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第383回生存圏シンポジウム
「成層圏・対流圏の諸過程と気候影響研究」に関する2018年総会
The SPARC (Stratosphere-troposphere Processes And their Role in Climate) 2018 General Assembly

開催日時 2018(平成30)年9月30日(日)~10月5日(金)
開催場所 みやこめっせ(京都府京都市)
主催者 SPARC,WCRP,東京大学,京都大学
申請代表者 佐藤薫 (東京大学大学院理学系研究科)
所内担当者 塩谷雅人 (京都大学生存圏研究所大気圏環境情報分野)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション5 高品位生存圏
関連分野 成層圏から対流圏の大気力学,大気化学。

概要

「成層圏・対流圏の諸過程と気候影響研究」に関する総会は,WCRP(世界気候研究計画)の4つのコアプロジェクトの一つであるSPARC (Stratosphere-troposphere Processes And their Role in Climate)コミュニティが4年に1度開催する国際研究集会である.第1回目の1996年以来,当会議で第6回目をむかえ,これまでに地球温暖化やオゾンホールなどの気候問題に対して,成層圏から対流圏の大気力学,大気化学の分野に関連する基礎科学から応用研究までの幅広い研究成果が活発に報告・論議されてきた.過去に北米,南米,欧州,豪州などで本総会が開催されてきたが,今回アジア地域ではじめて日本において開催された.

目的と具体的な内容

今回のSPARC総会では次のようなテーマに関する研究成果について報告・議論がおこなわた.(1)大気の組成・化学と気象・気候との関連,(2)数週間から数十年スケールの気候予測,(3)気候変動に対する大気力学の役割,(4)熱帯域の諸過程と関連した大気影響と相互作用,(5)観測および再解析データセットの進展,(6)社会に対するSPARCの科学.

会議で報告・議論された具体的な項目は以下1~6であり,それぞれのセッションで,観測,データ解析,理論,シミュレーションによる研究成果が報告され,活発な議論がおこなわれた.会議の最後にはSPARCの今後の在り方に関する自由討論が参加者全員でおこなわれた.

  1. 大気微量成分・大気化学の天候・気候との関連:エアロゾルの観測と解析,火山噴火の影響解析,成層圏オゾン,大気力学と微量成分の長距離輸送,長寿命微量成分の観測と解析,アジアモンスーン,上部対流圏・下部成層圏領域,気候解析
  2. 数週間から数十年スケールの気候予測:時間スケールが数週間から数ヶ月程度の変動予測,数十年スケールの変動予測,極端気象
  3. 気候変動・変化と大気力学:中間圏と下部熱圏の大気とその変動,太陽活動と火山活動の大気への影響,赤道大気準二年振動(QBO)とその遠隔影響,成層圏の対流圏気象・気候への影響,大気の成層圏-対流圏交換過程と上部対流圏・下部成層圏のプロセス,大気海洋結合過程とテレコネクション(気象現象の遠隔因果関係),テレコネクションと地域気候変動
  4. 熱帯大気プロセスに関連した大気の影響と相互作用:熱帯対流圏界面・上部対流圏・下部成層圏とアジアモンスーン,QBOやエルニーニョ等に関連した成層圏力学,上・下層大気の力学結合とQBO・エルニーニョ・マッデンジュリアン振動,オゾン・水蒸気の輸送・変動・長期トレンド,対流圏力学と降水
  5. 大気観測および再解析データの進展:年々変動と気候,大規模スケールの力学,重力波と乱流,長寿命物質とエアロゾル(衛星観測,地上観測,データセット),下部対流圏および地表面過程
  6. SPARCによる科学成果と一般社会との関わり:気候変化と極端気象,気候と社会活動

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

生存圏研究所が設定している5つのミッションに照らせば,温暖化や大気質変動などのテーマを扱い,現象解明にあたっては大気レーダーや衛星なども使うこと,さらには物質循環の観点から化学的な興味も基盤にあることから,ミッション1「環境診断・循環機能制御」と密接に関連しているといえる.さらには今回の総会のテーマの(6)である「社会に対するSPARCの科学」にもあるように,科学的な成果を社会に還元していこうとする指向性も含んでおり,ミッション5「高品位生存圏」,その中でも特に5-1人の健康・環境調和(生理活性物質,電磁波,大気質),5-3日常生活における宇宙・大気・地上間の連関性と関連している.

会議では,地表から高度100 kmくらいまでの,対流圏・成層圏・中間圏・下部熱圏大気の力学・化学プロセスに関する最新の研究成果が報告され議論された.温室効果気体等の大気組成の変化や,オゾン層回復に伴う気候変化の把握と科学的理解,将来予測に関する技術,風や気温,化学組成やエアロゾルの観測技術,大気中の様々な波動や変動,様々な時間・空間スケールをもつ大気変動の予測可能性や技術等に関する最新の研究成果が報告され論議された.このような研究の進展はより確実な気候変動予測につながると同時に,その成果は次期IPCC報告書やWMO/UNEPオゾンアセスメントレポートにも反映される.また,国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも深く関係し,政策にも活かされることとなる.

プログラム

10月1日(月)~5日(金)のプログラムは以下の通りである.SPARC総会では伝統的にポスターセッションに多くの時間を割き,濃密な論議を可能にしている.なお,台風接近の影響で1日目は午後からの開催となり,2,3日目のプログラムに変更があった.詳細なプログラムを含む会議概要は http://www-mete.kugi.kyoto-u.ac.jp/SPARC_GA2018/index.html を参照されたい.

October 1 (Monday)

12:30–13:00 Opening Ceremony
13:00–14:00 Theme1 Connections of Atmospheric Composition and Chemistry to Weather and Climate
14:00–15:00 Poster Session (I-A)
15:00–17:00 Theme1 Connections of Atmospheric Composition and Chemistry to Weather and Climate
17:15–18:45 Poster Session (I-B)

October 2 (Tuesday)

08:30–10:00 Theme 5 Advances in Observation and Reanalysis Datasets
10:15–11:45 Poster Session (I-C)
11:45–13:30 Lunch
13:30–14:30 Theme 5 Advances in Observation and Reanalysis Datasets
14:45–16:00 Poster Session (I-D)
16:00–17:30 Theme 2 Climate Prediction from Weeks to Decades
17:30–17:45 ECR Poster Awards Ceremony
17:45–19:00 Poster Session (I-E)

October 3 (Wednesday)

08:30–09:30 Theme 2 Climate Prediction from Weeks to Decades
09:30–10:30 Theme 4 Atmospheric Impacts and Interactions Related to Tropical Processes
10:45–12:00 Poster Session (I-F)
12:00–14:00 Lunch
14:15–15:30 Poster Session (II-F)
18:00–21:00 Conference Dinner (Fortune Garden)

October 4 (Thursday)

08:30–10:00 Theme 4 Atmospheric Impacts and Interactions Related to Tropical Processes
10:15–11:30 Poster Session (II-B)
11:30–13:30 Lunch
13:30–14:45 Theme 3 Role of Atmospheric Dynamics for Climate Variability and Change
15:00–16:15 Poster Session (II-C)
16:15–17:30 Theme 3 Role of Atmospheric Dynamics for Climate Variability and Change
17:30–19:00 Poster Session (II-D)
19:00–19:15 ECR Poster Awards Ceremony

October 5 (Friday)

08:30–10:00 Theme 6 SPARC Science for Society
10:00–11:30 Poster Session (II-E)
11:30–13:30 Lunch
13:30–14:45 Theme 6 SPARC Science for Society
15:00–16:00 Poster Session (II-A)
16:00–17:15 Roundtable discussion:The future of SPARC
17:15–17:30 Closing Ceremony
Symposium-0383a Symposium-0383b

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2018年8月17日作成,2018年11月5日更新