第332回生存圏シンポジウム
宇宙プラズマ波動研究会
開催日時 | 2016(平成28)年12月2日(金)13:00–17:50,3日(土)9:00–12:45 |
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開催場所 | 京都大学宇治キャンパス宇治おうばくプラザ セミナー室4, 5,ハイブリッドスペース(12月2日),セミナー室1, 2(12月3日) |
主催者 | 成行泰裕 (富山大学人間発達科学部) |
申請代表者 | 成行泰裕 (富山大学人間発達科学部) |
所内担当者 | 大村善治 (京都大学生存圏研究所生存科学計算機実験分野) |
関連ミッション |
ミッション3 宇宙生存環境 |
関連分野 | 超高層物理学。 |
概要
本研究集会は、宇宙プラズマ波動に関する最新の研究成果について発表する場を提供することを目的として、URSI-H委員会(プラズマ波動小委員会)および地球電磁気・地球惑星圏学会(SGEPSS)波動分科会との共催で開催した。本年度は工学分野との接点をテーマに、1時間のチュートリアル講演・招待講演を3件設けた。
目的と具体的な内容
本研究集会は、宇宙プラズマ波動に関する最新の研究成果について発表する場を提供することを目的としたものである。本年度は、2011年3月に開催された第169回生存圏シンポジウム(「宇宙プラズマと航空宇宙工学との接点」)と同様に、宇宙プラズマと関連工学分野との接点をテーマとした研究会を計画した。チュートリアル講演は2件計画し、1件は生存圏研究所の三谷友彦准教授にマイクロ波送電と宇宙太陽光発電について、もう1件は核融合科学研究所の永岡賢一准教授に波動粒子相互作用の観点からトーラスプラズマの輸送現象についてご講演いただいた。また、招待講演として神戸大の三宅洋平准教授に科学衛星-宇宙プラズマ環境相互作用の数値シミュレーション研究についてご講演いただいた。研究会の初日に行ったポスターセッションでは幅広い分野から50件の講演申し込みがあり、多くは学生が主著者のものであった。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本研究集会の主題である宇宙プラズマ波動は、ミッションの一つである「宇宙生存環境」と直接関係しており、生存圏科学との関わりは大きい。本年度の研究会も昨年度と同様にURSI-H委員会(プラズマ波動小委員会)および地球電磁気・地球惑星圏学会(SGEPSS)波動分科会との共催であり、基礎分野から応用分野まで幅広い層からの参加があった。宇宙生存環境の理解・利用において理学・工学を横断する観点は不可欠であり、本研究集会はそのような観点を与えるための人的ネットワークの形成に寄与することができたと考えられる。
プログラム
12月2日(金)
13:00–13:30 | 開場・受付 |
13:30–13:50 | 齊藤慎司(名古屋大学大学院理学研究科) 「Generation of Ion Acoustic Waves in Whistler Turbulence」 |
13:50–14:10 | 鷲見治一(九州大学国際宇宙天気科学・教育センター) 「惑星間空間衝撃波の太陽圏外圏構造への影響」 |
14:10–14:30 | 太田守,笠原禎也,後藤由貴(金沢大学) 「統計的モデル選択によるスペクトルマトリクスの分類」 |
14:30–14:50 | 休憩 |
14:50–15:50 | 招待講演 三宅洋平(神戸大学計算科学教育センター) 「科学衛星-宇宙プラズマ環境相互作用の数値シミュレーション研究」 |
16:00–17:50 | ポスター発表 |
ポスター講演
- 脈動プロトンオーロラの時空間解析
井上智寛(金沢大学),尾崎光紀(金沢大学),八木谷聡(金沢大学),塩川和夫(名古屋大学),三好由純(名古屋大学),片岡龍峰(極研),海老原祐輔(京都大学),野村麗子(ISAS/JAXA),坂口香織(NICT),大塚雄一(名古屋大学),Connors Martin(アサバスカ大学) - 音声信号処理技術を用いたVLFエミッションの雑音除去に関する基礎検討
出島工,尾崎光紀,八木谷聡,平野晃宏(金沢大学) - 超小型人工衛星のバスシステム開発
河越幸平,北昂之,瀬川浩史,井町智彦,八木谷聡(金沢大学) - 脈動オーロラの自動検出・追跡方法の開発
井上拓海,井上智寛,尾崎光紀,八木谷聡,今村幸祐(金沢大学) - ASICを用いた波形捕足受信機(WFC)の改良
徳永祐也(金沢大学自然科学研究科電子情報科学専攻M1),頭師孝弘(京都大学生存圏研究所D2),尾崎光紀(金沢大学理工研究域),八木谷聡(金沢大学理工研究域),小嶋浩嗣(京都大学生存圏研究所) - 機械学習を用いた数値計算データの高精度化の検討:アルヴェン波による粒子捕捉を例にして
成行泰裕(富山大学人間発達) - 核融合プラズマにおけるインターチェンジモードに対する捕捉高速イオンの効果
西村征也(神戸市立工業高等専門学校電気工学科) - 高強度レーザー生成プラズマ中のX線・γ線放射に関する数値シミュレーション研究
川人大希(京都大学エネルギー科学研究科エネルギー基礎科学専攻岸本研究室) - カウンターストリーム不安定のブラソフシミュレーション
辻根成(富山大学大学院理工学教育部M2),春木孝之(富山大学大学院理工学研究部(工学)),成行泰裕(富山大学人間発達科学部),梅田隆行(名古屋大学宇宙環境研究所) - プラズマシミュレーション援用による大気吸入型イオンエンジンの実験的研究
安河内翼,臼井英之,三宅洋平,福田雅人,横田久美子,田川雅人(神戸大学) - プラズマ成膜装置内部の荷電粒子ダイナミクスに関する粒子シミュレーション
福田雅人,臼井英之,三宅洋平,安河内翼(以上,神戸大学),山本兼司,奈良井哲,水野雅夫,二井裕瑛(以上,神戸製鋼所) - S-310-44号機観測ロケットによるSq電流系中心付近の電場観測
安宅祐香,石坂圭吾(富山県立大学),阿部琢美(JAXA宇宙科学研究所),田中真(東海大学),熊本篤志(東北大学) - S-310-40号機観測ロケットにより観測された中波帯電波の伝搬特性解析
岡大貴,石坂圭吾(富山県立大学),阿部琢美(JAXA宇宙科学研究所),熊本篤志(東北大学) - S-520-26号機による中緯度電離圏中のDC電場観測
山本淳史,石坂圭吾(富山県立大学),田中真(東海大学),山本衛(京都大学生存圏研究所),阿部琢美(JAXA宇宙科学研究所) - SS-520-2号機による低高度昼側カスプ領域のDC電場観測
加納康裕,石坂圭吾(富山県立大学),小嶋浩嗣(京都大学生存圏研究所),田中真(東海大学) - BEN低周波成分に関する3次元電磁粒子シミュレーション
佐治昌哉,三宅壮聡(富山県立大学) - 電離圏下部領域における電子密度自動推定
中澤涼太,三宅壮聡,石坂圭吾(富山県立大学) - ERG衛星プラズマ波動データのデータパイプライン処理システム
奥田拓希(金沢大学),松田昇也(名古屋大学),太田守(金沢大学),笠原禎也(金沢大学),笠羽康正(東北大学),土屋史紀(東北大学),小嶋浩嗣(京都大学),井町智彦(金沢大学),後藤由貴(金沢大学),三好由純(名古屋大学) - かぐや衛星波形データからのバイポーラ型波形の抽出
山口健太(金沢大学),太田守(金沢大学),笠原禎也(金沢大学),後藤由貴(金沢大学) - SS-520-3/LFAS搭載用デジタル処理機能の動作検証
高橋翼(金沢大学),笠原禎也(金沢大学),小嶋浩嗣(京都大学),頭師孝拓(京都大学),太田守(金沢大学),尾崎光紀(金沢大学),八木谷聡(金沢大学),石坂圭吾(富山県立大学),後藤由貴(金沢大学) - STP観測データ公開・解析用データリポジトリと次世代認証技術の研究
仲山悠也(金沢大学),馬渕嵩大(金沢大学),笠原禎也(金沢大学),高田良宏(金沢大学),松平拓也(金沢大学),東昭孝(金沢大学) - Study on Omega Signals Observed by Poynting Flux Analyzer on board the Akebono Satellite
I Made Agus Dwi Suarjaya (Kanazawa Univ.), Yoshiya Kasahara (Kanazawa Univ.), Yoshitaka Goto (Kanazawa Univ.) - あけぼの衛星WBAで観測された微細構造を持つ波動スペクトルへのクラスタリングの適用
田中裕士(金沢大学),後藤由貴(金沢大学),笠原禎也(金沢大学) - かぐや衛星で観測したオーロラキロメートル放射の伝搬モードの緯度分布の解析
澤田佳大(金沢大学),後藤由貴(金沢大学),笠原禎也(金沢大学),橋本弘藏(京都大学) - 月探査衛星で観測された自然電波の偏波を用いた月面誘電率の推定
木村亮太(金沢大学),田川佳樹(金沢大学),後藤由貴(金沢大学),笠原禎也(金沢大学) - 1周波GPS信号からの電離層TEC推定のためのモデル検討
松井睦(金沢大学),Win Zaw Hein(金沢大学),後藤由貴(金沢大学),笠原禎也(金沢大学) - Fullwaveシミュレーションを用いた海洋レーダにおける電離層影響調査
花田法彦(金沢大学),後藤由貴(金沢大学),笠原禎也(金沢大学) - 高周波電波空間分布計測による波源推定手法の提案
金浦諒平,外岡直樹,坪田卓也,林遼平,八木谷聡,井町智彦,尾崎光紀(金沢大学),吉村慶之,杉浦宏和(石川工業試験場) - ポインティングベクトルによる近傍電磁波源推定の一検討
坂拓磨,中島宏進,八木谷聡,尾崎光紀(金沢大学) - 無線給電環境における磁界計測手法の検討
山中諒,竹内健太,池畑芳雄,八木谷聡(金沢大学),前田裕史,内野昭,巳波敏生,田中良平(ダイヘン) - アナログ・ディジタル混載ワンチッププラズマ波動受信器
頭師孝拓,小嶋浩嗣(京大),笠原禎也,高橋翼,八木谷聡,尾崎光紀,徳永祐也(金沢大) - 粒子計算用確率的二次電子モデルの提案と宇宙帯電への影響
星賢人,小嶋浩嗣(京大),村中崇信(中京大),山川宏(京大) - MUレーダーの観測によるスペースデブリの軌道決定手法の確立
西村泰河山川宏,橋口浩之,山本衛(京大) - MUレーダーを用いたスペースデブリの形状推定に関する研究
岩堀太紀,山川宏,橋口浩之,山本衛(京大) - レーザーアブレーションによるスペースデブリ除去シークエンスに関する研究
小林優太,山川宏(京大),佐宗章弘(名大),Casolino Marco,戎崎俊一(理化学研究所) - 地球周辺電磁場の影響を考慮した微小スペースデブリの軌道モデルの構築
明里慶祐,山川宏(京大),花田俊也,藤田浩輝(九大) - 5.8GHz人工衛星内部ワイヤレスシステム用の整流回路に関する研究
王策,篠原真毅,三谷友彦(京大) - チタン粉末のマイクロ波加熱装置の設計
蟻正悟史,篠原真毅,三谷友彦(京大),樫村京一郎(中部大) - 計算機実験によるマグネトロンの効率及び雑音改善のための研究
平山啓太,三谷友彦,篠原真毅(京大),桑原なぎさ,半田貴典(パナソニック株式会社) - 火星飛行探査機へのマイクロ波電力伝送における高調波利用型レトロディレクティブの研究
川島祥吾,三谷友彦,篠原真毅(京大) - 無線電力伝送用C帯GaNアクティブアンテナの高効率設計
長谷川直輝,篠原真毅,三谷友彦(京大) - 惑星間空間衝撃波到来時における内部磁気圏高エネルギー粒子のダイナミクス
辻浩季,海老原祐輔(京大),田中高史(九州大) - 地球磁気圏サブパケットコーラス波によるサイクロトロン共鳴電子加速過程
平賀涼子,大村善治(京大) - サブストームに伴う磁気リコネクション位置の決定要因
上吉川直輝,海老原祐輔(京大) - 日本列島を含む中低緯度地域のGICの発生原因
池尻篤史,海老原祐輔(京大) - 電離圏・地面結合系に関する研究
栗栖一樹,海老原祐輔(京大) - 2D PIC simulation of whistler-mode chorus waves
野儀武志,大村善治(京大) - Plasma generation affected from a coupling of volume wave and negative permeability metamaterial
Akinori Iwai, Yoshihiro Nakamura (Kyoto Univ.) and Osamu Sakai (The University of Shiga Prefecture) - Nonlinear dynamics of electrons interacting with oblique whistler-mode chorus in the magnetosphere
Yikai Hsieh and Yoshiharu Omura (Kyoto Univ.) - ホイッスラーモードコーラス放射による電子ピッチ角散乱の非線形効果
北原理弘,加藤雄人(東北大)
12月3日(土)
09:00–09:10 | 開場・受付 |
09:10–10:10 | チュートリアル講演 三谷友彦(京都大学生存圏研究所) 「宇宙での電力伝送の可能性」 |
10:10–10:30 | 松清修一(九州大学総理工) 「大型レーザー実験を用いた無衝突衝撃波遷移層の協同トムソン散乱計測に向けて」 |
10:30–10:45 | 休憩 |
10:45–11:05 | 加藤雄人(東北大学大学院理学研究科) 「実パラメータを用いたコーラス放射発生過程の計算機実験」 |
11:05–12:05 | チュートリアル講演 永岡賢一(核融合科学研究所) 「トーラスプラズマの輸送現象-波動粒子相互作用の観点から」 |
12:05–12:25 | 小路真史(名古屋大学宇宙地球環境研究所) 「THEMIS衛星データを使用したEMIC波動粒子相互作用の直接観測」 |
12:25–12:45 | 米津佑亮(名古屋大学工学研究科M2) 「カナダ,フィンランド,昭和基地における磁気圏ELF/VLF波動同時観測データの統計解析」 |
12:45 | 研究会終了 |
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2016年11月7日作成,2017年1月10日更新