第310回生存圏シンポジウム
Nanocellulose Symposium 2016
構造用セルロースナノファイバー材料の社会実装に向けて
開催日時 | 2016(平成28)年3月22日(火)12:20–18:00 |
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開催場所 | 京都テルサ テルサホール |
申請代表者 | 矢野浩之 (京都大学生存圏研究所生物機能材料分野) |
関連ミッション |
ミッション 4 (循環型資源・材料開発) |
関連分野 | 製紙、化学、高分子、木材・木質材料、成形加工、食品、繊維、エレクトロニクス、自動車、家電、住宅、流通に関わる分野。 |
目的と具体的な内容
セルロースナノファイバー(CNF)は、植物繊維をナノサイズまでほぐした、次世代バイオマス素材である。鋼鉄と比較して5分の1の軽さで、その5倍以上の強度、また、ガラスの50分の1の低線熱膨張性など優れた力学的特性を有している。政府の『日本再興戦略』改訂2014および改訂2015に、CNF材料の開発推進が明記され、関連の研究開発がますます活発化している。今回のシンポジウムでは、経済産業省課長、渡邉政嘉氏による日本のナノセルロース戦略についての特別講演から始まり、続いて、多くの参加者が関心を寄せているCNF材料の社会実装に向けた最近の技術、取り組みを紹介した。その中で、京都大学を集中研とするNEDOプロジェクトからは、パルプのナノファイバー化と樹脂中への均一分散を同時に達成する、実用的CNF複合材料製造プロセス “京都プロセス” について発表した。また、今年は「部素材産業-CNF研究会」との連携による複数CNF原料の観察、試作結果発表を行うとともに、約40機関のブース出展及びポスター会場を別室に設け、例年以上に充実した展示を行った。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
セルロースナノファイバーの製造や利用に関わる最新の技術、事業化に向けた取り組み、政府の関連施策に興味を持つ幅広い分野から619名の参加者があった。その内の約6割は、製紙産業、化学産業、木材・木質材料産業、繊維産業、エレクトロニクス産業、自動車産業、家電産業、住宅産業、高分子成形加工業、食品産業、等々、産業界からの参加であった。セルロースナノファイバー材料がバイオマス由来の大型産業資材として、様々な分野から注目されていることがわかる。これまで13回にわたりセルロースナノファイバーの製造と利用に関する生存圏シンポジウムを開催してきたが、ここ数年は、400名–500名の参加者があり、今回は、それをさらに上回る参加者を得たことで、生存圏フラッグシップ共同研究として進めている、バイオナノマテリアル関連のコミュニティ形成に大きく貢献している。
プログラム
(11:30-12:05 ポスターおよび試作品展示はご覧いただけます)
12:20-12:30 開会挨拶
12:30-13:10 1. 特別講演「日本のナノセルロース戦略」
経済産業省紙業服飾品課 渡邉政嘉氏
13:10-14:30 2. 「高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材化技術開発」成果発表
~NEDO非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発事業~
1) 『京都プロセス』の概要
京都大学生存圏研究所 矢野浩之氏
2) 『京都プロセス』による様々なCNF強化樹脂の製造
京都市産業技術研究所 仙波健氏
3) マスターバッチ法によるPP樹脂の補強
星光PMC(株) 片岡弘匡氏
4) CNF強化ナイロン樹脂の発泡成形
京都市産業技術研究所 伊藤彰浩氏
14:30-16:00 ポスターおよび試作品展示
16:00-17:00 3. 「工学との連携による農林水産物由来の物質を用いた高機能性素材等の開発」成果発表
~農研機構・革新的技術創造促進事業「異分野融合共同研究」~
1) 「CNFエラストマーナノ複合材料の実用化開発」
信州大学 カーボン科学研究所 野口徹氏
2) 「物理処理と酵素処理を併用した木質材料由来ナノファイバーの食品等への応用」
農林水産省 森林総合研究所 林徳子氏
3) 「消化管におけるナノセルロースの生理機能」
京都大学 大学院農学研究科 谷史人氏
4) 「樹脂強化用のCNFマスターバッチの開発」
DIC(株)原田友昭氏
17:00-18:00 4. 部素材産業-CNF研究会「複数CNF原料の観察・シート化試作結果発表」
~「CNFに係る公設試研究者向けの勉強会」で実施した複数CNF原料の実習成果を発表~
1) 全体総括
京都市産業技術研究所 部素材研究会-CNF研究会 北川和男氏
2) 参加公設試における成果報告及びCNF実用化開発の紹介
「CNFの形態観察および凍結乾燥時における分散溶媒の影響について」
滋賀県東北部工業技術センター 脇坂博之氏
「セルロースナノファイバーのキャスト成形について」
香川県産業技術センター 宇高英二氏
「燃料電池用電解質膜への応用展開について」
青森県産業技術センター 葛西裕氏
「セルロースナノファイバーのゴム用補強剤への応用」
兵庫県立工業技術センター 長谷朝博氏
18:00 閉会挨拶
18:15 閉場
◆同時開催 ポスターおよび試作品展示 展示時間帯:11:30-12:05、14:30-16:00 展示予定者(順不同): 第一工業製薬、大王製紙、中越パルプ工業、トクラス、ユニチカ、大阪ガス、凸版印刷、旭化成せんい、DIC、増幸産業、モリマシナリー、神栄化工、服部商店、三和化工、スターライト工業、岡山県、あいち産業科学技術総合センター、兵庫県立工業技術センター、滋賀県東北部工業技術センター、青森県産業技術センター、京都市産業技術研究所、産業技術総合研究所、森林総合研究所、東京家政大学家政学部、東京大学農学生命科学研究科、大阪大学産業科学研究所、鳥取大学工学部、徳島大学大学院・ソシオテクノサイエンス研究部、九州大学農学研究院、京都大学化学研究所、京都大学生存圏研究所、他 ◆セルロースナノファイバー(ナノセルロース材料)について 詳しくお知りになりたい方は、下記ページをご覧ください。 https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/labm/cnf 主催:京都大学生存圏研究所、ナノセルロースフォーラム 共催:近畿経済産業局及び地方独立行政法人京都市産業技術研究所(部素材産業-CNF研究会) 後援(予定含):紙パルプ技術協会、(公社)高分子学会、(公社)日本材料学会、セルロース学会、(一社)日本木材学会、(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構、京都大学 産官学連携本部
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2016年1月25日作成,2016年4月4日更新