第369回生存圏シンポジウム
生存圏データベース全国共同利用研究成果報告会
「モノのデータベースから電子データベースまで」
開催日時 | 2018(平成30)年3月9日(金) 13:30–17:00 |
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開催場所 | 京都大学生存圏研究所木質ホール 3階 |
主催者 | 杉山淳司 (京都大学生存圏研究所バイオマス形態情報分野) |
申請代表者 | 杉山淳司 (京都大学生存圏研究所バイオマス形態情報分野) |
関連ミッション |
ミッション1 環境診断・循環機能制御 ミッション3 宇宙生存環境 ミッション4 循環材料・環境共生システム |
関連分野 | 大気科学、宇宙科学、保健科学、文化財保存修復学、生態学、歴史学、植物分類学、木材組織学。 |
概要
これまで生存圏データベースの研究成果報告会は、おもに材鑑調査室を利用した共同研究の成果発表を中心におこなわれてきたが、今回、モノのデータベースと電子データベースの接点に焦点をあて、今後どのようにそれらが相互につながりを持ってくるのかを論議する場とした。
目的と具体的な内容
最近は研究成果の再現性を担保するため、論議の基礎となるデータのトレーサビリティ(追跡可能性)が重要になってきている。データが単に科学者の興味で収集されたものにとどまるのではなく、取得されたデータとそこから得られた科学成果を広く社会に提供してゆくことが期待されている時代になってきているともいえる。今回の研究成果報告会では、モノのデータベースと電子データベースの接点に焦点をあて、今後どのようにそれらが相互につながりを持ってくるのかを議論し、新しい時代に向けた多様なデータの融合とその社会還元について考えるきっかけとした。これらの話題に関する講演はは口頭発表を中心におこなわれたが、これまでの材鑑調査室を利用した共同研究の成果についてはポスターセッションで発表がおこなわれた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本シンポジウムは、生存圏研究所が推進する生存圏データベース全国共同利用の報告会であり、その内容はすべての生存圏ミッションに関わっている。参加した研究者は、大気科学、宇宙科学、保健科学、文化財保存修復学、生態学、歴史学、植物分類学、木材組織学と幅広い専門分野をカバーしている。今回の研究成果報告会では、モノのデータベースと電子データベースの接点に焦点をあてることによって、新しい時代に向けた多様なデータの融合とその社会還元について議論した。いっぽうで、これまでの材鑑調査室を利用した共同研究の成果についてもポスターセッションで発表がおこなわれた。生存圏データベースを用いた共同利用・共同研究の今後の方向性を見極める上で重要な会合となった。
プログラム
13:30–14:00 | 極域科学における電子データと資試料データの現状 中村卓司(国立極地研究所) |
14:00–14:30 | 木材科学における標本資料と電子データ利用の現状 小林加代子,杉山淳司(京都大学生存圏研究所) |
14:30–15:00 | 近赤外ハイパースペクトラルイメージング画像のディープラーニング認識 —木材樹種判別への適応 稲垣哲也,金山英誠,土川覚(名古屋大学生命農学研究科) |
15:00–15:30 | 紫外線によるビタミンD生成のメリットと人体への悪影響 ~HPからの準リアルタイム情報提供~ 中島英彰(国立環境研究所) |
15:30–16:00 | ポスターセッション |
16:00–16:30 | 様々な太陽地球環境データの統合解析を推進するためのIUGONETデータ解析システムについて 新堀淳樹(名古屋大学宇宙地球環境研究所) |
16:30–17:00 | 宇宙科学研究所が保有する『データ』の取り扱いについて 海老沢研(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所) |
17:00–17:30 | オープンサイエンス政策の動向と科学研究資料の新たな位置づけ 村山泰啓(情報通信研究機構) |
17:30–18:00 | 総合討論 |
ポスターセッション
- 平成27,28年度日本産木材標本採集実習
能城修一(独立行政法人森林総合研究所) - 近赤外分光法を用いた木彫像用材の非破壊的な樹種識別の可能性
安部久(独立行政法人森林総合研究所) - 古代の文字資料に見える木材利用とデータベース化に向けた取り組み
木沢直子((公財)元興寺文化財研究所) - 国内の大学に収蔵されている木材標本の現況
佐野雄三(北海道大学大学院農学研究院) - 生物多様性に基づく中国産木材の構造的特徴の精査
伊東隆夫(独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所) - 年輪研究試料としての材鑑標本の基礎調査
—年輪試料データベースの構築を目指—
大山幹成(東北大学学術資源研究公開センター植物園) - 古代における樹皮利用の解明
—サクラ樹皮の物理的性質からみた利用—
浦蓉子(独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所) - 文化財CT画像を利用した樹種識別法の開発
杉山淳司(京都大学生存圏研究所) - 羽毛ケラチンを用いた京都市北白川追分町遺跡出土「加工木」の保存処理
遠藤利恵(京都大学生存圏研究所,現:東洋羽毛工業株式会社) - 無形文化遺跡における木製品の役割
—木材の加工技術と樹種に関する基礎調査—
横山操(京都大学大学院農学研究科森林科学専攻) - 阿修羅像の胎内構造心木可視化モデルの制作
矢野健一郎(東京芸術大学奈良古美術研究施設) - 日本古来の天然繊維
反町始(京都大学生存圏研究所) - 古材標本を用いたケヤキ材の経年変化に関する研究
松尾美幸(名古屋大学大学院生命農学研究科) - 赤外分光分析による日本産針葉樹材の多様性評価
堀川祥生(東京農工大学) - 関西・北陸地域における木質文化財の樹種調査
田鶴寿弥子(京都大学生存圏研究所) - 水/熱による木質細胞壁中のセルロースの構造変化
栗林朋子,松本雄二(東京大学農学生命科学研究科生物材料科学専攻) - 第三紀型針葉樹(スギ科,ヒノキ科)木材化石細分の可能性について
渡邉正巳(島根大学汽水域研究センター)
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2018年1月27日作成,2018年3月28日更新