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第371回生存圏シンポジウム
木質材料実験棟H29年度共同利用研究発表会

開催日時 2018(平成30)年3月2日(金)10:30–17:10
開催場所 京都大学生存圏研究所木質ホール 3階
主催者 京都大学生存圏研究所
申請代表者 五十田博 (京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野)
関連ミッション ミッション4 循環材料・環境共生システム
ミッション5 高品位生存圏
関連分野 建築学、木質材料学、木材保存学、建築士、木造関連メーカー、林産、応用生命、炭素材料など。

概要

本報告会は木質材料実験棟の共同利用研究における研究成果を発表することで、それぞれの研究テーマにおける深化および、他分野からの刺激を受けること、そして、研究の進め方やグループ作りなどについての意見交換を行うことを目的として例年開催されるもので、本年度は2017(平成29)年度に実施された14件の木質材料実験棟全国共同利用研究の成果発表が行われた。

目的と具体的な内容

2017(平成29)年度に実施された14件の木質材料実験棟全国共同利用研究の成果発表会を実施した。14件の報告内容の内訳は、木質構造に関するもの5件、木材の耐久性・腐朽に関するもの3件、木材の物性・化学処理に関するもの2件、木材の土木利用に関するもの1件、炭素素材としての木質材料に関するもの3件である。木質材料実験棟が共同利用施設として解放している、鋼製反力枠、1000 kNアクチュエータ試験機、直パルス通電加熱装置およびSEM、ECO住などを活用した多彩な内容であった。一人当たり20分の持ち時間で発表が行われ、活発な議論が為された。これら多岐に渡る内容を、発表者がお互いに理解度を上げられるように工夫された説明がされており、大変面白い発表会となった。また、近年注目されているCLTに関する発表もあった。今後、さらなる分野間を超えた融合が起こることに期待したい。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

生存圏科学のうち、ミッション4「循環材料・環境共生システム」に関連する研究報告と、ミッション5-4「木づかいの科学による社会貢献」に関連する発表が為された。これらは高機能な炭素素材の開発と言った分子レベルの内容から、実大建築物での構造利用に関する応用的な内容まで多岐にわたった。再生産可能な生物資源である木質資源の有効活用は、「環境保全と調和した持続的社会の基盤となる先進的科学技術」を追求する生存圏科学と密接に関係する。今後これら生物資源がさらに様々な場面で活用される未来像に向けて、非常に有用な先進的な取り組みが報告されたと考える。

また、発表分野が幅広いことも本共同利用設備の特徴である。これら異分野の研究内容が一堂に会してディスカッションを行うことで、見方の異なった意見を得ることができ、相互に刺激があったと考える。報告会後の懇親会でも多くの参加があり、さらに議論を深めることができた。

プログラム

司会: 北守顕久(京都大学生存圏研究所)
10:30–10:35開会挨拶
京都大学生存圏研究所木質材料実験棟共同利用委員長 五十田博
10:35–10:55イオン液体を用いた木材処理技術に関する基礎研究
宮藤久士(京都府立大学大学院生命環境科学研究科)
10:55–11:15腐朽木材の組織内部観察
小野和子(京都大学生存圏研究所)
11:15–11:35既存木造住宅のフレームまたは小壁を用いた耐震補強手法の開発
森拓郎(広島大学工学研究科)
11:35–11:55住宅床下における銅板等の劣化抑制効果の検証
栗﨑宏(富山県農林水産総合技術センター木材研究所)
司会: 中島昌一(宇都宮大学地域デザイン科学部)
13:30–13:50京都府産木材の有効活用に関する研究
明石浩和(京都府農林水産技術センター)
13:50–14:10高減衰ダンパーを組み込んだ木質ラーメンフレームに関する実験的研究
清水秀丸(椙山女学園大学)
14:10–14:30制振素材の劣化を想定した木造制振耐力壁の効果に関する研究
那須秀行(日本工業大学)
14:30–14:50木材とコンクリートのハイブリッド床システムの開発
北守顕久(京都大学生存圏研究所)
司会: 畑俊充(京都大学生存圏研究所)
15:00–15:20広葉樹細胞壁の熱処理により微細構造の変化
村田功二(京都大学大学院農学研究科)
15:20–15:40CLTドリフトピン接合部の最大荷重に1列あたりのドリフトピンの本数が与える影響
中島昌一(宇都宮大学地域デザイン科学部)
15:40–16:00住宅における雨水浸入を想定した木材腐朽菌の定着及び進行速度の検討
齋藤宏昭(足利工業大学工学部)
司会: 梅村研二(京都大学生存圏研究所)
16:10–16:30電界紡糸によるナノ空間の創製と応用
押田京一(長野工業高等専門学校)
16:30–16:50バイオマス資源を利用した炭素材料開発
川島英久(筑波大学数理物質系)
16:50–17:00熱硬化フェノール樹脂炭素化物と木質炭素化物の複合化によるCO2吸蔵能の向上
畑俊充(京都大学生存圏研究所)
17:00–17:10総括
梅村研二(京都大学生存圏研究所)
17:15–19:15意見交換会

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2018年1月30日作成,2018年3月12日更新