動車産業、家電産業、化学産業を始めとする様々な分野から高い関心が集まっている。
樹木やタケの細胞、カニやエビの外殻、カイコが紡ぐ蚕糸は、人類の知恵をはるかに越えて作り出されている精緻なナノ構造とそれに由来する機能を有しているが、そのことは限られたコミュニティで知られているだけである。ナノ構造を有するバイオ素材、バイオナノマテリアルの最前線で活躍している大学や公的研究機関の研究者の活動が産業界や異なる材料分野において広く知られているとはいえない。バイオナノマテリアルに関する研究が、今、どのような方向に向かい、展開しているのか、昨年に引き続き、時代を先導する研究グループや研究者が最もホットな話題を発表する機会を作った。最近の情報を共有し、共にバイオマス資源の先進的利用に取り組むきっかけを作る。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

持続型資源に基づく大型産業資材として、ナノセルロース材料の製造や利用に興味を持つ、産官学の幅広い分野からの参加者があった。特に、産業界からの参加者が約8割を占め、分野も製紙産業、化学産業、繊維産業、住宅資材産業、食品産業、成形加工業、エレクトロニクスデバイス関連、商社など多岐にわたっていた。
 900名近い参加登録があるなど、各方面からの注目度の高さが伺われ、本生存圏シンポジウムが、生存圏フラッグシップ共同研究として進めているバイオナノマテリアル関連のコミュニティ形成に大きく貢献していることがわかる。

プログラム

13:00 開会あいさつと趣旨説明 京都大学 生存圏研究所 矢野 浩之
13:10 - 14:15 セッション1 
ナノセルロース1本の乾燥と構造変化 藤澤 秀次(Shuji FUJISAWA)
東京大学大学院 農学生命科学研究科 生物材料科学専攻
ナノセルロース1本の乾燥過程に伴う構造変化を、分子動力学シミュレーションと実験的手法を用い、原子レベルで解析した。
画像解析から見たセルロースナノファイバーの局所構造 小林 加代子 (Kayoko KOBAYASHI)
京都大学大学院 農学研究科 森林科学専攻
概主に原子間力顕微鏡の画像解析によって明らかになってきた、セルロースナノファイバーに生じる欠陥やねじれ等の局所構造と、その生成要因について紹介する。
精密特性診断に基づくナノセルロース材料化のための基盤技術開発 榊原 圭太 (Keita SAKAKIBARA)
国立研究開発法人産業技術総合研究所 機能化学研究部門
所属グループでは、精密材料診断に基づくナノセルロース材料化の基盤技術開発を進めている。本発表では、複合材料の構造観察など、最近の事例を紹介する。
質疑応答: セッション1
14:15 休憩
14:25-15:50 セッション2

2D-NMR法を用いた木質バイオマスの化学修飾反応のモニタリング

安藤 大将 (Daisuke ANDOH)
秋田県立大学 木材高度加工研究所
木質バイオマス構造解析のための2D-NMR法を用いて、化学修飾における細胞壁成分の反応挙動を読み解く。発表では、分析手法とアセチル化反応の挙動に焦点をあて、紹介する。
イオン液体を用いたバガスパルプ再生セルロース繊維の開発 八木 伸一 (Shinichi YAGI)
京都工芸繊維大学 繊維学系
再生セルロース繊維はバイオマスの有効活用という観点からアパレル産業において注目されている。さとうきびの未利用資源「バガス」を活用した繊維の開発について発表する。
木材の組織構造を活用した機能材料・高性能材料および大型材料化に向けた生産プロセス 田中 聡一 (Soichi TANAKA)
京都大学 生存圏研究所
木材の組織構造を活用した機能材料・高性能材料について紹介するとともに、主に高性能材料の大型化に向けた生産プロセスに関する研究について紹介する。
キチンナノファイバーの表面改質によるpH変動に対する安定性制御 伊福 伸介 (Shinsuke IFUKU)
鳥取大学 工学研究科 化学・生物応用工学専攻
部分脱アセチル化キチンナノファイバーは中~塩基性条件では分散性が低下する。そこで第4級アンモニウムカチオン化によりpH変動に伴う分散安定性を向上させた。
質疑応答: セッション2
15:50 休憩
16:00-17:05 セッション3
人工タンパク質ナノブロックによる自己組織化超分子ナノ構造複合体の設計開発 新井 亮一 (Ryoichi ARAI)
信州大学 繊維学部 応用生物科学科・バイオメディカル研究所
多量体タンパク質を人工的に組み合わせたナノブロックを用いて、ナノスケールの自己組織化超分子複合体を設計開発するタンパク質工学研究等について紹介する。
バイオマテリアル創製における新興液体材料群「活イオン液体」の概念と機能 鈴木 栞 (Shiori SUZUKI)
北海道大学大学院 農学研究院 森林科学科
目的の反応に寄与するイオン、「活イオン」を高濃度に含む「活イオン液体」の概念とその特異物性を紹介し、バイオマテリアル創製における新奇反応場の可能性を共有したい。
バクテリアセルロースの合成機構解明に向けた生化学的アプローチ 近藤 辰哉 (Tatsuya KONDOH)
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 果樹生産研究領域
高結晶セルロースを作る酢酸菌のセルロース合成酵素研究を蛋白質の側面から紹介する。
質疑応答: セッション3
17:05 閉会のあいさつ

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2023年4月5日作成/9月8日更新