第320回生存圏シンポジウム
平成28年度国立極地研究所研究集会
平成28年度名古屋大学宇宙地球環境研究所研究集会
第3回「太陽地球環境データ解析に基づく超高層大気の空間・時間変動の解明」
開催日時 | 2016(平成28)年10月18日(火)13:00~20日(木)16:50 |
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開催場所 | 国立極地研究所3階大会議室 |
主催者 | 田中良昌 (国立極地研究所宇宙圏研究グループ) |
申請代表者 | 田中良昌 (国立極地研究所宇宙圏研究グループ) |
所内担当者 | 津田敏隆 (京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野) |
関連ミッション |
ミッション1 環境診断・循環機能制御 ミッション3 宇宙生存環境 |
関連分野 | 太陽地球系物理学、情報学。 |
Webサイト:IUGONET研究集会
概要
太陽・地球系物理学分野の研究者、並びに、データ提供者、情報学研究者、データベース開発者が集まり、各分野の重要研究テーマ、最先端のデータベースや解析ツール、オープンサイエンスの動向等について計22の講演が行われ、活発な議論が為された。本研究集会には、学部生・大学院生8名を含む計41名が参加した。また、IUGONET(超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究)プロジェクトが開発した新ウェブシステム「IUGONET Type-A」、解析ソフト「SPEDAS」を用いたデータ解析講習セッションも開かれ、太陽・地球系物理学分野の研究者の育成に貢献した。
目的と具体的な内容
本研究集会は、太陽・地球系物理学分野の研究者、及び、データ提供者、情報学研究者、データベース開発者が集まり議論することで、各分野の最先端の研究成果を共有すると共に、データベースや解析ツール、オープンデータ・オープンサイエンス等についての最新情報を得ることを目的とする。
2016年10月18~19日には、IUGONETの新しいウェブシステム「IUGONET Type-A」の紹介に加え、複数の太陽・地球惑星科学分野のデータベースの進捗や、オープンサイエンスの最近の動向、図書館員による科学データのメタデータ作成実験経過、赤道MUレーダー・EISCAT_3Dレーダーなどの大型将来計画等、様々なトピックについて講演が行われた。また、宇宙天気とスペースデブリの関連性や「日本近代資料にみるオーロラ」等、複数の興味深い分野横断型研究について講演、議論が為された。
10月20日には、IUGONETが開発している超高層大気データの解析ツール「SPEDAS」の初心者をターゲットとしたデータ解析講習セッションが行われた。このセッションでは、実際に参加者にSPEDASを使った簡単なデータのロード、プロット、解析を経験していただいた。また、SPEDASとIUGONET Type-Aを組み合わせた最新の研究手法についても講習が行われ、参加者には非常に好評であった。
なお、本研究集会のプログラム及び講演資料は、次のウェブサイトに掲載されている。 http://www.iugonet.org/meetings/2016-10-18_20.html
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
研究集会では、太陽~地球超高層大気における研究成果について多くの講演が行われた。これらは生存圏研究所の課題「環境診断・循環機能制御」、「宇宙生存環境」のミッションに関連する。
また、太陽・地球惑星科学分野の複数のデータベースやツールについても報告・議論が為された。重要な課題であるにもかかわらず、普段あまり注目されないこれらデータベースやツールについての情報を共有できたことは、太陽・地球惑星科学分野及び生存圏科学の発展にとって極めて有意義であったと考えている。
最終日には、IUGONETプロジェクトが開発している超高層大気データの解析ツール「SPEDAS」、ウェブシステム「IUGONET Type-A」を用いたデータ解析講習セッションを実施した。ここでは、実際に参加者にこれらのツールを使って磁気嵐時の超高層大気データを解析してもらうことで、特に学部生・大学院生を含む若手研究者の育成に貢献した。これらのツールは、太陽、惑星間空間、磁気圏、電離圏、中性大気等、多種多様なデータを解析することが可能であり、太陽・地球系物理学分野や生存圏科学といった分野横断型研究の発展に寄与すると共に、生存圏データベースの国内外における利用促進にも繋がると考えられる。
さらに、今回初めての試みとして、データ解析講習セッションの様子をビデオで録画し、DVDにコピーして希望者に配布できるようにした。実際に、後日開催された「ERGサイエンス会議」、「地球電磁気・地球惑星圏学会」、「現象解析ワークショップ」で、このDVDをそれぞれ20枚、12枚、8枚配布した。また、講習資料はウェブサイトで公開されており、DVDと組み合わせることで、初心者でも自身でツールを学習できるようにした。
プログラム
10月18日(火)
13:00–13:05 | 開会あいさつ 中村卓司(極地研) |
13:05–13:10 | 趣旨説明 田中良昌(極地研) |
セッション1 IUGONETプロジェクトとその連携 座長: 田中良昌(極地研) | |
13:10–13:30 | IUGONET新システムの構築 梅村宜生(名大ISEE)、田中良昌(極地研)、 阿部修司(九大ICSWSE)、新堀淳樹(京大RISH)、能勢正仁(京大地磁気センター)、上野悟(京大天文台)、IUGONETプロジェクトチーム |
13:30–13:50 | 解析ソフトウェアSPEDASの現状と今後の発展 田中良昌(極地研)、新堀淳樹(京大RISH)、梅村宜生(名大ISEE)、阿部修司(九大ICSWSE)、能勢正仁(京大地磁気センター)、上野悟(京大天文台) |
13:50–14:10 | 図書館員によるIUGONETメタデータ作成実験経過報告 南山泰之(極地研) |
14:10–14:20 | 休憩 |
セッション2 データ公開事業に関する取り組み 座長: 阿部修司(九大ICSWSE) | |
14:20–14:40 | WDS関連活動と今後の計画 渡邉堯(WDS-IPO) |
14:40–15:00 | オープンサイエンス、研究データメタデータをめぐる国内外の動向 村山泰啓(NICT) |
15:00–15:20 | 極域環境データサイエンスセンターとIUGONET 門倉昭(極地研) |
15:20–15:40 | 地磁気観測所におけるデータ公開の現状とIUGONETへの期待 長町信吾(地磁気観測所) |
15:40–15:50 | 休憩 |
セッション3 大型研究計画とIUGONET 座長: 梅村宜生(名大ISEE) | |
15:50–16:10 | PWINGプロジェクトの地上多点観測データの取得とデータベース化 塩川和夫、大塚雄一、三好由純(名大ISEE) |
16:10–16:30 | EISCAT_3D計画の現状とデータ利用 宮岡宏、小川泰信、中村卓司(極地研)、野澤悟徳、大山伸一郎(名大ISEE)、藤井良一(ROIS)、田中良昌(極地研)、Craig Heinselman (EISCAT科学協会) |
16:30–16:50 | 赤道MUレーダープロジェクトの現状について 山本衛、津田敏隆、橋口浩之(京大RISH) |
17:00–18:20 | IUGONET運営協議会(関係者のみ) |
19:00–21:00 | 懇親会 |
10月19日(水)
セッション4 太陽地球科学の学際研究① 座長: 新堀淳樹(京大RISH) | |
10:00–10:20 | 物理と地球物理の違い —データの面から 荒木徹(京大) |
10:20–10:40 | 国立天文台太陽観測所の観測状況とIUGONETメタデータ登録進捗状況 森田諭(国立天文台)、末松芳法(国立天文台)、花岡庸一郎(国立天文台)、櫻井隆(国立天文台)、荒井武彦(宇宙研) |
10:40–11:00 | 欧米のサイエンスデータマネージメント教育サイトの紹介 家森俊彦(京大地磁気センター) |
11:00–11:10 | 休憩 |
座長: 阿部修司(九大ICSWSE) | |
11:10–11:30 | 日本近世史料にみるオーロラ 岩橋清美(国文学研究資料館)、オーロラ4Dプロジェクト |
11:30–11:50 | IUGONET新システムが目指すオープンサイエンス 梅村宜生(名大ISEE)、田中良昌(極地研)、阿部修司(九大ICSWSE)、新堀淳樹(京大RISH)、能勢正仁(京大地磁気センター)、上野悟(京大天文台)、IUGONETプロジェクトチーム |
11:50–12:10 | オーロラサブストームの発生予測に向けたオーロラ全天画像の自動分類 瀬口大介(九大システム情報科学)、池田大輔(九大システム情報科学) |
12:10–13:10 | 昼休み |
セッション5 太陽地球科学の学際研究② 座長: 田中良昌(極地研) | |
13:10–13:30 | オメガバンドオーロラのダイナミクスと統計的特性 佐藤夏雄(極地研)、行松彰(極地研)、田中良昌(極地研)、堀智昭(名大ISEE) |
13:30–13:50 | PBIに伴うPI2地磁気振動と対応するオーロラの準周期的変動 今城峻(九大理)、西村幸敏(UCLA)、吉川顕正(九大ICSWSE)、魚住禎司(九大ICSWSE)、大谷晋一(JHU/APL)、中溝葵(NICT) |
13:50–14:10 | ニュージーランド地磁気観測データを用いた1/4波長モード磁力線共鳴振動の共鳴構造の解析 尾花由紀(大阪電通大)、Colin L. Waters, Murray D. Sciffer, Frederick W. Menk (The University of Newcastle), Robert L. Lysak (University of Minnesota, Minneapolis), 塩川和夫(名大ISEE), Anthony W. Hurst, and Tanja Petersen (GNS Science) |
14:10–14:30 | 休憩 |
座長: 能勢正仁(京大地磁気センター) | |
14:30–14:50 | 宇宙天気に伴うスペースデブリ環境推移の長期変動と予測 阿部修司、花田俊也、吉川顕正(九大)、平井隆之、河本聡美(JAXA) |
14:50–15:10 | IUGONETデータ解析システムを用いた太陽地球環境変動の研究 新堀淳樹(京大RISH)、田中良昌(極地研)、梅村宜生(名大ISEE)、阿部修司(九大ICSWSE)、能勢正仁(京大地磁気センター)、小山幸信(大分高専)、堀智昭(名大ISEE) |
15:10–15:30 | 内部磁気圏データ同化プロダクト整備に向けて 中野慎也(統数研) |
15:30–15:40 | 閉会あいさつ 家森俊彦(京大地磁気センター) |
10月20日(木)
データ解析講習セッション | |
10:00–10:30 | SPEDAS、UDASのインストールとセットアップ 阿部修司(九大ICSWSE) |
10:30–12:00 | SPEDAS-基本操作(CUI、GUI) 田中良昌(極地研) |
12:00–13:00 | 昼休み |
13:00–13:50 | IUGONET新システムの使い方 梅村宜生(名大ISEE) |
13:50–14:00 | 休憩 |
14:00–14:50 | CUIの使い方 前編 阿部修司(九大ICSWSE) |
14:50–15:00 | 休憩 |
15:00–15:50 | CUIの使い方 後編 新堀淳樹(京大生存研) |
15:50–16:00 | 休憩 |
16:00–16:50 | GUIによる操作 田中良昌(極地研) |
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2016年7月1日作成,2017年1月13日更新