第378回生存圏シンポジウム
実験室宇宙・天体プラズマ物理学に関する研究集会
開催日時 | 2018年(平成30)8月20日(月)13:00~21日(火)18:00 |
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開催場所 | 九州大学筑紫キャンパス |
主催者 | SGEPSS波動分科会 |
申請代表者 | 松清修一 (九州大学大学院総合理工学研究院) |
所内担当者 | 大村善治 (京都大学生存圏研究所生存科学計算機実験分野) |
関連ミッション |
ミッション3 宇宙生存環境 |
関連分野 | 高強度レーザー実験、宇宙・天体プラズマ。 |
概要
実験室宇宙物理学を中心トピックとして、高強度レーザー実験の専門家と宇宙・天体プラズマ物理学の専門家による最先端の研究発表にもとづく情報交換および人的交流が行われた。4つの学会から2日間でのべ62名の参加者があり、うち27名が学生であった。
目的と具体的な内容
高強度レーザーを用いた実験室宇宙物理学をはじめ、近年世界的に、実験室プラズマと宇宙・天体プラズマ分野での研究協力が急速に進んできている。国内では、既存の学会の垣根を越えた共同研究にならざるを得ないため、局所的な動きにとどまっているが、本研究集会を通じて、実験室宇宙・天体プラズマ物理学の現状と将来性について、多学会の研究者を広く集めて議論した。口頭講演は招待講演(40分講演)9件と一般講演(20分講演)9件、ポスター講演が6件であった。講演テーマは、磁気リコネクション、無衝突衝撃波、プラズマ波動、粒子加速、相対論的プラズマなど多岐にわたり、理論・シミュレーション、衛星観測、室内実験とさまざまな手法を用いた最先端の研究に関する講演がなされ、積極的な議論が展開された。
なお、本研究集会は日本学術会議URSI分科会プラズマ波動(URSI-H)小委員会との共催として行われた。参加者数は2日間でのべ62名(1日目が33名、2日目が29名)であった。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
現在、宇宙生存環境の実証的研究はほぼ観測(衛星観測+地上観測)によっている。実験室宇宙物理学の研究者の問題意識の一つとして、高強度レーザー実験を宇宙・天体プラズマ物理学の新たな基盤研究ツールにしたいとの考えがある。これが実現すれば、宇宙生存環境の実証的研究のあり方が大きく変わる可能性がある。今回のシンポジウム参加者の所属学会は、地球電磁気・地球惑星圏学会、日本物理学会、日本天文学会、核融合学会と多岐にわたっており、参加者の4割強は学生であった。小規模ではあるが本シンポジウムが次世代を担う若手を含めた分野間交流に一定の成果をもたらすことができたと考える。これが契機となり、分野間融合の促進、生存圏科学のさらなる発展につながることを期待する。
プログラム
8月20日(月)
13:00–13:10 | 松清修一(九州大) はじめに |
13:10–13:50 | 招待講演 銭谷誠司(京都大) MMS衛星の観測成果と磁気圏リコネクションの運動論物理 |
13:50–14:30 | 招待講演 坂和洋一(大阪大) パワーレーザーを用いた宇宙物理実験の現状と今後の展開 |
14:30–14:50 | 休憩 |
14:50–15:10 | 大塚史子(九州大) 地球フォアショックの1次元PICシミュレーション |
15:10–15:30 | 岩本昌倫(東京大) 天体衝撃波における航跡場加速 |
15:30–16:10 | 招待講演 山崎了(青学大) 低マッハ数の無衝突衝撃波の天体観測とレーザー実験 |
16:10–16:30 | 休憩 |
16:30–17:10 | 招待講演 原田裕己(京都大) MAVENの火星磁気圏ダイナミクス観測 |
17:10–17:30 | 成行泰裕(富山大) ランジュバン方程式を用いた非単色電磁波によるプラズマ散乱過程の記述 |
8月21日(火)
09:00–09:40 | 招待講演 加藤雄人(東北大) あらせによる放射線帯の物理 |
09:40–10:20 | 招待講演 佐野孝好(大阪大) レーザー宇宙物理学実験による磁化プラズマ中での界面不安定 |
10:20–10:40 | 稲垣滋(九州大) 実験室プラズマにおける乱流と粒子輸送の分岐 |
10:40–11:00 | 鷲見治一(九州大) プラズマ波動伝搬理論とレイ理論との関連 |
11:00–13:00 | ポスター+昼食 |
13:00–13:40 | 招待講演 森田太智(九州大) 大型レーザーによる磁気リコネクション実験 |
13:40–14:20 | 招待講演 山崎敦( JAXA ) ひさき衛星によるヘリウムコーンの観測 |
14:20–14:40 | 星野真弘(東京大) 無衝突磁気リコネクションの熱力学的性質 |
14:40–15:00 | 休憩 |
15:00–15:40 | 招待講演 田中周太(青学大) 誘導コンプトン散乱: パルサー磁気圏でのプラズマ非線形現象のレーザー実験 |
15:40–16:00 | 中村匡(福井県大) 重力下でのプランク分布 |
16:00–16:20 | GIRGIS Kirolosse(九州大) Solar Wind Effects on South Atlantic Anomaly and Spacecraft |
16:20–16:40 | 松清修一(九州大) 無衝突衝撃波実験における協同トムソン散乱計測 |
16:40–18:00 | ポスター+フリーディスカッション |
ポスター
- 銭谷誠司(京都大)
プラズマ粒子(PIC)シミュレーションのための高精度の新粒子解法 - 下川啓介(九州大)
高エネルギー粒子の太陽圏への侵入過程の数値実験 - 鎌田慧介(名古屋大)
ECRプラズマにおけるパルス磁場印加に対する時間・空間構造の観測 - 畔上彰(名古屋大)
高速イオンビーム駆動アルベン波の安定性制御実験 - 寺坂健一郎(九州大)
高精度レーザー誘起蛍光ドップラー分光法を用いたプラズマ構造形成に対する中性粒子効果の実験 - 境健太郎(大阪大)
Magnetic reconnections driven by self-generated magnetic fields and an external magnetic field
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2018年6月12日作成,2018年8月29日更新