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第414回生存圏シンポジウム
第13回生存圏フォーラム特別講演会「未来を拓く生存圏科学」
生存圏科学15年の歩みとこれから

開催日時 2020(令和2)年1月16日(木)13:00–17:45
開催場所 科学技術館サイエンスホール(東京都千代田区北の丸公園2番1号)
主催者 生存圏フォーラム委員会
申請代表者 矢野浩之 (京都大学生存圏研究所生物機能材料分野)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用
ミッション3 宇宙生存環境
ミッション4 循環材料・環境共生システム
ミッション5 高品位生存圏
関連分野 生存圏科学。

概要

生存圏フォーラムは『持続的発展が可能な生存圏(Sustainable Humanosphere)を構築していくための基盤となる 「生存圏科学」を幅広く振興し、総合的な情報交換・研究者交流、 さらに学生・若手研究者の国内外での教育・啓発活動を促進していくこと』を目的としている。そのために第13回特別講演会を開催し、その活動を促進する。

目的と具体的な内容

生存圏研究所創設以来15年間の活動を振り返り、今後の生存圏科学について考え、議論をすることを目的に、産官学、様々な分野からの参加者を得て特別講演会を開催した。多様な生存圏科学の広がりの中から、2件の基調講演、①大型コンピュータによる生存圏シミュレーション、②レーダー施設等を用いた大気と人をつなぐ生存圏科学、③規模産業造林における持続的生産に関する生存圏科学、④生存圏科学における持続型未来材料の開発に関する11件の一般講演を行った。また、ナノセルロースヴィークルに関する展示など、生存圏研究所の活動を紹介する展示も併せて行った。200名を越える参加者を得て生存圏科学について様々な視点から考え、理解する良い機会となった。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

生存圏フォーラム自体が、持続的発展が可能な生存圏(Sustainable Humanosphere)を 構築していくための基盤となる「生存圏科学」を幅広く振興し、 総合的な情報交換・研究者交流を促進することを目的としている。生存圏フォーラムの会員参加による総会、および、一般に公開される特別講演会を実施することで、生存圏科学のコミュニティの形成に貢献した。

プログラム

10:00 ナノセルロースヴィークル(NCV)実写および部材の展示
13:00–13:20 京都大学生存圏研究所活動紹介
渡辺隆司(生存圏研究所所長)
  基調講演
13:20–13:55 松本紘(理化学研究所理事長)
「これまでの科学これからの科学」
人類はこれまで科学技術を駆使して地球の環境に適応し生き残ってきた環境だけでなく、社会情勢が大きく変化する現代とこの先の未来を生き残るための、これからの科学について考えたい。
13:55–14:30 山川宏(JAXA理事長)
「宇宙から見た生存圏科学」
衛星データ利用などJAXAの取組みを背景とした宇宙から見た生存圏科学について講演する。
  一般講演
  1. A-KDKによる生存圏シミュレーション
14:30–14:45 海老原祐輔(京都大学生存圏研究所)
「シミュレーションで探る宇宙生存圏の現在・過去・朱来」
宇宙生存圏を脅かす宇宙嵐の理解がシミュレーションによって深まった。歴史文献を援用し、過去に起きた激しい宇宙嵐の再現も可能になりつつある。変わりゆく太陽地球環境のなか、宇宙生存圏の未来について考えてみたい。
14:45–15:00 陣英克(情報通信研究機構)
「宇宙圏の安定利用と変動評価に寄与する超高層大気モテルの開発」
電波の伝搬や人工衛星の軌道、スペースデブリの分布に影響する超高層大気は、太陽活動や地表付近の気象、更に温暖化ガスの影響などにより変動する。ご本講演では同領域の予測や変動の評価に向けたモデルを紹介する。
  2. 大気・森林・人間 —大型レーダー施設を用いた生存圏科学
15:00–15:15 佐藤薫(東京大学大学院理学研究科)
「大型レーダ一国際協同観測による南北両半球大気結合の研究」
最近の衛星観測により南極中間圏の高度90 km付近に発生する雲の量が、北極成層圏の異常昇温に伴い減少することが発見された。その物理機構を探るため大型レーダ一国際協同観測を実施中である。これは天気予報の予測可能性を高める研究としても位置付けられる。
15:15–15:30 高橋けんし(京都大学生存圏研究所)
「微量物質の視点でみる土・植物・大気のつながり」
土には土の、植物には植物の、大気には大気の、専門的な研究分野があるが、これらを複眼的に観察すると、個別の学問の深化だけでは理解が行き届かないような、土・植物・大気のユニークなつながりに気が付く。
15:30–15:50 休憩・ポスター展示
  3. 大規模産業造林における持続的生産
15:50–16:05 Sulaeman Yusuf (LIPI, Indonesia)
「Sustainable Production-Forest and the Economic Contribution of Forestry in Indonesia: Current Overview」
インドネシアは国土の63ハ一セントが国有林である。近年、政府は、森林減少阻止を最重要課題とし、森林資源利活用の民営化に向けて取り組んでいる。いくつかの政策が功を奏しつつあるのでこれを紹介する。
16:05–16:20 大村善治(京都大学生存圏研究所)
「アカシアからユーカリへ」
インドネシアの大規模産業植林地においては大量に増殖した猿による被害のためアカシアからユーカリへと樹種の変更が必要となった。宇宙から診た植林地の変化と生物多様性の重要性について紹介する。
16:20–16:35 梅澤俊明(京都大学生存圏研究所)
「熱帯林の伐採跡地を回復させてバイオマスを生産・利用する」
土壌回復からバイオマス産物利用の開発までの包括的なアフローチにより、熱帯天然林伐採跡地に発生する荒廃草原の植生回復とバイオマスの持続的生産・利用を進めるシステムの構築について紹介する。
  4. 持続型バイオ材料/ナノセルロースヴィークル(NCV)
16:35–16:50 矢野浩之(京都大学生存圏研究所)
「セルロースナノファイバー(裏山から来る材料)」
セルロースナノファイバー(CNF)はパルプなどのセルロース材料をナノレベルまで解繊した軽量・高強度のナノ繊維である。CNFで作る様々な自動車用材料について紹介する。
16:50–17:05 臼杵有光(京都大学生存圏研究所)
「CNF (Cellulose Nano Fiber)を活かしたクルマづくリ」
CNFベース材料の自動車への適用性評価・検証を目的とし、環境省NCV (Nano Cellulose Vehicle)プロジェク卜を実施している成果として東京モ一ターショー2019において、できるだけ多くのCNFを使用したコンセプ卜力ーを出展した。
17:05–17:20 菊池康紀(東京大学未来ビジョン研究センター)
「ナノセルロースにまつわるライフサイクル思考」
多様な原料から多彩な機能を発現しうるナノセルロースは、製品の類型化、適用事例の増強、システム評価などにより、適材適所に用いられていくべきものである。本講演ではライフサイクル思考により、ナノセルロースの可能性を分析する。
17:20–17:35 影山裕史(金沢工業大学大学院工学研究科)
「自動車におけるCNFへの期待と今後の社会実装に向けて」
NCVプロジェク卜を通して、各種CNF製自動車部材の成立性を議論することができた。更に様々な角度から議論することによって、普及への期待と課題も見えてきた。

Symposium-0414
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2019年10月7日作成,2020年2月14日更新