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第430回生存圏シンポジウム
中間圏・熱圏・電離圏研究会

開催日時 2020(令和2)年9月28日(月)~30日(水)
開催場所 Zoomによるオンライン開催
主催者 横山竜宏 (京都大学生存圏研究所レーダー大気圏科学分野)
申請代表者 横山竜宏 (京都大学生存圏研究所レーダー大気圏科学分野)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
ミッション5 高品位生存圏
関連分野 レーダー大気圏科学分野,大気圏精測診断分野。

概要

2020(令和2)年9月28日から30日にかけて、表記の研究集会を含む4研究集会を合同で開催した。中間圏・熱圏・電離圏研究会では、学生・若手研究者の口頭発表を中心にプログラムを構成した。67名がzoomの事前参加登録を行い、その内、学生は29名、企業からの参加が1名あった。活発な議論が行われ、今後の研究の発展につながる研究集会となった。

目的と具体的な内容

中間圏・熱圏・電離圏(Mesosphere, Thermosphere and Ionosphere; MTI)領域は、太陽や宇宙からの粒子及び電磁エネルギーの流入による影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動する領域である。また、同領域は、衛星測位に対する誤差要因など現代の社会基盤維持といった応用的な観点からも注目が高まっている。本研究集会は、上記のような MTI 領域の特徴を意識し、この領域で生じている物理・化学過程の理解を深めること、および他の研究領域や社会への応用を俯瞰的に捉えることを目的とする。

近年、MTI分野に限らず地球惑星科学分野の国際化に向けた動きに伴って、関連する学会やシンポジウムでの発表が英語化されつつあり、学生・若手研究者にとって日本語での正確な発表と議論を行う場が減ってきている。そこで本年度は、学生・若手研究者が自分の研究発表と議論を通じて研究の理解度を高めるだけでなく、質疑応答を訓練することを目指し、学生・若手研究者による口頭発表を中心とした研究集会とした。また、日本に滞在中の著名な海外の研究者を招待し、周辺分野における様々な研究手法の成果を共有することで、若手研究者が様々な分野で活躍できるようなキャリアプランを、若手自身とプロジェクトを推進する研究者の双方で考える場となった。zoomによるオンライン開催としたが、接続上の問題もなく成功裏に開催された。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

地球大気圏の中でも本研究集会が焦点を当てているMTI領域は、太陽放射と太陽風のエネルギー流入による宇宙空間からの影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動するまさしく宇宙圏と地球大気圏をつなぐ領域でり、この領域で発生する諸現象の解明には、MTI分野のみならず、太陽から気象分野で活躍する研究者が連携した学際型の共同研究を進める必要がある。このような共同研究を通じて、分野の枠を超えた生存圏科学の研究者コミュニティの形成が期待される。また、MTI領域で発生する擾乱現象は衛星測位に対する誤差要因になり、地球上で生活する人類の活動に必要なインフラに影響を及ぼすため、MTI領域の研究結果は社会応用的な側面を持つと考えられる。

本研究集会では、学生・若手研究者が他大学・他機関の研究者との議論を通じて、今後の生存圏科学発展を支える人材育成に寄与できたものと考えている。

プログラム

9月28日(月)

  座長:津田卓雄(電通大)
09:40–10:00 3次元電離圏数値モデルを用いた中緯度域スポラディックE層の日々変動の再現
○安藤慧(京大)、齊藤昭則、品川裕之、江尻省
10:00–10:20 Sq EEJ電流系における準6日振動現象の緯度依存性の解明
〇高山久美(九州大)、吉川顕正、三好勉信
10:20–10:40 南極昭和基地大型大気レーダーによる電離圏沿磁力線不規則構造のイメージング観測
○香川大輔(京大)、橋本大志、齊藤昭則、西村耕司、堤雅基、佐藤亨、佐藤薫
10:40–11:00 赤道大気レーダーによる2019年12月の金環日食時の電離圏観測
○高木理絵子(京大生存圏)、横山竜宏、山本衛、穂積 Kornyanat
11:00–11:20 NICTにおけるイオノゾンデ観測
○西岡未知(NICT)、前野英生、山川浩幸、石井守
11:20–11:40 GAIAによる超高層大気と電離圏の準リアルタイム・予測計算
○垰千尋(NICT)、陣英克、三好勉信、品川裕之、藤原均、西岡未知、石井守
11:40–12:00 Circulation and Tides in a Cooler Upper Atmosphere: Dynamical Effects of CO2 Doubling
○Huixin Liu (Kyushu Univ.), Chihiro Tao, Hidekatsu Jin, and Yusuke Nakamoto

9月29日(火)

  座長:新堀淳樹(名大ISEE)
09:40–10:00 Statistical study of semidiurnal tide in the polar lower Thermosphere using EISCAT radar data
〇小山裕貴(名大ISEE)、野澤悟徳、小川泰信
10:00–10:20 トロムソナトリウムライダーを用いた北極域上部中間圏・下部熱圏における大気安定度の統計研究
○前田咲穂(名大ISEE)、野澤悟徳、川原琢也、斎藤徳人、津田卓雄、和田智之、高橋透、川端哲也、HallChris
10:20–10:50 [Invited]極域熱圏風加速の空間分布とSDIによる二次元測定の重要性
〇大山伸一郎(名大ISEE)、SDI-3Dプロジェクトチーム
10:50–11:20 [Invited]電離圏擾乱観測による大気波動(インフラサウンド)の伝搬解析
○中田裕之(千葉大)
11:20–11:40 トウィーク空電の水平伝搬距離推定方法に関する検討
○菅野将史(千葉大)、大矢浩代、塩川和夫、中田裕之
11:40–12:00 関東における降雪時の大気電場振動
○大矢浩代(千葉大)、鷹野敏明、鴨川仁、鈴木智幸、諸富和臣
13:00–13:30 [Invited]地上ミリ波分光観測に基づく高エネルギー粒子降込みによる中間圏大気組成変動機構の研究
〇長浜智生(名大ISEE)、水野亮、中島拓、堤大陸、児島康介、江尻省、冨川喜弘、堤雅基、中村卓司
13:30–14:00 [Invited] Impact of EPP on the polar middle atmosphere
○Alessandro Damiani C EReS/Chiba Univ.
14:00–14:20 日本列島上空における山岳波動の励起伝搬特性
〇石井智士(明治大)、鈴木秀彦
14:20–14:40 Propagation direction analysis of medium scale travelling ionospheric disturbances (MSTIDs) observed with 2D GPS TEC map using three dimensional spectral analysis method over North America
○Septi Perwitasari (NICT), Takuji Nakamura, Takuya Tsugawa, Michi Nishioka, Yoshihiro Tomikawa, Mitsumu K. Ejiri, Masaru Kogure, Yuichi Otsuka, Atsuki Shinbori, Hidekatsu Jin and Chihiro Tao
14:40–15:00 GNSS TEC、地磁気、電離圏レーダー観測データの複合解析による磁気嵐時の全球電離圏電子密度変動とその要因について
○新堀淳樹(名大ISEE)、大塚雄一、惣宇利卓弥、津川卓也、西岡未知

9月30日(水)

  座長:西岡未知(NICT)
09:20–09:40 LF帯標準電波を用いた太陽フレアによるD領域電離圏擾乱の観測
〇山野辺晃大(千葉大)、大矢浩代、土屋史紀、山下幸三、高橋幸弘、塩川和夫、中田裕之
09:40–10:00 VLF/LF帯標準電波を用いた2015年ネパール地震後の下部電離圏変動の研究
○明石徹寛(千葉大)、大矢浩代、土屋史紀、中田裕之
10:00–10:20 SuperDARN北海道陸別第一・第二HFレーダーを用いたMSTID発生特性の統計解析
〇枦山航(名大ISEE)、西谷望、堀智昭
10:20–10:40 HFドップラー観測システムを用いた夜間スポラディックEと同時に観測された中規模伝搬性電離圏擾乱に関する研究
〇松嶋諒(電通大)、細川敬祐、坂井純、江尻省、西岡未知、津川卓也
10:40–11:00 USRP高周波受信ユニットを活用した中緯度SuperDARNイメージング受信機の開発
〇西谷望(名大ISEE)、濱口佳之、堀智昭

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2020年7月22日作成,2020年10月27日更新