第388回生存圏シンポジウム
多糖の未来フォーラム2018
開催日時 | 2018(平成30)年11月9日(金)13:00–17:40 |
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開催場所 | 京都大学宇治キャンパス宇治おうばくプラザ きはだホール |
主催者 | 日本化学会、糖鎖化学研究会、日本応用糖質科学会、セルロース学会、日本キチン・キトサン学会、シクロデキストリン学会 |
申請代表者 | 矢野浩之 (京都大学生存圏研究所生物機能材料分野) |
関連ミッション |
ミッション4 循環材料・環境共生システム |
関連分野 | 食糧・材料・創薬に関わる分野。 |
概要
セルロースやキチン等の持続可能な資源である多糖について、材料や創薬といった多面的な観点から、それぞれの分野の第一人者である研究者らが最新の研究成果を報告した。
目的と具体的な内容
セルロースやデンプンに代表される多糖は、太陽の恵みを受けて地球上で持続的に生産・利用・分解されており、人類の生存にとって必須の食料資源・生活資源・産業資源・創薬資源・エネルギー資源である。「多糖の未来フォーラム」は、セルロース学会、日本化学会(糖鎖化学研究会)、日本応用糖質科学会、セルロース学会、日本キチン・キトサン学会、シクロデキストリン学会が結集して平成18年(2006年)に発足した多糖の利用について議論するフォーラムである。
フォーラムでは「食糧と、材料と、創薬」という異なった多彩な多糖分野の課題に取り組む研究者が専門の枠や産業の枠を超えて、地球的規模の問題や人類生存の課題について意見を交換する場を提供することを目的としている。
今回のシンポジウムでは多岐にわたる多糖分野の研究をさらに発展させるべく、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタル、キチンナノファイバーの利用、多糖を活用した創薬や機能性ポリマー開発に関する話題を取り上げ、多糖の面白さを分かりやすくアピールするとともに、多糖の機能、利用を通じて、人類のこころ豊かな生存を実現するための可能性およびその限界を多面的に議論した。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
多糖の未来フォーラムでは、多糖を通じて、我が国の学術と産業の強力な推進を図るとともに、糖鎖科学分野を含めて関連分野の相互の交流を活発化し、資源としての多糖をいかに有効に活用していくか、また多糖に秘められている多様な機能をいかに探究していくかに着目して、交流を深めるとともに、多糖の重要性と魅力を現代社会に広く訴える活動を行っている。
近年とくに、科学者・技術者は、専門の枠や産業の枠を超えて、地球的規模の問題や人類生存の課題について、意見を交換し、学術・産業を推進していくことが要請されている。
今回、産官学の研究者や学生が多数参加し、それぞれの専門の垣根を超えた議論を行った。参加者数は、過去の多糖の未来フォーラムを上回り、多糖研究への関心の高まりを反映していた。再生可能な多糖の持続的利用は生存圏科学にとって重要な意義があり、関連学会らと協働して開催した本シンポジウムは、関連分野とのコミュニティ形成に大きく貢献したといえる。
プログラム
13:00–13:10 | 開会挨拶 |
13:10–13:50 | (1)ファイバー“ではない”ナノセルロース ~セルロース・キチンナノウィスカーの特性と利用~ 荒木潤(信州大学繊維学部) |
13:50–14:30 | (2)ナノセルロース/キチン材料研究の応用生命科学的展開 寺本好邦(岐阜大学応用生物科学部) |
14:30–15:10 | (3)生体で機能するヘムタンパク質モデルとしてのメチル化シクロデキストリン/鉄ポルフィリン包接錯体 北岸宏亮(同志社大学理工学部) |
15:10–15:30 | 休憩 |
15:30–16:10 | (4)キチン加水分解酵素は速い加水分解でブラウン運動を制御する 中村彰彦(自然科学研究機構分子科学研究所) |
16:10–16:50 | (5)幹細胞における糖鎖の機能 西原祥子(創価大学工学研究科) |
16:50–17:30 | (6)カニ殻由来の新素材「キチンナノファイバー」のヘルスケア効果 伊福伸介(鳥取大学工学研究科) |
17:30–17:40 | 閉会の辞 |
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2018年9月25日作成,2018年11月30日更新